ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

第476回・田辺寄席・神無月昼席~釣りの仲間とみる、・雀々さんの、「夢八」

2008-10-19 08:59:02 | 田辺寄席
豪華メンバー、まん我、宗助、雀々、登場の田辺寄席。


雀々さん目当てか、200名の大入満員。

開口一番、「と」、ドガチャガ。

どがちゃが、どがちゃが。

「口入屋」で番頭が、新入りのおなごしさんに、
10円の返済に、50銭、30銭、20銭、10銭と、
そのあとは、筆の先で、ドガチャガ、ドガチャガと。

この重ね、言葉。上方では、鳴物の入りのきっかけに多く使う。

綿をちぎって投げるような雪が、チラァ・チラァ。
(池田の猪買い)
いつの間にか日が暮れた、暗い道を二人並んで、トボー、トボー。
(七度狐)
お菊の姿、そこえさして、ズウーツ、ズウーツ。
(皿屋敷)
擬音、重ねをきっかけに、鳴物をいれる。
まあ、最低限のルールは決めておかないと、
下座の鳴物担当は、困りますな。・・・・あれぇ、あれぇ。


一、桂そうば・・・・・・・・・・・「手水廻し」

九州なまりがありながら、きっちりと演じる。
旅館の主人と板場の喜助がもっと田舎の味が出れば。

長頭の回し方も、アクションオーバーにもならず。
まあ、前座の時間で、きっちりとまとめ、無駄もなく楽しめましたで。


二、桂まん我・・・・・・・・・・・「寄合酒」

良かったですな。
若さがあって、勢いがあって、長屋の連中の落着きのなさ。

笑福亭のもっちやり感のある「寄合酒」が、
桂の洗練され「寄合酒」に変身。

二番手に、このような実力派がくると、
会自体が、しまりますな。


三、桂文太・・・・・・・・・・・・・「孝行糖」

孝行息子が、お上からのご褒美にちなんで、飴を売る。

「孝行糖、テンスケテン、孝行糖の本来は、昔々その昔
二十四孝行の・・・・・・・が、親を長生きさせようとて、
こしらえはじめた孝行糖。たべてんか、美味しいで、
また売れた、嬉しいな、テン、テレツク、スッテンテン。」
の売り声が、楽しい。

サゲは「からだがイタイ」、「どこがイタイ」
「こことぉ、・・・こことぉ」と、もっちゃりした、サゲ・

文太さんも、ようここまで辛抱してお付き合い
ありがとうございましたと。

人があまりやらない噺。
やはり、やらないだけの理由はありますな。

文太さんのこの田辺寄席の良さは、
この様な、珍品、稀品が聴けることですな。


四、桂宗助・・・・・・・・・・・・・「蔵丁稚」

芝居好きの丁稚が、お仕置きの為に三番蔵へ入れられる。
そのなかで、芝居の真似事。

その芝居の、本格的なこと。
「忠臣蔵の判官切腹の場」・・・宗助さんの上手さに。
歌舞伎を見た事のない私には、まるで歌舞伎座の中。

「ああ、お腹すいた。」
「旦さん、ご飯たべさしとくなはれぇ。」
「ごはんごはん、ごはーん」

と、その台詞で、ふと定吉のおる落語の世界ヘ戻る。
本格芝居と落語の落差が面白い。
落語と歌舞伎の世界との、ジェットコースター状態。

宗助さんの声、張りがあって
米朝さんの毅然とし、凛としているところが伝わる。

まあ、何を聴いても、納得の宗助さんどすな。


五、桂雀々・・・・・・・・・・・・・「夢八」

出てくるなり、米團冶さんの襲名の話。
まさか、小米朝が、師匠の師匠の名跡を継ぐとは。
小米朝の次は、中(チュウ)米朝、大(オオ)米朝と、
もしくは、可朝と、思ってた。

私も、あるとき師匠の枝雀から名前を変えたらどうやと。
枝雀「下を替えるののは当たり前やから、上を変えたら」、
雀々「どんなんがよろしい」
枝雀「雀々はどうや。「雀々家雀々」」
枝雀「町で人が見たら、雀々や(家)、雀々。とフルネームで
、、、、呼んでくれるで」、けったいなこと考える師匠でした。

噺は「夢八」。
「夢見の八兵衛」と言われる男が、首吊りの死体の番をする。

見てはいけないというムシロの向こうの首吊り姿を見てから
握り飯を食いながら、割木を恐怖の中で叩き続ける様は絶品。

言葉の連射の雀々さんが、目と口を中心にからだ全身で表す。
汗だくだくのじゃくじゃくさん、熱演、好演。
新刊の「必死のパッチ」状態でした。

田辺寄席、価値ありの、充実の落語会。


第476回・田辺寄席、神無月、昼席
2008年10月19日(日)午後13:10~
阿倍野青少年センター

一、桂そうば・・・・・・・・・・・「手水廻し」
二、桂まん我・・・・・・・・・・・「寄合酒」
三、桂文太・・・・・・・・・・・・・「孝行糖」
中入り
四、桂宗助・・・・・・・・・・・・・「蔵丁稚」
五、桂雀々・・・・・・・・・・・・・「夢八」

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