昭和十二年十月十日には五高開校五十周年記念祭が開催されている。
この時の出席者は全国から集まり旧教官からは三代校長嘉納治五郎始め落合為成、堀重里、高畠喜市等々、卒業生から藤本充安、川口虎雄、野中季雄、赤星典太等々の五百余名に上る人々で当時の日本の中枢を占めていた人々である。
この記念事業ではこの時代東洋各地に散ばっていた卒業生、旧職員等々から蒐集された色紙百三十余点が残っていた。
その作者の履歴の調査、キャプション製作に努めた時期があった。それらの色紙にはただ雅号だけで本名でサインしたものはごく僅かで、落款はあっても、名前がないものに等しく誰のものと言うことを探し出すことに苦労した経験があった。
これ等の色紙から感じたことは俺を知らないかと、大正期から昭和期にかけて日本国家の中枢を牛耳っていた五高卒業生の精霊が存在するような気がして、その亡霊に取り付かれような感じさえ受けた。
以下に色紙の一部を掲載する。
村井啓太郎 高田保馬
秋月胤継 渡部健太郎
坂本雪鳥 赤星水竹居
伊集院 藤本充安
参考にしたものが同窓会会報五十周年記念特別号で、開校五十周年は五高歴史の上では戦後の学制改革による閉校まではあと十余年であった。
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