どんなに辛いときでも、悲しいときでも。
から元気でもいいから、作り笑顔でもいいから。
とにかく笑おう。
そうしているうちに元気が出てくる。
なるほど。
そうなのかもしれない。
だけどこういう前向き推奨な言葉を読むたびに、ある大災害時後にインタビューされていた人のことを思い出す。
当時、「上を向いて歩こう」という歌がメディアでも何でもよく取り上げられていたように思う。
みんなで歌って元気を出そうというようなものをテレビや何やらでもよく見かけた。
そんな中ある人が、
そんなに泣くことがいけないんだろうか
涙がこぼれないように上を向かなきゃいけないんだろうか
こんなに辛いときはせめて、自分は泣いていたい
と言っていた。
いや、正しくは何かで読んだ言葉かもしれない。
もう何年も前のこと。
被災者の言葉。
そうだよなぁと思った。
たぶんどちらも間違いじゃない。
わたしだって、辛いけど笑っていればそのうちどうにかなるだろうと過ごすときもある。
でもそれ以上に思いっきり泣いて最低な気分になってしまったほうが、切り替えがうまくいくことがあるような気がする。
もちろん、人それぞれ立ち直る経緯は様々だということは前提で。
ただ、励まされるより、無理に元気を出そうとするより、そうしたほうがいいときもある。
大事なのはその後なんだろうと思う。
穂村弘という人のエッセイが好きで、機会があるごとに読んでいる。
かなり前の回で、嫌な思い出は忘れられるかどうか、みたいなことを書いていた。
忘れられるわけはない
どうしたって記憶からは消せない
だけど時間が経つとともに思い出す回数は確実に減っていく
そうして記憶自体が薄くなっていく
それでいいと思う
正確な文言ではないが概ねこんなような内容だった。
そうだよなぁと思った。
忘れるなんてできっこない。
でも無理に忘れようとするほうがいつまでも胸に残ってしまうんじゃないだろうか。
このふたつのエピソードは、全く違う時期に目にしたもの。
だけどどちらもわたしの記憶にはまだしっかり残っている。
時間薬。
効果はかなりあると思っている。