花の名前・木の名前・名前の由来

草花や木についている名前の由来。誰が付けたか分からないけど、知って納得のもの、「?」のもの、いろいろあって、面白い。

コスモス・アキザクラ(秋桜)・オオハルシャギク(大春車菊・大波斯菊)

2011年10月19日 | 草花・植物

 ☆.:*:・'' メキシコ原産キク科コスモス属コスモス ・:*:.☆.

風に揺れる秋の桜、コスモス
しなやかに
強靭に
青い空に、凛としながらたおやかに、白く、紅く
あなたは人を惹きつける

《コスモスの名前の由来》
「コスモス」の漢字表記が「秋桜」だと、長いこと思っていました。
1977年山口百恵さんが歌った「秋桜(コスモス)」という曲から以後、そのように思わされ、定着したようです。

明治12年に渡来した時「秋に咲く桜のような花」という意味で、「アキザクラ(秋桜)」という名前になりました。
「コスモス」ラテン語の「cosmos」は、美しい、秩序、調和の意味を持ち、「世界」や「宇宙」につながるそうです。

オオハルシャギク(大春車菊・大波斯菊)の別名もあります。
  コスモスの種の中に「オオハルシャギク」があるようですが、一般にコスモスと言えば「オオハルシャギク」を指すため、コスモスの別名になっています。
「大型の菊咲き」ではありますが、「春」の名前はどこから来たのでしょうか?
「斯菊」は「菊のごとし」という意味で、菊に似ているということだと思います。

 

 

 

 

コスモスコスモスの切り戻しコスモスの草丈が伸びすぎないよう、生育途中で、切り戻しを行いました。
また、切り戻すと、枝が分岐して、花つきも良くなります。


今年は切り戻した時期が遅かったせいか、台風12号(9月)の時も、まだ花芽をつけず、抜いてしまおうか迷った位です。
それが、ぐんぐん背が伸び、柿の木に届きそうな背丈になってしまいました。柿の木の隣は「ヤマボウシ」です。2011.10.18

 

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ヤマボウシ(山法師、山帽子)とハナミズキ(花水木)とミズキ(水木)

2011年10月17日 | 草花・植物

「ヤマボウシ」と「ハナミズキ」花の時期は違いますが、良く似ていると思います。ヤマボウシ
同じミズキ科で、名前も紛らわしいですが、違いも色々あります。

ヤマボウシもハナミズキもミズキ科です。
ハナミズキ」は「アメリカヤマボウシ」と言われるように、北米原産です。
明治末期に日本が桜を贈った返礼として、アメリカから送られてきたことで、有名です。街路樹や庭木として親しまれ、花の美しさが際立っています。
「ハナミズキ」の名前の由来は、ミズキ類で、花が美しいことから。
「ハナミズキ」は「アメリカヤマボウシ」の別名もありますが、これは「「ヤマボウシ」に似ていることが、名前の由来です。

ヤマボウシ」は日本の山野に自生し、花も美しく、実、紅葉も美しいことから、庭木、街路樹として親しまれています。
名前の由来は、蕾の丸い集まりを法師の頭、白い苞を頭巾に見立てたとものと言われています。

両者の花は、よく似ていて、花弁のように見えるのは、総苞です。
「ハナミズキ」は葉がでる前、4月から5月に花が咲きますが、ヤマボウシは葉がでてから6月から7月に花が咲きます。
実はハナミズキは小さな硬い実(ガマズミのような実)をつけ、食べられませんが、ヤマボウシは、大きく赤い実をつけ、「マンゴウ」のような味で、生食、ジャム、果実酒に利用するほか、小鳥の好物です。

 

ミズキ「ミズキ(水木)」は日本全国に見られる落葉高木です。

幼木の春の芽ぶきは、綺麗な紅色です。
小正月には、団子を作り水木にに挿して飾りました。「みずき団子」といいます。

植木屋さんが「ニホンミズキ」と呼んだ記憶があります。
芽ぶきの時期に、大量の水を吸い上げるため、枝を折ると水が滴るので「水木」の名前の名前になりました。

東北地方などでこ けしのおもな材料の1つになっており、また盆、椀などの漆器木地になります。
高木なので、花の時期はかなり目立つ木と言えます。(画像はwikiから)

      ハナミズキ

 2009.10仙台  2011.04

 

ヤマボウシ

 2011.06仙台  2011.09           原発廃炉に向けて


ハグマ(白熊)の由来

2011年09月27日 | 草花・植物

ハグマ(白熊)とは中国産の「ヤク」という動物の白い尾。毛を染めて、武将の采配、僧侶の払子(ほっす)、旗や槍の装飾として使われました。キク科の植物の中で、このハグマの形をした花に「ハグマ」の名がついています。
それぞれ、葉の特徴などから、名前がつきました。

カシワバハグマ(柏葉)   :葉が柏の形
エンシュウハグマ(遠州) :遠州、現在の静岡県東部に自生。花色はピンク。
モミジハグマ(紅葉)    :葉が紅葉の形
オクモミジハグマ(奥紅葉) :オクモミジハグマに似て、葉の切れ込みが浅く、日本列島の奥(北)に分布。
ナガバハグマ(長葉)   :葉が長い
ホソバハグマ(細葉)   :葉が細い

  2011.09.27仙台市 
葉の切れ目が浅いので「オクモミジハグマ」と思われます。

 

ハグマ《wikipediaより》

ヤクの尾毛は日本では兜や槍につける装飾品として武士階級に愛好された。 尾毛をあしらった兜は輸入先の国名を採って「唐の頭(かしら)」と呼ばれた。 特に徳川家康が「家康に過ぎたるものが二つあり、唐の頭に本多平八」と詠われたほど好んだ為に、 江戸時代に入って鎖国が行われてからも経由で定期的な輸入が行われていた。

幕末になって江戸城が新政府軍に接収された際、収蔵されていたヤクの尾毛は 黒毛が薩摩藩、白毛が長州藩、赤毛が土佐藩の手に渡り、三藩の指揮官クラスの軍帽として使用された。 (肥前藩などの他藩も分配を要求したが拒否された)
黒毛の軍帽を黒熊(こぐま)、白毛の軍帽を白熊(はぐま)、赤毛の軍帽を赤熊(しゃぐま)と呼ぶ。

 

 

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アサギリソウ(朝霧草)・霞と霧

2011年09月16日 | 草花・植物

アサギリソウアサギリソウ(朝霧草)、キク科ヨモギ属
名前の由来は、シルバーの細い葉の塊を、「朝霧」に例えています。

平安時代は春に立つのは「霞」。秋に立つのは「霧」と分けていたようですが、現代ではどうでしょうか。
辞書で引くと
「霞」: 空気中に浮かんでいるさまざまな細かい粒子のため、遠くがはっきり見えない現象。また、霧や煙が薄い帯のように見える現象。「―がたなびく」《季 春》「指南車を胡地に引去る―かな/蕪村」
「霧」:地表や海面付近で大気中の水蒸気が凝結し、無数の微小な水滴となって浮遊する現象。古くは四季を通じていったが、平安時代以降、秋のものをさし、春に立つものを霞(かすみ)とよび分けた。気象観測では、視程1キロ未満のものをいい、これ以上のものを靄(もや)とよぶ。 秋》「―しばし旧里に似たるけしき有り/几董」
2010.5.13仙台市

霞は、やはり春のイメージ。「春霞」という言葉も、「霞か雲か匂いぞいずる」」も桜の季節。
霧は、やはり秋のイメージ。「霧立ち上る秋の夕暮れ」に代表される、寂寥感があります。
そして、霞は「たなびく」けど、立たない。「朝霧の日は、晴れる」というのが、天気予報のジンクス。


夏を過ぎるころから茎が立ってきて、まばらになり、かなり貧弱な花をつけますasagiri
私は伸びてきたら、何本かは切り詰めて、姿を調えています。

 

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ヘクソカズラ(屁糞蔓)・サオトメバナ(早乙女)・ヤイトバナ(灸花)

2011年09月13日 | 草花・植物

ヘクソカズラ「ヘクソカズラ」の名前の由来。何となく想像はできますが……。
アカネ科ヘクソカズラ属蔓性のこの花、何とも凄い名前です。
他にも「イヌノフグリ」「ママコノシリヌグイ」や「ボロギク」「ハキダメギク」など、かわいそうなひどい名前はありますが、ここまでのものは、他にないと思います。
花の綺麗さ、実の愛らしさからは、結びつかないこの名前ですが、やはり由来はあるのです。
                         

    ヘクソカズラ ヘクソカズラ 秋
                     2009.8.6仙台市 

《名前の由来》
ヘクソカズラ(屁糞蔓):
全草に漂う悪臭が、名前の由来です。これが正式名です。万葉時代は「糞蔓」とよばれていました。これだけでも十分かわいそうな名前なのに、江戸時代には「屁糞蔓」になっています。
サオトメバナ(早乙女花):花を逆さまにした時の形が、早乙女(田植えをする娘)のかぶる笠に似ていることから。
ヤイトバナ(灸花):ヤイトとはお灸のことです。花の中心部が、お灸の後に似ていることから。

茶花としても用いられますが、この時の名はもちろん「早乙女花」です。


へくそかずらそうきょうに 這ひおほとれる 屎葛 絶ゆることなく 宮仕へせむ 万葉集

                   茨に絡みつく糞蔓のように、何時までも宮仕えをしてやろうではないか

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ギボウシ(擬宝珠)

2011年09月06日 | 草花・植物

ユリ科ギボウシ属。交雑しやすく、園芸種を含め、たくさんの種類があり、日陰でも良く育ちます。

ギボウシ(擬宝珠)の名前の由来:蕾が橋の欄干の擬宝珠(ぎぼうしゅ)に似ることによります。

擬宝珠擬宝珠とは、橋の欄干にある「ネギ坊主」の形の飾りものです。
仏教の世界の、願い事が何でもかなうといわれる「宝珠(ほうしゅ)」に似せて、橋の安全を願って造作されたものです。

また、この橋を邪悪な鬼が渡らないようにと、願いが込められています。

    

オオバギボウシ(大葉擬宝珠):葉が大きい。
コバギボウシ(小葉擬宝珠) :葉が小さい

ウルイ、カエロッパ:山菜名。大葉も、小葉も山菜ですが、味は小葉の方が良いとされています。
ヤマカンピョウ:茎を茹でて干したもの
若芽、伸びた茎、花をお浸し、和え物、煮物、酢の物、漬物などでいただきます。
若芽は毒草の「バイケイソウ」によく似ているので、注意が必要です。 

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キク(菊)・重陽の節句

2011年09月05日 | 草花・植物

9月9日は重陽(ちょうよう)の節句。キク
別名菊の節句です。

陰陽では奇数は陽でめでたい数、その中でも9は最大の数で、この日は9が二つ重なる、かさねがさねめでたい日ということになります。
中国の思想ですが、日本でも奈良時代から、この日を「邪気を払う」行事として、菊の花を飾ったり、菊を用いて行事が行われていたようですが、現代では特に行事らしきものは行われていません。
菊の花びらを浮かべたお酒など、秋にふさわしい余興だと思うのですが、なぜすたれてしまったのでしょうか。

この行事の名残が、「菊祭り」「菊の観賞会」として、各地で開かれています。
菊の愛好者も、沢山いるようです。

 菊の名前の由来:漢名の「菊」の音読みから「キク」になったと言われます。花の形が、手の中にコメを丸めて入れたように見えるからという記述もあります。古くは「鞠(まり)」と書いたとも。これも菊の頭の形から付いた名前と言われます。

もともとは中国に自生する、頭花の小さい「ホソバアラバギク」が原種とされていますが、平安時代にはすでに薬用として使われ、愛好家によって新しい品種が次々と作りだされ、日本を代表する花になりました。
    

「×××キク」(シュウメイギク、)、「キク×××」(キクイモ、キクザキイチゲ)のように、「キク」の花に由来する名前も多く、日本の花の代表格であることは間違いないと思います。

ショウクヨウギク食用にするのは、「モッテノホカ」「カキノモト」「アボウキュウ」という品種です。
全国的に食べられているわけではないようですが、東北ではごく普通に食べられています。
熱湯に酢を入れて、花弁をさっと茹で、おひたしや、酢のものに。
乾燥させたものも売られています。

葉も天ぷらにして食べることもあります。
薬用になる菊ですので、体にもいいのではないかと思います。                                                                                         原発廃炉に向けて

 


シュウメイギク(秋明菊)・貴船菊

2011年08月31日 | 草花・植物

シュウメイギクシュウメイギク名前にキクが付くが、キクの仲間ではなくキンポウゲ科イチリンソウ属です。
シュウメイギクの名前の由来は、日本にはないタイプの菊、秋に咲くということで、、「黄泉の国の菊」の意味で「秋冥菊」。その後「冥」はイメージが位ということでが「明」に変わったとあります。

京都の貴船神社の周りにたくさん野生化したので、「貴船菊」の別名がつきました。
Wikipには、中国名の「秋牡丹」の名も使われていたとあります。
「しめ菊」「紫衣菊」「加賀菊」「越前菊」「貴船菊」「唐菊」「高麗菊」「秋芍薬」などの多様な別名で呼ばれたともあります。

 

「菊」の名が使われていますが、私は「コスモス」に、見間違えることはありますが、「菊」に見間違えることはありません。
繁殖力も旺盛で山野にも自生しているものは、里から逃げたものと思われます。
最近背の低い、「チャボシュウメイギク」が売られています。

 2008.10.1 

秋を待たずに咲く「夏咲きシュウメイギク」(春咲きシュウメイギクウメイギク」とも)、もあります。

    
2010.6.21                      2010.11.25                   2010.11.25 

 秋の庭を美しく彩るシュウメイギクですが、どんどん増えます。
庭から逃げて野生化するのも、この旺盛な繁殖力のせいだと思います。
丈夫ですが、乾燥には弱い花です。 

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ノウゼンカズラ(凌霄花)

2011年08月24日 | 草花・植物

ノウゼンカズラ科 ノウゼンカズラノウゼンカズラ属

「ノウゼンカズラ」は中国から平安時代に渡来されたといわれています。
「ノウゼン」の名前の由来は、漢名の「凌霄」の読みを「のうせう、のせう」にあて、「のうぜん」になったと思われます。
「カズラ」は、蔓性の植物の総称です。
「凌」は凌駕する、しのぐの意味、霄は「遥かかなた空の果て」の意味があり、空に向かって高く咲く花の姿がぴったりです。

漢字が「凌霄蔓」となるのが自然な気がしますが、「凌霄花」となったのは、やはりこの花の華やかさにあると思います。

青空にどこまでも伸びて、朱色にはためく花は、夏の暑さを凌がせる、まさに「夏の花」を代表する美しさと、インパクトがあります。

蔓性植物は、生育の旺盛なものが多いですが、「ノウゼンカズラ」も繁茂しやすく、他の植物にからみつくので、管理が必要です。壁の緑化などには向いていると思います。
あまり大きくしないのなら、蔓にせず自立させた育て方も可能です。

凌霄葉蓮(のうぜんはれん)・つる植物

キンレンカキンレンカ同じ「凌霄」の名前を持つ蔓性花です。ノウゼンハレン科の一年草。
江戸時代にペルーから渡来し、別名を「キンレンカ(金蓮花)洋名は「ナスタチウム」です。葉は食用になります。

蔓植物とは、自らの力で体を支えるのではなく、他の樹木などを支えにすることで高いところへ茎を伸ばす植物のことであり、蔓草(つるくさ、まんそう)、(かずら、蔓)などといいます。

近縁種
アメリカノウゼンカズラ(亜米利加凌霄花):ノウゼンカズラに比べて花の筒が長く、花の直径が小さい。ノウゼンカズラ属です。
ヒメノウゼンカズラ(姫凌霄花):常緑の半蔓性。ほとんど一年中、紅橙色の漏斗状の花を咲かせます。ノウゼンカズラ科の別属です。

 8月仙台市 

「石見城跡(いわみじょうあと)がある、島根県太田市の龍巌山(りゅうがんざん)絶壁に50メートルの「ノウゼンカズラ」が這っています。
樹齢4.5百年ともいわれ、「龍巌ののうぜんかずら」として、市の天然記念物に指定されてます。
夏の花の時期もさることながら、秋の紅葉の時期も、さぞかし見事なことと思います。                                                                                          原発廃炉に向けて

 


「がんばれナラの木」

2011年08月23日 | 草花・植物

ナラの木」
この詩は、以前にも取り上げられ、聴いたことがあって、いきさつについても知っていました。

今回この詩がラジオで岩手県の言葉により朗読されました。(NHKラジオで「私も一言夕方ニュース」)
心に響く語り口でした。
今、この詩は高槻さんの訳詞に続き、各地の方言で訳されています。
しかし、やはり方言を文字で読むのは、難しさがあります。

あのラジオで聞いた朗読を、ナラの木の静止画像付きで、youtubeにUPして欲しいと思っています。
ぜひまた聴きたいと思っています。

「がんばれ」という言葉は嫌いでした。
同じくらい「がんばらない」という言葉も嫌いでした。
でも、あの日「がんばろうね」があいさつの言葉になりました。
3月11日です。
「がんばろう」としか言いようのない状態。
他の言葉では、明日へつなげられない。
自分を納得させられない。
そんな気持ちが「がんばろうね」になったと思います。

この詩は「がんばれナラの木」ではなく「ナラの木」です。
高槻成紀さんのブログのタイトルが「がんばれナラの木」です。
http://blog.goo.ne.jp/oaktree1949/e/f743edaa109971be81151fd028975a8d

方言で訳された「ナラの木」はこちらにあります。http://blog.goo.ne.jp/oaktree1949/c/47f7fd97d40c92b34295bec3c305c1b7

THE OAK TREEコナラ

A mighty wind
blew night and day
It stole the oak tree's leaves away,
Then snapped its boughs
and pulled its bark
Until the oak was tired and stark.
But still the oak tree held its ground
While other trees
fell all around.
The weary wind
Gave up and spoke,
"How can you still be standing Oak?"
The oak tree said,
"I know that you
Can break each branch of mine in two,
Carry every leaf away,コノラ
Shake my limbs, and make me sway.
But I have roots
stretched in the earth.
Growing stronger since my birth.
"You'll never touch them,
for you see,
They are the deepest part of me.
Until today, I wasn't sure
Of just how much I could endure.
But now I've found,
with thanks to you,
I'm stronger than I ever knew."

Johnny Ray Ryder Jr.原作, Copyright Hallmark Inc.

高槻成紀さんの訳です。

たいそう強い風が吹きました
昼となく夜となく
ナラの木のすべての葉っぱを吹き飛ばし
枝をびゅんびゅんと揺らし
木の皮も引きはがすほどでした

ついにナラの木は丸はだかになってしまいました
それでも地面にしっかり立っていました
ほかの木はみんな倒れてしまいました

くたびれてしまった風は
あきらめて言いました
「ナラの木よ、どうしてまだ立っていられるのだい?」

ナラの木は言いました
「あなたは私の枝を折ることも
すべての葉っぱを吹き飛ばすことも
枝を揺らすことも
私をゆさゆさと揺することもできます

でも私には大地に広がる
根っこがあります
私が生まれたときから
少しずつ強くなりました
あなたはこの根っこには決してさわれません

わかるでしょう
根っこは私のいちばん深い部分なのです

実は今日まで
私はよくわかっていませんでした
自分自身がどれだけものごとに耐えられるかを
でも、今おかげでわかりました
自分が知っていたよりも
私はもっと強くなったのです」

「頑張ってね」と言われて、素直に答えられない時がありました。
頑張りようがないと感じている時、運命を受け入れるしかないと観念した時、家族以外のほかの誰にも分かっもらいようがない時、開けられない窓から、道行く人を眺めるしかない日々。

頑張るとか頑張らないととか、そんな言葉は何の意味もない日々。

しかし、今回の震災は、みんなが、気持ちを共感できる出来事でした。
一人個人のことではなく、被災地のみんなが、同じようにこの災害に立ち向かわなければ、生きていけません。
だから今は「頑張ろう」と言えます。  2011.09.15

 

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