オマージュっていったら、萩尾望都先生に失礼なのかなあ。
アデラド・リーは、彼女の作品「A-A´」(エー・エーダッシュ)の主人公です。
手元に本がないので、記憶だけで描いてますから、知ってる人がみたら、ぜんぜん違うと思うことでしょう。かんべんしてくださいね。
彼女が40代から50代に描いた作品の主人公は、このアディのように、だんだん無表情に凍り付いてきます。苦しいくらい、凝り固まっていくんです。若い頃には、エーリクやドミニクなどの、活発でかわいいお茶目な主人公もいたのに。まるで何かに魂を吸い取られていくかのように、死んでゆく。
アデラド・リーは生きているが、死んでいる。なぜなら彼女はクローンだからです。オリジナルの彼女は死んでしまい、その喪失を補うためにクローンの彼女が作られた。そこから起こる葛藤のドラマを描いた作品なのですが。
きっと作者自身も、生きていながら、死んでいるという状況だったのだろうと、推測しています。自分が本当にやりたいことは、必ずつぶされる。そういう世界だったから。