岸田首相は、施政方針演説でコロナ禍で厳しい経済状況の人々に資金援助することを明らかにしているが、国の借金が1千兆円を越していることを気に留めているだろうか。
資金援助は、18歳以下の子供に10万円相当を給付することを決めたのが手始めだ。現金5万円を早期に給付した上で、来春に向けて5万円相当のクーポン券を支給するそうだ。菅前首相は2020年春にコロナで落ち込んだ生活困窮者のために国民全員に10万円を支給したが、この内7割程度が貯金に回ったとのことで、生活困窮者と言っても明日からの生活に困る程の人は3割程度と思われる。
この支給に加えて、経済状況が厳しい学生等にも就学支援として10万円の「就学継続資金」を、この他、生活困窮者向けの給付として住民税非課税世帯を対象に1世帯あたり10万円を給付する予定だそうだ。更に、売り上げが減少した事業者に最大250万円を給付、個人事業主に対しても最大50万円を給付する方針だそうだ。
衆議院選挙前、各党は争って国民への現金支給や減税を公約に掲げ、財務省の矢野事務次官から国の財政を顧みない”ばらまき合戦”と批判を受けたが、岸田首相も選挙で余裕をもって過半数を制したことに自信をつけたのか、気前よくばらまいている。更に、政府はマイナンバーカードを保有する全国民を対象に1人3万円相当のポイントを付与する方向でも調整中であり、国民は現金を配ればほいほいとお上に従うと思っているようだ。
政府が新型コロナウイルス禍に対応して19日に決定する経済対策の財政支出が40兆円超に膨らむ見通しとなったことが12日、分かった。日本の借金が1千兆円を越える中、数十兆円増えたところで大したことでは無いと思っているようだ。
財務省の矢野事務次官が”バラマキ合戦”と批判したことをめぐり、政府・与党内からは反発の声も出ており、安倍政権下であれば立ちどころに罷免させられていただろう。しかし、岸田首相は矢野氏の処分について問われ、全く考えていないと明言した。今後の矢野氏の処遇が注目されるが、岸田政権は安倍政権ほど強権を発揮しないと期待される。
歴代の政府は基礎的収支(PB)の黒字化の目標を掲げるが本気度は薄く、達成年度は常に先延ばし状態である。そうした一方で、岸田首相は財政健全化の重視も一応は訴えているが、中長期的な財政政策の具体案を示しておらず、本気度は分からない。
PBの黒字化には歳入の増大と歳出の削減であり、前者の手っ取り早い手段は増税だ。後者の歳出削減は社会保障費の見直し等、国民にとって耳の痛い話が目白押しだが、新規のばらまきの中止や国会議員の身を切る改革は額的にはわずかでも推し進めるべきだ。
さて、10月31日に投開票された衆院選で、当選した新人や元職の約120人に対し、文通費としてわずか1日の勤めであっても10月分として、100万円が満額で支給されていたそうだ。マスコミが取り上げたためか、各党は慌てて返納等の対策を打ち始めた。このようは話は、一般国民が知らないだけでいくらでもあるのではないだろうか。国会議員は身を切る改革を率先すべきだ2021.11.17(犬賀 大好ー764)
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