雨上がりの森はいつもと様子がちがう。こどもたちもすぐに気づく。
雨にぬれた木々から水分が蒸発して湯気みたい。湯気だからあついの?
山道を歩けばメープルシロップのような甘い匂いが漂う。いつもより濃い!
そんな会話をしていると、
よくお見かけする散歩中のおじさんが足をとめ声をかけてくれました。
「雨があがってよかったね。今日はこどもたちが少ないなあ」
「これ忘れた子はいないか。先週この子たちが遊んでいた池の近くに落ちてたよ」
その手には見覚えのある年中Kチの水筒。
こどもたちを一緒に見守ってくれているような気がしてとてもうれしく、
今日の天気のように心もぽかぽか。
カブトムシの幼虫を探す!と向かった先、梅の木とカブトムシが集まる木がある広場では
顔見知りのおばさんが声をかけてくれました。
「いつも元気だね。毎日薄着で外で遊ぶから風邪もひかないね」
「カブトムシが集まる木の下に幼虫がいるわけじゃないよ。腐葉土があるところを探すの」
「幼虫がちゃんと立てるようにもっと深く腐葉土を入れてあげるのよ」
カブトムシの幼虫が蛹になり、成虫になるまでを詳しく教えてくれました。
「土が乾いてきたらコップで水をあげればいいの?」
「うんちは入れっぱなしでもいいの?」
「サラサラの土はダメなの?」
こどもたちは真剣に耳を傾けて、質問まで。
「カブトムシも梅の実もまたここに取りにおいで」
おばさんは最後にこう言って軽トラで帰っていきました。
こども、おとなという垣根なく人と交わることの喜び。
人は開いていれば、開いてくれること。
森のたまごでよくある風景。
そんなじんわりとあたたかい場所でこどももおとなも育つのです。
(年長母みゆき)
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