米国の株式市場では、ダウ工業株平均が市場最高値を更新したとの報道をよく耳にする。米国経済が好調な原因は、トランプ大統領の減税政策やインフラ投資政策のお蔭だそうだが、このトランプ景気の恩恵をもっとも受けているのは軍需産業との話だ。
ロイター通信は1月8日、米国製武器を積極的に海外で販売するため、トランプ政権が輸出制限の緩和など新たな方針を取りまとめていると報じた。米国製の戦闘機や軍艦、迫撃砲などを政府一丸となって売り込み、米国内での雇用創出につなげたいとの考えからだそうだ。
トランプ氏は北朝鮮やイランの脅威を前面に押し出し、武器商人のように周辺国に武器を売り込んでいるとすれば、トランプ氏は政治家で無く、根っからの商売人である。アメリカファーストや雇用創出のためと口では言いながらも、陰では個人的にもちゃっかり儲けているに違いない。
米国の軍事費は約60兆円で世界でも断トツであり、2016年、2位の中国を3倍近く離している。また、監視団体によれば、昨年1~11月の武器輸出総額は約9兆円だそうで、最大の武器輸出国でもある。
昨年5月には、トランプ氏はサウジアラビアと、米国史上最大規模とされる約12兆円に及ぶ武器売却の契約に署名したそうだ。アラブ首長国連邦への武器輸出でも合意しており、輸出相手国は世界中に広がる。
この60兆円で米国の巨大軍需産業が維持されている。逆に、この軍需産業を維持するためには、約60兆円の需要を作り出さなければならない。すなわち、武器を必要とする紛争の火種を作り出さなくてはならないのだ。
トランプ氏の北朝鮮の金正恩との子供じみた口喧嘩は、実は武器を日本へ売り込むための方便と勘繰ることも出来る。
日本は世界の中でも軍事費は高い方だが、経済の規模で考えるとむしろ低い方である、は定評だ。トランプ大統領はビジネスマンだ。ここに目を付けない筈はない。そこで、北朝鮮を少々脅かし、日本への脅威を高めればよい。その戦略に安倍首相はまんまと乗った。
トランプ氏は昨年11月、安倍晋三首相との会談後の記者会見で、日本が米国から兵器を購入すれば、米国は多くの雇用を、日本は安全を確保できる、と強調した。
日本政府は早速応えた。すなわち昨年12月、米軍再編費などを含む5.2兆円の2018年度防衛予算案を決定した。前年比1.3%と、4年連続で過去最大を更新するそうだ。陸上配備型の弾道ミサイル防衛システム”イージス・アショア”や長距離巡航ミサイルなど、新規装備の調達に向けた費用を盛り込んだのだ。
紛争の火種作りは北朝鮮にばかりでない。イランの脅威の脅かし、エルサレムへのイスラエル首都移転もそのためと勘繰られる。弾道ミサイル開発を進めるイランと過激派組織ISの脅威をテコに、サウジアラビアへの12兆円の武器輸出拡大を実現したのもこの成果であろう。
一方、武器輸出に積極的なのは米国ばかりでない。実は、国連安全保障理事国である米国、イギリス、中国、フランス、ロシアが、多くの武器を輸出しているそうだ。アジア、アフリカ、中東、ラテンアメリカへ輸出された武器のうち、その80パーセント以上が、常任理事国から輸出されたものであると言われている。
また、シンガポールにある国際研究機関は昨年9月、”中国の武器輸出戦略の輪郭”という見出しで、過去10年で、中国は武器輸入大国から輸出大国に変わったと報じた。中国は低コスト、合理的な価格のサービス等を提供し、世界の主な武器輸出国の仲間入りを果たしたとの内容である。
トランプ大統領の登場前から武器の売り込み軍拡競争はあったのであろうが、そこにトランプ氏が美味しい商売と悪乗りしたのかも知れない。各国の軍拡競争の恐ろしさは留まるところを知らないことである。国対国の争いでは疑心暗鬼が更なる軍拡へと進める。また、武器輸出国は製造設備や人材を維持、育成するために、需要を作り出さなくてはならない。日本もこの流れに乗ったが、行き着く先は恐ろしい結果でしかない。2018.01.27(犬賀 大好-411)
ロイター通信は1月8日、米国製武器を積極的に海外で販売するため、トランプ政権が輸出制限の緩和など新たな方針を取りまとめていると報じた。米国製の戦闘機や軍艦、迫撃砲などを政府一丸となって売り込み、米国内での雇用創出につなげたいとの考えからだそうだ。
トランプ氏は北朝鮮やイランの脅威を前面に押し出し、武器商人のように周辺国に武器を売り込んでいるとすれば、トランプ氏は政治家で無く、根っからの商売人である。アメリカファーストや雇用創出のためと口では言いながらも、陰では個人的にもちゃっかり儲けているに違いない。
米国の軍事費は約60兆円で世界でも断トツであり、2016年、2位の中国を3倍近く離している。また、監視団体によれば、昨年1~11月の武器輸出総額は約9兆円だそうで、最大の武器輸出国でもある。
昨年5月には、トランプ氏はサウジアラビアと、米国史上最大規模とされる約12兆円に及ぶ武器売却の契約に署名したそうだ。アラブ首長国連邦への武器輸出でも合意しており、輸出相手国は世界中に広がる。
この60兆円で米国の巨大軍需産業が維持されている。逆に、この軍需産業を維持するためには、約60兆円の需要を作り出さなければならない。すなわち、武器を必要とする紛争の火種を作り出さなくてはならないのだ。
トランプ氏の北朝鮮の金正恩との子供じみた口喧嘩は、実は武器を日本へ売り込むための方便と勘繰ることも出来る。
日本は世界の中でも軍事費は高い方だが、経済の規模で考えるとむしろ低い方である、は定評だ。トランプ大統領はビジネスマンだ。ここに目を付けない筈はない。そこで、北朝鮮を少々脅かし、日本への脅威を高めればよい。その戦略に安倍首相はまんまと乗った。
トランプ氏は昨年11月、安倍晋三首相との会談後の記者会見で、日本が米国から兵器を購入すれば、米国は多くの雇用を、日本は安全を確保できる、と強調した。
日本政府は早速応えた。すなわち昨年12月、米軍再編費などを含む5.2兆円の2018年度防衛予算案を決定した。前年比1.3%と、4年連続で過去最大を更新するそうだ。陸上配備型の弾道ミサイル防衛システム”イージス・アショア”や長距離巡航ミサイルなど、新規装備の調達に向けた費用を盛り込んだのだ。
紛争の火種作りは北朝鮮にばかりでない。イランの脅威の脅かし、エルサレムへのイスラエル首都移転もそのためと勘繰られる。弾道ミサイル開発を進めるイランと過激派組織ISの脅威をテコに、サウジアラビアへの12兆円の武器輸出拡大を実現したのもこの成果であろう。
一方、武器輸出に積極的なのは米国ばかりでない。実は、国連安全保障理事国である米国、イギリス、中国、フランス、ロシアが、多くの武器を輸出しているそうだ。アジア、アフリカ、中東、ラテンアメリカへ輸出された武器のうち、その80パーセント以上が、常任理事国から輸出されたものであると言われている。
また、シンガポールにある国際研究機関は昨年9月、”中国の武器輸出戦略の輪郭”という見出しで、過去10年で、中国は武器輸入大国から輸出大国に変わったと報じた。中国は低コスト、合理的な価格のサービス等を提供し、世界の主な武器輸出国の仲間入りを果たしたとの内容である。
トランプ大統領の登場前から武器の売り込み軍拡競争はあったのであろうが、そこにトランプ氏が美味しい商売と悪乗りしたのかも知れない。各国の軍拡競争の恐ろしさは留まるところを知らないことである。国対国の争いでは疑心暗鬼が更なる軍拡へと進める。また、武器輸出国は製造設備や人材を維持、育成するために、需要を作り出さなくてはならない。日本もこの流れに乗ったが、行き着く先は恐ろしい結果でしかない。2018.01.27(犬賀 大好-411)
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