ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

ザハロワのインタビュー -2-

2006年11月24日 | Weblog

ロシアの新聞に載ったザハーロワのインタビューを以前UPすると言って未だに途中までしかUp出来ていませんがアエロフロートの機内誌最新号にインタビューが載りましたのでその方を先にUpします。特に面白いところをロシア語の先生の助けを借りて抜粋します。(尚 写真は9月30日のドンキの際に当方が撮ったものです)

*あなたは即興は好きじゃないですか?舞台で思いがけないことがあったらどうしますか?

即興をするしかない時はやります。例えばブラッセルでのジゼルの2幕でパートナーのアンドレイ・ウヴァーロフが怪我をしました。フィナーレ近くでバ・ド・ドウを踊ったところで次に交代で踊る前にウヴァーロフは舞台から引っ込み踊れなくなりました。私は1人残って私の分と彼の分を踊るしかなくなりました。仕方なく2人分を即興で踊りました。その時の即興は一杯やりましたが観客は満足していました。しかしその時は私は泣きそうでした。幸いウヴァーロフの怪我はひどい物ではなかったのでウバーロフとその時のことを思い出して笑い話となりました。

(訳者注:半年休んだ怪我を本当に笑い話で話してるんでしょうかね。)

ハンブルグでもう一つの笑い話がありました。ジョンノマイヤー振付のバヤデルカを踊った時はパートナーは双子でした。私のパートナーは舞台の途中で怪我をして2幕からは双子の兄弟に入れ替わりました。舞台に出る前にちょっとだけ打ち合わせして舞台に出ました。全くリハーサル無しの踊りは大変でした。双子と言っても全く違う人ですから。観客は判りませんでしたしノマイヤーも判らなかったようです。このような即興は無い方が良い。

外国のマスコミがあなたの踊りは素晴らしくコンピューターのプログラムを入れたようだと言われるが褒め言葉と思いますか、如何思いますか。

-私の考えでは良い評価だと思いますが誰が評価するかによります。例えば一寸出来なかったら評論家は悪い評価をするし全部上手くやったらコンピューターと比べられます。私の考えでは踊りの中に自分の魂を入れることが大切。踊る時に自分の魂と心を入れないと技術的に立派な踊りでも冷たい感じがします。観客もあなたを冷たく見ます。そのようなバレエなら体操をやった方がまし。スポーツの体操ならスポーツ選手は魂無しにやった方が良いが、バレエは感じることが大事。自分の感じるところを観客に見せると観客とバレリーナのつながりが生まれます。観客が何故バレエを見にくるかと言えば静かに眠る為でなく色々なエモーションを受ける為に見に来る、私は一生懸命自分の感じることやエモーションを舞台から観客に伝えるように踊っています。普通の生活では逆に自分の考えやエモーションも見せない方です。

あなたの普通の生活が想像できない。誰があなたの普通の生活を面倒見ますか。オデッタをやっている方がクリーニングやスーパーに行くことを想像できない。

ー仰るとおりですが私はオデッタだけでなくシンデレラもやっているのでシンデレラには当たり前のことです。私は母と兄と住んでおり彼らが私の生活の援助をします。主に母がやってくれます。バレリーナの母親役は大変です。そういう一生懸命やってくれる母親がいるからこそ才能のある子供がバレエのスターになることが出来るのです。我々は母親のエネルギーを貰ってスターになるのです。バレリーナの母親は踊りを見たりバレエの事情が良く判っているファンとあったりして絶えず働いています。自分の生活、時間を犠牲にして私の仕事に捧げてくれて大変感謝しています。感謝の気持ちを表すために母をパリのグランドオペラや(ミラノの)スカラ座に連れて行きます。母はそこで観客として評論します。私の母は振付のプロでしたので彼女のお陰で子供時代から私にバレエの才能があるのが判りました。今は私の踊りを2人で分析しています。母に「今日は良かった」と言われるのが最高の評価です。

-To be continued-(後半は恋愛について)-

 

 



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8 コメント

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1人2役 (Usako)
2006-11-25 10:29:46
インタヴュー記事興味深く読ませていただきました。ブリュッセルでのウヴァーロフ怪我の際は彼のパートも踊ったんですね。1人で踊ったとはどの様に?とずっと疑問に思っていたので、やっと理解できました。

ハンブルグの件も記事を目にしたような気がしますが、見た目よく似ているイリ&オットー・ブベニチェックだけど、踊る相手となると全然違うんでしょうね。ハンブルグはノイマーヤー振り付けではなく、マカロワ版だと思います。

即興は好きではなさそうですし、普通の生活では自分の考えやエモーションも見せない方と語っていますが、とても生真面目な方のようですね。彼女の踊りを見て、ただただ美しさに圧倒されるのは、このような内面が反映されているからかもしれません。

今や世界中から招かれる超売れっ子の彼女が日本の新国立劇場でたびたび踊ることに(シーズン ゲスト ダンサー)他の国のバレエ関係者は驚くそうですが、無名の頃に現芸術監督が起用してくれた事が非常に嬉しかったと会報で語っていたようです。

さて後半の恋愛についてどんな話が飛び出すのでしょう。楽しみです。
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厳しそう・・・ (ひめ)
2006-11-25 18:05:47
なんとなく性格、厳しそうですね。
お友達に居たら、あなたは向上心が無い!!
とか怒られそうです。
この雑誌、夫が出張から持って気くれて
お勉強のためによもうかな、と思ったのですが、
1行でギブでした・・・根性ナシな私です。
ので嬉しいです。後半もお任せして、
続きを楽しみにしております!!
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言い忘れましたが・・・ (ひめ)
2006-11-25 18:11:01
23日お会いできて嬉しかったです。
見目麗しかったですね、シュピレフスキー様。
踊りはちょこっと危なっかしかったですが、
もう見た目でカバー(ダメですか?)。
190センチもあるとあんなに栄えるんですねー。
最後のカーテンコールで近くに来てくれた時、
思わず拍手を忘れて手を振ってしまいました。
すんごい苦笑が返ってきました、恥ずかしい。。。
夢のような気分で、興奮して眠れませんでした。
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ありがとうございました (茉莉亜)
2006-11-25 23:01:09
管理人さま、
少し前の新聞のインタビューとても興味深く拝読しました。今回もザハロワさんの日常がわかる内容でファンは必読ですね。ありがとうございました。

USAKOさん、私が覚えている限り、ベルギーの「ジゼル」は(一人二役ではなく)ザハロワさんは自分のパートだけ踊ったと記憶しています・・・。ザハロワさんもミルタ役のアレキサンドロワさんも、ウヴァーロフさんの急な怪我で、そうとう狼狽していましたから、当日のことはよく覚えていらっしゃらないのでは?

ところで、私はまだ読んでいないのですが、(定期購読している友人によると)週間オン☆ステージ新聞最新号に10月にイタリアのパルマで行われたザハロワのガラの記事が載っているようです。ザハロワさんはモダンから古典まで4作品踊ったとか。
2部構成で、第2部はウヴァーロフさんとの「カルメン」だったようです。

USAKOさんはもうお読みかもしれませんね。
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そうでしたか (Usako)
2006-11-25 23:43:51
茉莉亜様
ジゼルの件教えてくださってありがとうございます。そうですよね。最後のところ一人二役はやはり無理ですよね。必死で場繋ぎをしたのでしょうが、その様な状態でも最後まで踊り抜くのも主役に課された責任で、見事というしかないですね。

オン☆ステージ新聞は毎週月曜に郵送されてくるので、最新号まだ手元に届いておりません。HPを見たところ12月1日号/第1687号ですね。HPからバックナンバーが申し込めるようになっていましたよ。

ひめ様
シュピレフスキーはやはり踊りがちょっと危なかったですか。でも、移籍先で彼を応援してくれる観客に出会えることはとても励みになると思います。頑張って良いダンサーに成長して欲しいです。
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インタビュー (Nana)
2006-11-26 02:41:49
ザハロワ、インタビューのブリュッセル公演部分は、彼女の主観的なものであり、客観的には管理人さんや紹介記事の方が正しいと思います。
本当は、いつも誰よりも舞台の上で彼女を助け、ピンチの時には守ってくれたウヴァーロフがけかで倒れ、ザハロワは動転し、さぞや恐い思いをしたことと思います。

足の一部が切れても自力で他の助けも借りず、速やかに舞台袖にはけ、声も上げなかったウヴァーロフの対応は、すぐに演奏をやめた指揮者の判断とともに舞台セオリー上、正しいものです。
代役をボリショイ首脳が返していて、ウヴァーロフがはけても出てこなかったこと、(翌日マチネ出演者のため、リストラで人員も減ってるし、ウヴァの出来がいいので上の人が明日を考えて返したということと考えています。)
動転した様子のザハロワが踊り続けたため、照明カットオフはできなかったでしょうが、ああいう場合、普通幕が下りるものですから。
いずれにせよ、スタッフのミスで、ウヴァと指揮者はこのバレエ団の中では頼りになる有能な人たちだと報道を見て思いました。

ザハロワの言葉、ギャフンな思い出も笑い話にしたい彼女の気持ちや、笑いあっているというウヴァーロフとの関係の距離感の近しさを感じ取った方が、ザハロワファン向けには役に立つ話かな、と思って読みました。(仲のよい仕事仲間でじゃれてるみたいな・・)

ここ、閲覧者が増えてるんで、一応客観的な話も書いておこうかと。

パルマでザハロワと「カルメン」踊ったのは、私が聞いたのは、ウヴァでなく、マトヴィエンコだったって話なのですが。
私の方が間違い?
では、とりいそぎわかる話させていただきました。
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usako様 (ひめ)
2006-11-26 02:53:42
シュピレフスキー君、まだ慣れていない感じでした。
相手の間合いを尋ねながら踊ってる、という感じ。
でもでもでもでも、美しくてなんでもOKです。
お人形さんのようにキレイな人ですよね、カレ。
バービーのボーイフレンドとかで居そう・・・。
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早速ども (管理人)
2006-11-26 07:14:15
Usakoさん、ひめさん、茉莉亜さん、Nanaさん
色々解説、コメントありがとうございました。
後編UPしましたのでご覧ください。

シュピレフスキーは堅かったですね。
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