安部首相が来年4月の消費税率10%への引き上げを再延期するのではないか、との観測が広がっている。首相は「リーマン・ショック、大震災級の事態にならない限り、消費税は引き上げる」と明言し、2014年11月予定の消費税10%の引き上げを1年半延長して、衆院解散に踏み切った。日経平均も2万円を超える時もあり、アベノミクスの成果と胸を張ったこともあったが、4月1日にはついに1.6万円台となり、アベノミクスに暗雲が立ちこめてきた。
今年5月に開催予定のサミットに向けて、世界の経済状況を勉強しようと、世界的に著名な経済学者を招いて国際金融経済分析会合を開いたが、そこで有益な情報が得られたであろうか。世界不況脱却のためのいろいろな提言があったようであるが、アベノミクスの起死回生となる妙案は消費増税の見送りしか思い浮かばなかったのであろうか。
政府は、社会保障と税の一体改革の中で、消費増税による4兆円を超える税収分を子育てや介護などの社会保障の充実策に充てることにしている。しかし、消費増税を実施した場合の国内総生産(GDP)の成長率への影響は0.7%程度低下になるとし、そこで税収が減少したのでは本末転倒になるとし、再見送りしようとしている。これはアベノミクスが失敗であったことに繋がるが、そんなことより、夏の参院選で勝つことが最優先と考えているようである。
14年の増税延期決定後、欧米の主要格付け会社は相次いで日本国債を格下げし、「シングルA]相当にした。再度延期になれば、一段の格下げが現実となる。日本国債の世界における信頼度も一層低下することになるが、日本国債のほとんどは日本人の所有だとして、世界における信頼の失墜などどこ吹く風と問題にしていないようだ。
自民党は消費税10%化に伴い軽減税率の導入に関して当初は導入に否定的であったが、公明党からの強い要望によりその導入が決まったらしい。この導入により小売り業者の事務手続きの煩雑さや、税収不足を補う財源の確保が課題として残こされたが、それにも増して公明党との連合は重要なことであろうか。
そこで勘繰るに、首相の頭の中には、既に消費増税先送りや衆参同日選挙の思惑があったのではないかと思われる。すなわち、消費税の再先送りを掲げ、衆参同一選挙を行えば、再び自民党は大勝利し、公明党の支援なしに政権運営が可能と思っているに違いない。その時、軽減税率を撤回すればリーダシップが発揮されたと世の人気が上がるとの腹積もりであろう。
2014年末、安部首相は消費増税の先送りを公約に掲げ、衆議院を解散し選挙に圧勝した。これまで増税を選挙公約にして勝った例は無いようであり、先送りとはいえこの定説を裏打ちした。
夏の参院選でも勝つためには、増税を再先送りする必要がある。増税を再先送りの手はもうこれ以上使用できない。それならば、いっそのこと衆議院もついでに解散してしまおう。増税先送りと衆参同時選挙で自民党は大勝だ。アベノミクスが頓挫でも首相の座は当分安泰だ。こんなストーリを描いているのではなかろうか。
確かに、選挙民は増税に弱い。しかし、税と社会保障の一体化の必要性はよくわかっている。柳の下に2匹目の泥鰌がいると思ったら大間違いだ。
2016.04.09(犬賀 大好-223)
今年5月に開催予定のサミットに向けて、世界の経済状況を勉強しようと、世界的に著名な経済学者を招いて国際金融経済分析会合を開いたが、そこで有益な情報が得られたであろうか。世界不況脱却のためのいろいろな提言があったようであるが、アベノミクスの起死回生となる妙案は消費増税の見送りしか思い浮かばなかったのであろうか。
政府は、社会保障と税の一体改革の中で、消費増税による4兆円を超える税収分を子育てや介護などの社会保障の充実策に充てることにしている。しかし、消費増税を実施した場合の国内総生産(GDP)の成長率への影響は0.7%程度低下になるとし、そこで税収が減少したのでは本末転倒になるとし、再見送りしようとしている。これはアベノミクスが失敗であったことに繋がるが、そんなことより、夏の参院選で勝つことが最優先と考えているようである。
14年の増税延期決定後、欧米の主要格付け会社は相次いで日本国債を格下げし、「シングルA]相当にした。再度延期になれば、一段の格下げが現実となる。日本国債の世界における信頼度も一層低下することになるが、日本国債のほとんどは日本人の所有だとして、世界における信頼の失墜などどこ吹く風と問題にしていないようだ。
自民党は消費税10%化に伴い軽減税率の導入に関して当初は導入に否定的であったが、公明党からの強い要望によりその導入が決まったらしい。この導入により小売り業者の事務手続きの煩雑さや、税収不足を補う財源の確保が課題として残こされたが、それにも増して公明党との連合は重要なことであろうか。
そこで勘繰るに、首相の頭の中には、既に消費増税先送りや衆参同日選挙の思惑があったのではないかと思われる。すなわち、消費税の再先送りを掲げ、衆参同一選挙を行えば、再び自民党は大勝利し、公明党の支援なしに政権運営が可能と思っているに違いない。その時、軽減税率を撤回すればリーダシップが発揮されたと世の人気が上がるとの腹積もりであろう。
2014年末、安部首相は消費増税の先送りを公約に掲げ、衆議院を解散し選挙に圧勝した。これまで増税を選挙公約にして勝った例は無いようであり、先送りとはいえこの定説を裏打ちした。
夏の参院選でも勝つためには、増税を再先送りする必要がある。増税を再先送りの手はもうこれ以上使用できない。それならば、いっそのこと衆議院もついでに解散してしまおう。増税先送りと衆参同時選挙で自民党は大勝だ。アベノミクスが頓挫でも首相の座は当分安泰だ。こんなストーリを描いているのではなかろうか。
確かに、選挙民は増税に弱い。しかし、税と社会保障の一体化の必要性はよくわかっている。柳の下に2匹目の泥鰌がいると思ったら大間違いだ。
2016.04.09(犬賀 大好-223)
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