「ナラの木」
この詩は、以前にも取り上げられ、聴いたことがあって、いきさつについても知っていました。
今回この詩がラジオで岩手県の言葉により朗読されました。(NHKラジオで「私も一言夕方ニュース」)
心に響く語り口でした。
今、この詩は高槻さんの訳詞に続き、各地の方言で訳されています。
しかし、やはり方言を文字で読むのは、難しさがあります。
あのラジオで聞いた朗読を、ナラの木の静止画像付きで、youtubeにUPして欲しいと思っています。
ぜひまた聴きたいと思っています。
「がんばれ」という言葉は嫌いでした。
同じくらい「がんばらない」という言葉も嫌いでした。
でも、あの日「がんばろうね」があいさつの言葉になりました。
3月11日です。
「がんばろう」としか言いようのない状態。
他の言葉では、明日へつなげられない。
自分を納得させられない。
そんな気持ちが「がんばろうね」になったと思います。
この詩は「がんばれナラの木」ではなく「ナラの木」です。
高槻成紀さんのブログのタイトルが「がんばれナラの木」です。
http://blog.goo.ne.jp/oaktree1949/e/f743edaa109971be81151fd028975a8d
方言で訳された「ナラの木」はこちらにあります。http://blog.goo.ne.jp/oaktree1949/c/47f7fd97d40c92b34295bec3c305c1b7
THE OAK TREE
A mighty wind
blew night and day
It stole the oak tree's leaves away,
Then snapped its boughs
and pulled its bark
Until the oak was tired and stark.
But still the oak tree held its ground
While other trees
fell all around.
The weary wind
Gave up and spoke,
"How can you still be standing Oak?"
The oak tree said,
"I know that you
Can break each branch of mine in two,
Carry every leaf away,
Shake my limbs, and make me sway.
But I have roots
stretched in the earth.
Growing stronger since my birth.
"You'll never touch them,
for you see,
They are the deepest part of me.
Until today, I wasn't sure
Of just how much I could endure.
But now I've found,
with thanks to you,
I'm stronger than I ever knew."
Johnny Ray Ryder Jr.原作, Copyright Hallmark Inc.
高槻成紀さんの訳です。
たいそう強い風が吹きました
昼となく夜となく
ナラの木のすべての葉っぱを吹き飛ばし
枝をびゅんびゅんと揺らし
木の皮も引きはがすほどでした
ついにナラの木は丸はだかになってしまいました
それでも地面にしっかり立っていました
ほかの木はみんな倒れてしまいました
くたびれてしまった風は
あきらめて言いました
「ナラの木よ、どうしてまだ立っていられるのだい?」
ナラの木は言いました
「あなたは私の枝を折ることも
すべての葉っぱを吹き飛ばすことも
枝を揺らすことも
私をゆさゆさと揺することもできます
でも私には大地に広がる
根っこがあります
私が生まれたときから
少しずつ強くなりました
あなたはこの根っこには決してさわれません
わかるでしょう
根っこは私のいちばん深い部分なのです
実は今日まで
私はよくわかっていませんでした
自分自身がどれだけものごとに耐えられるかを
でも、今おかげでわかりました
自分が知っていたよりも
私はもっと強くなったのです」
「頑張ってね」と言われて、素直に答えられない時がありました。
頑張りようがないと感じている時、運命を受け入れるしかないと観念した時、家族以外のほかの誰にも分かっもらいようがない時、開けられない窓から、道行く人を眺めるしかない日々。
頑張るとか頑張らないととか、そんな言葉は何の意味もない日々。
しかし、今回の震災は、みんなが、気持ちを共感できる出来事でした。
一人個人のことではなく、被災地のみんなが、同じようにこの災害に立ち向かわなければ、生きていけません。
だから今は「頑張ろう」と言えます。 2011.09.15
原発廃炉に向けて