ラトカとルスランのクモベ(お仲人さん)、デヤンとナトカ。彼らの住む町パナギュリシテは以前は軍需産業で栄えたようですが、今は食品工場と縫製工場があるくらい。生活は楽ではありませんが、同時に人々は自宅に畑を作り、その産物で生活したり、昔ながらの酪農と牧畜業で暮らしているので、質のいい農産物や乳製品には事欠きません。
その一つ、デヤンの手作りシリーズ!! ソフィアを夕方遅くに出発したのでパナギュリシテに到着したのは10時ごろ。軽い晩御飯に「ヤイツァ・ポ・パナギュルスキ」(訳すと、パナギュリシテ風卵料理)という、ブルガリア中で有名だけどこの町の名前を冠したメニューをいただきました。ソフィアでこれをたのむと、ポーチドエッグにヨーグルトですが、ここの家のは搾りたての地元産牛乳を使って手作りしたやわらかいシレネにパプリカ、オイルをかけたタイプ。こちらの方が味が濃厚でおいしい~♪
さらに次の日。ナトカは、マゼ(地下室)から瓶詰めをいっぱい出してきました。そのうちの一つは「ゼレ・スス・スビンスキブズィ」。豚のホホ肉(言ってみれば豚トロですよ!)をキセロ・ゼレ(キャベツの漬物)で煮たものです。これもすでにビンに入っていて、温めるだけ!! パンとよくあいます。
さらにトマトジュースのビンをいくつも・・・。「このトマトジュース、トマトの種を販売する会社の副産物なのよ。圧搾機から出る、種を取った後のトマトジュースをすごく安く売ってもらって、ぜーんぶ瓶詰めにしておくと、煮物にしたり、ラキヤのチェイサーにするのに便利なのよ。」 煮物をするとき、水はゼロで、100%トマトジュースで作る・・・ お~ゼータク。ジュースそのものを味見させてもらうと、香り高くトマトの甘味がきわだつ感じです。
「さあ、デザートはいかが?庭にいっぱいイチゴがなってるの。赤くなってるのは食べごろだから、どんどんちぎって食べて!!」 オオ~っ♪ 車庫の上がベランダになっていて、ネコがのんびりひなたぼっこをしている横に、イチゴがたわわに!! ネコはイチゴは食べないし、鳥が来たら追い払ってくれそう。そしてこのコがまた愛想のいいネコで、人が通るのを見るといつもやってきてニャー(なでろニャー)と催促・・・
露地モノのイチゴは甘くておいしい!! デヤンとナトカ曰く、「このイチゴ、何もしなくても暖かい間はどんどんできるんだよ。それに冬に雪が降っても、特別な世話なしでまた春になるとでてくるんだ!」 ワー、そんなに強いんならソフィアのうちの窓の外のプランターでもイチゴなるかな? と苗を分けてもらいました。おみやげはその苗と、自家製のラキヤ、そして、ひょいっとデヤンが出してきた、ミネラルウォーターの1.5リットルのペットボトル・・・ 手書きのシールで「ロゾヴァ・ヴォダ」!?
バラ祭りで見学したローズオイル蒸留所の副産物、ローズウォーターを1.5リットルもっ!? デヤンが仕事でストレルチャに行く関係で、蒸留所の知り合いからもらえるんだそうです。これぞプリヴィレーギヤ(特権)!! ブルガリアって知り合いがいると「ドマーシュノ」もので何かすごーくゼータクできたりします。
パナギュリシテ、今まで気づかなかったけど、ここにもなかなかいい温泉が湧いています。町の真ん中に、家族風呂や手作り感あふれる(?)サウナ、そしてタンゲントール(最初は何だ?と思いましたが、ジャグジーの意)もある温泉施設があり、こちらもなかなか楽しめます!! ブルガリアの田舎町の素朴でおいしい暮らし、まだまだ発見できますネ!!