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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

芸者と呼ばれる艶やかな孔雀蝶が舞う春弥生 (妻女山里山通信)

2012-04-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
 爆弾低気圧が通過して、信州は暴風雨から曇り、曇りから晴れ、晴れからまた雪と目紛しく変わりましたが、低温傾向はしばらく続きそうです。4月になっての雪は珍しくはなく、2010年の4月17日には満開の桜に積雪がありました。信濃では31年ぶり、東京では41年ぶりの突然の春の雪でした。覚えていますか。

 エルニーニョのせいか、そんな低温傾向の春ですが、先週の日曜日の束の間の暖かな陽射しに誘われて妻女山の奥まで足を延ばしました。足下からは日向ぼっこをしていたヒオドシチョウやルリタテハが舞上がります。ヒオドシチョウは、まるで威嚇するかのように肩すれすれにバサバサと羽音をたてて飛び交います。

 日当りの一番いい林道の崖面のザレ場に一頭のクジャクチョウが留まりました。今年の初見です。気配を殺して秒速5センチぐらいの感じで近づきます。そうやって最終的にはレンズのフードから5センチぐらいまで寄ることができました。それが掲載の写真です。一眼レフの場合はミラーアップしてシャッター音がでない様にしておきます。

 このクジャクチョウ(孔雀蝶)、学名を Inachis ioといいますが、亜種名を I.i.geishaといいます。艶やかな翅の眼状紋を着飾った芸者になぞらえたものです。この芸者という学名を1908年につけたのは、ドイツの昆虫学者・Stichelです。当時の美しい日本女性といえば芸者さんのことだったのでしょう。信州では、里山から亜高山まで棲息し、夏の高原ではマツムシソウやアザミに吸蜜する姿がよく見られます。樹液バーに訪れて、カブトムシやオオムラサキと共に樹液を吸う姿も度々見られます

 啓蟄がとうに過ぎたというのに、低温で虫の発生も遅れています。鳥は賑やかになりましたが、数の方は正直言って分かりません。当地では極端に少なくなったということはないようです。なにせ里の梅が咲き始めたところ。妻女山の梅は硬い蕾のまま。山桜も当然蕾です。このまま低温傾向が続いて急に暖かくなると、梅、杏、桜、桃、山桜、林檎と一気に咲くかもしれません。

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