疑念だらけなのに議論打ち切り
「外国人の命が危機」の声上がる
「東京新聞」2023年6月9日
外国人の収容・送還のルールを見直す入管難民法改正案が8日の参院法務委員会で可決された。これまでの国会審議で、出入国在留管理庁(入管庁)の難民審査の問題点や、大阪出入国在留管理局(大阪入管)の医師が酒に酔った状態で診察していたことが明らかになった。だが、議論は尽くされぬまま、法案が成立に向かっている。支援者は「外国人が命の危険にさらされる」と警戒する。(池尾伸一)
◆「難民、見つけることできない」発言の参与員に重点配分
改正案では3回目の難民申請以降は、難民認定すべき相当の理由がなければ強制送還できるようになる。この前提には2回目までの審査で、母国で迫害のおそれがあるかどうかを調べ、難民として保護すべき人を保護する体制が確立されていることが必要だ。ところが、審議では難民審査への疑念が浮上した。
入管庁が難民ではないと認定した外国人が、不服を申し立てた際に2次審査を担う「難民審査参与員」。111人いるが、NPO法人名誉会長の柳瀬房子氏に全件の4分の1に当たる1231人(2022年)分が集中し、多くは書類審査だけで処理されていたことが判明。入管庁は、柳瀬氏の「難民を認定したいのに、ほとんど見つけることができない」との発言を申請回数を制限することが必要な根拠として引用してきた。
一方で、年に数件しか任されていない参与員もおり、入管問題に詳しい高橋済弁護士は「入管庁が1次審査結果を覆さない参与員にばかり重点配分している」と語る。
◆「説明は尽くした」と言うが…
さらに、収容施設内の医療を巡り深刻な問題が明らかになった。21年にスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が、名古屋入管で十分な医療を受けられず死亡したことを受け、医療体制強化が図られた。その一環として大阪入管が雇用した常勤医師が今年1月、酒に酔った状態で診察していたことが5月末に発覚した。斎藤健法相はこの問題を2月に把握していたが公表せず、審議で隠蔽を指摘する声が高まった。
だが、問題点に応えないまま、「説明は尽くした」(斎藤法相)と参院での審議を終え、法相の問責決議案も否決された。
「日本政府が外国人の命は軽くしか考えていないことが分かった」。トルコの少数民族クルド人男性(47)は失望する。日本人女性と結婚しているのに5回の難民申請は不認定で、在留特別許可も得られていない。母国では政治運動を理由に逮捕状が出ている。改正案では送還対象になるため、帰国したら「トルコの空港で逮捕される」とおびえる。
難民問題に詳しい安藤由香里・大阪大招聘教授は「少子高齢化でますます外国人との共生が必要になるのに、共生と逆行する法案を通してしまった。人権尊重に消極的な国として評価が下がり、高度人材も含め働きにくる人も減る可能性がある」と説く。
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園内に咲く花
法相は、何を持って説明を尽くした、と仰るのでしょう?
いつも、政府は丁寧な説明をいたします、と言いますがそんな事、一塊でも
あったのでしょうか?
呆れますね。