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昔、「春なのにコスモスみたい」という化粧品会社のコピーがありましたが、「梅雨なのにキノコみたい」な北信濃です。年間降水量が瀬戸内と同様に日本最少の当地にしては珍しい梅雨の長雨で、初秋のキノコが9月と間違えて続々と出てきました。もっとも、梅雨は気温と降雨が秋の長雨と似ているため、同じような条件が揃うと出てくるキノコはあるのです。以前紹介した幻の天然ハナビラタケや春から秋まで出ることがあるヒラタケ、シイタケなどもそんなキノコです。ハタケシメジも出ました。
今回大発生したのは、チチアワタケとライラックフウセンタケ。おまけにソウメンタケの仲間のキノコ。チチアワタケは、イグチ科で傘にぬめりがあります。乳粟茸と書くように、粟色、つまり黄白色の乳液を傘の裏から分泌します。雨が降った後などは、写真のようにやや透明の液になります。食菌ですが、消化が悪く人によっては酷い下痢をするひともいるというキノコです。大丈夫な人もたくさん食べると当たります。一番消化の悪い傘を剥いて食べるようにと書いてある本もありますが、そんなことをするぐらいなら食べない方がいいですね。
チチアワタケは、季節柄非常に虫が入りやすく、大きなものや老菌は採れません。今回も幼菌を中心に採りましたが、濃い塩水に浸けると2ミリもない黄白色のキノコ虫の小さな蛆(ウジ)がたくさん浮かんできました。もっとも天然のキノコはウジも、タンパク質だといって一緒に食べるというつもりでないと食べられるものではありません。完全に除去するのは無理です。
調理法は、湯がいておろし和えか煮込み料理に合います。ナメコと同じように扱えばいいわけです。
ライラックフウセンタケは、初めムレオオフウセンタケと思ったのですが、山が石灰岩質ではないし、小さすぎます。傘がライラック色のフウセンタケということで新称です。ライラック色といいますが、実際はそれほどパステル調の可憐な色ではなく小豆色の方が近いような気がします。滑りのあるキノコですが、写真のキノコは雨後の強風でぬめりが取れています。赤松と広葉樹の混合林に出ました。非常に美味しいキノコだそうです。今回は幼菌と老菌のみだったので採取しませんでした。ジコボウ(ハナイグチ)の季節に再び出るので楽しみにしておきましょう。
★ここに登場したキノコは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】のキノコ6にアップしてあります。
★妻女山の真実について、詳しくは、本当の妻女山について研究した私の特集ページ「妻女山の位置と名称について」をご覧ください。