今日は、南大沢では青空が広がり、気温は低いが好天気。
なのに家でPCにむかっている。
写真撮りに行けよと頭の片隅で声がするが、なんとなく出不精になったこの頃です。
冬のこの時期にケヤキの樹皮下でじっと越冬しているのをよく見かけるのが、4mmほどの大きさのヤドリノミゾウムシ。
しかし、この時期以外は見たことがない。
先日の記事に乗せたヤドリノミゾウムシの写真です。
以前は、アカアシノミゾウムシだと思っていたのだが、全身が赤くて少し大きいのはヤドリノミゾウムシだとその後知った。しかしなんでヤドリという名がつくのだと疑問だった。
長池公園生き物図鑑の関係者で、毎月勉強会をしているが、1月は木原先生から、「種間関係の生物学 共生・寄生・捕食の新しい姿」という本を紹介してもらった。
その中の、「第4章 虫えいをめぐる昆虫群集」を読み合わせたが、これが面白かった。
(虫えいとは虫こぶとも言われ、寄生生物によって作られた植物組織のこぶ状の突起のことである。)
その中のヤドリノミゾウムシについての記述だが、簡単に言うと次のような驚きの内容だった。
初夏、ケヤキの葉にこぶ状の虫えいができるが、これはケヤキヒトスジワタムシ (アブラムシの仲間) が作ったもので、ヤドリノミゾウムシはこの中に産卵するというのである。その幼虫は虫えいの内壁を食べ、アブラムシは死んでしまうようだ。つまり虫えいを乗っ取りその中でぬくぬくと育つ寄生者である。
なるほどヤドリノミゾウムシだ。
虫えいの中は安全で餌もある。自分で作れなければ、人の虫えいを奪うというわけか?
ゾウムシに、そんな寄生生活をするのがいるのかと思った。
ところが、ゾウムシの仲間にはほかにもいて、ミヤマシギゾウムシはコナラ、シロオビチビシギゾウムシハオノエヤナギ、タニウツギクロツヤサルゾウムシはタニウツギの虫えいに寄生するという。
こんな多様な生活があって、ゾウムシの仲間は大勢力となったのか。
毎日生活しているその隣の身近にいる生き物でも、知らない世界は無限にある。
こんな面白い世界を少しづつのぞいていくのは楽しい。
今年の夏は、ケヤキの葉の虫えいを探さなくては。
しかし、大木の多いケヤキだが、どうやって探そうか?
どこかに、歩道橋の上からケヤキの上の方が手にとってみられるところはないだろうか?
その後気にしてみると、ヤドリノミゾウムシはケヤキの虫こぶで育つという記事をいくつか目にした。
興味ある方は、ご覧ください。
樹木を介した植食者間の相互作用に関する生態学的研究 上記紹介の本の第4章の著者の報告書
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