五高の歴史・落穂拾い

旧制第五高等学校の六十年にわたる想い出の歴史のエピソードを集めている。

第一回の第五高等中学校の入学試験状況について

2011-11-09 06:15:56 | 五高の歴史

 明治20年8月13日付で生徒募集公告を官報、その他各種の新聞紙に、また九州7県の学務課、各尋常中学校に通知している。

その内容は出願期間は8月20日~9月20日の1ケ月間で、その上で出願者に対しては一回の試験だけで其の実力を判定することは難しいので、普通試験のほか、特に復習訓練を種々の方法を交えて行うので、そのために数週間を予定しているので、いままで各人が学習して来た書籍等を持って数週間滞在するつもりで試験に臨むことを通知した。

 

学校に於いては10月6日に入学試験委員心得、受験人心得、入学志願者特別検定心得を定めて、15日には入学志願者を集めて試験期間中の心得を説明した。その上で18日~24日の1週間に亙り、倫理、国語漢文、第一外国語、地理、歴史、数学、博物物理及び化学大意、習字、図画、普通体操の試験を実施した。普通体操については、入学者都合で兵式体操等の諸学科についても試験を行っている。

 

10月27日より11月5日までの10日間には国語漢文、英語、数学、地理につき、特に覆審精査を施し体操は特別検定の主意に基づいて駈足早駆等の耐否呼吸の緩急等を実施した。この特別検定については将来の教養上の参考にするためで入試の合否には関係なかったようである。

 

その上で11月10日より12日までの3ケ日に受験者108名に対して身体検査(体質、体重、身長、指極、力量、聴器、視力、弁色力、握力、肺量、胸囲、上肢囲、下肢囲、現今所患、別徴等)を実施した。

 

そして合格者24名、仮入学者61名を発表したが、合格者24名は予科級に該当する成績で仮入学者61名は、1、2の学科に不合格点があり、数ヶ月学習させれば、その上で予科3級に相当する成績が望めるものでその上で3級に編入させることにした。これから見れば将来の日本の柱石になるべく人材を育成するために入学を希望する者を集めている姿が見える。



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