☆.:*:・''・:*:.☆.:*:・''・ フジバカマ(藤袴)・サワフジバカマ(沢藤袴) キク科ヒヨドリ属 ☆.:*:・''・:*:.☆.:*:・'
奈良時代、香料として唐から輸入したものが野生化した。
葉は3裂する。全部の葉がそうなるとは限らないが、必ず3列の葉が含まれる。
仲間の「ヒヨドリバナ」は、花の色が淡い紫を帯びることがるが、殆どが白。
「サワヒヨドリ」は、茎が分かれず、直立して、頭頂部に1房の花をつける。
乾燥させると桜餅の葉のような芳香を放つ。
(茎や葉のクマリン配糖体が加水分解され、オルト・クマリン酸が生じるため)
「秋の七草」と、源氏物語の「藤袴」からの印象で、庭にぜひ欲しいと思って1本植えたものが、随分と増えた。
こんなに増えるのに、絶滅危惧種に指定されるのは「乱獲」のせい?
花言葉「ためらい」。咲始めはそんな感じもあるが、満開からあとは……。 2007.10.20仙台市「サワフジバカマ」
◆花を乾燥させて、お茶、匂い袋、入浴剤などに使ってみた。逆さにつるしておくと、ドライフラワーになる。
≪別名≫ 香草(漢名)、蘭草(漢名)、香蘭、王者香
≪名前の由来≫ 花の色が藤色で、花弁の形が 袴(はかま)のよう。花の中の筒状花を引き抜いて、逆さにすると、藤色の袴と二本の足に見えるという記述があります。試してみましたが、この形を作るのは難しい。
※渡来時は「蘭(ラン・ラニ)」という名前だったが、程なく「ふじばかま」の名前で呼ばれるようになった。
≪薬草としてのフジバカマ≫
■◆■・蕾をつけたものを採取し、2.3日干し、乾燥させてたものが生薬「蘭草」。煎じたものを、糖尿病の予防と治療に、1日数回お茶代わりに飲む。蓮銭草(カキドウシ)、枇杷葉、タラボク(タラノキ)を混ぜて煎じたものは、より効果がある。
■◆■・利尿■◆■・入浴剤 :補温、肩こり、神経痛、皮膚のかゆみなどには、蘭草適量を、布袋に入れて鍋などで煮出してから、風呂に入れて入浴。かゆい場所があれば、この布袋でこする
薬草の参考サイト フジバカマ
≪香料としての利用≫ 「香草」の別名もあるくらい、香りが利用されたようです。
・乾燥させた藤袴を香袋に入れ、十二単にしのばせる。
・干したものを、水に入れて洗髪。
・防虫剤芳香剤
・戦場に赴く時、藤袴の香を兜に焚き込める。
・中国では、邪気払いに、花の一枝を女の子の簪(かんざし)にしたり、香袋(かおりぶくろ)として身につける。
≪山菜としてのフジバカマ≫
花が菊のようにして食べられそうに見えるが、食べられるとした記述はない。
平安時代はお茶として飲まれていたという記録がある。乾燥させて飲むとかすかな香りがある。
2013.11.05追記
先にUp済みのブログを見た方から画像は「サワフジバカマ」との指摘を受けました。
指摘を受けるまで「サワフジバカマ」の存在を知リませんでした。
「サワフジバカマ」は「サワヒヨドリ」と「フジバカマ」が交雑されたものを園芸種の「フジバカマ」として流通させたもののようです。繁殖力が強く、野に逸出してしまい河原や草地で見るのはこの「サワフジバカマが多く、
本来のフジバカマは、野生で見ることは少ないそうです。
我が家の「サワフジバカマ」は随分前のものなので、入手経路が分からなくなってしまっています。
「サワフジバカマ」の特徴は茎が赤く、葉がすべて3裂しています。
http://park15.wakwak.com/~ooyabuen/fjbkm8.html頭花の違いもあるようです。
詳しくはhttp://park15.wakwak.com/~ooyabuen/fjbkm.html">こちらを参照してください
.。o○○o。. .。o○○o。 ≪文学にみる藤袴≫ .。o○○o。. .。o○○o。
最初に思い浮かべるのは、万葉集の
「芽子の花 尾花葛花矍麦の花 女郎花また藤袴 朝貌の花 山上憶良
(萩の花 芒 葛花 撫子花 女郎花 藤袴 桔梗)が、万葉の時代から現代まで、秋の七草としてのゆるぎない位置をしめている。
★源氏物語30帖「藤袴」では、御簾の下から1本の藤袴が差し出されていることから、庭か近くの野辺にあったものだと思う。
光源氏の使者として玉鬘を訪れた夕霧が、藤袴の花に託して、贈った歌。持っていた蘭(ふじばかま)の花を、御簾(みす)の下から中へ入れて、
「おなじ野の 露にやつるる藤袴 哀れはかけよ かごとばかりも」
「たづぬるに 遥けき野辺の露ならば うす紫や かごとならまし」 (かえし)
★むらさきの ふぢばかまをば見よといふ 二人泣きたき ここち覚えて (与謝野晶子)
★古今集の3歌はいずれも香りを詠っている
・なに人か きてぬぎかけし藤袴 くる秋ごとに野べをにほはす 藤原敏行
(着ていた服を脱いで掛けたのは誰? 秋が来るたび野辺に良い香りを漂わせて)
・やどりせし 人のかたみか藤袴 わすられがたき 香ににほひつつ 紀貫之
(家に泊って行った人の残した形見か、藤袴。忘れがたいと香を残して)
・ぬししらぬ 香こそにほへれ秋の野に たがぬぎかけし 藤袴ぞも 素性法師
(誰のものかはしらねども、野に香が匂う。藤袴を脱ぎかけていった。)
少ないフジバカマ。
ほんと
「ご無沙汰してます」って
ご挨拶したいほど。
だのに、七草って言えばすぐ思い浮かべる花。
不思議だ~。
こんな有名なのにと思います。