現在の民間からの寄付金は委任経理金として国庫金並みに別経理で管理されているが寄付金の条件では授業料の補助ということは聞かない。五高資料の中に奨学寄附金受払簿という帳簿が残っていたのでそれを眺めてみた。
奨学寄附金受払簿の中に明治から昭和まで続いている森奨学金と言うのがある。寄付者の条件は「元金及び利子とも授業料及び旅費の補助に充てること」とあり、明治四〇年の越高が二百五十一円五十七銭五厘で昭和十年の残額が百八十五円二十三銭、この間約三十年間において、数名の学生に授業料の補助が為されている。国からの育英資金もない時代であり学生には喜ばれたことであろう。
また杉山奨学金として、明治四十二年十一月二十三日に四百円の現金の寄附があり、条件としては「元金及び利子とも其の使途は学校長に一任せらる」とあり預金利子等で昭和三年に七百七十七円三十六銭になった時点で七百円で公債を購入してある。昭和十年十一月十一日の残額百五円八十八銭であるが、その後の様子については資料が処分されているのでどうなっているかわからない。
そのほかに井島奨学金というのがあった。この奨学金では五千四百五十円で五分利公債を購入してある。其の利息を利用して運営してあるが会計の担当者はこの運用まで行うことはたまったものではなかったことだろう。公債を購入して運用とは?学校長の権限で運用されていたようであるが、奨学寄付金は資金を増やすことを目的としてあった。
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