今日は、特に書くこともないので、昨夜見た夢などを、ショートショート風に書いてみたいと思います。なんだか、星野之宣のSF風の、スペクタクルな夢でしたね。
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巨大な宇宙船が、太陽系外に出ようとしている。その中には、太陽系外惑星移住計画に参加した人類が、何万人と乗っている。
船が今にも、太陽系を出ようとしているそのとき、船長と、ひとりの子供に神のお告げが降りる。それ以上いってはいけない、という聖なるものの声が聞える。そして声の主は、宇宙船が向かおうとしている星が、いったいどんなところなのかを、まざまざと見せる。
そこは石と砂と嵐と、雷しかない世界だった。なんにもない。なんにもない。生きていけるはずがない。これは大変だ。
声の主は、それ以上進むのをやめ、一旦冥王星にいきなさい、と命じる。おおいばりでかっこよく地球を出てきた手前、すぐに地球に帰るわけにはいかないからだ。船は引き返し、冥王星に向かう。その中で、いったいなんでこんなことになったのかと、人々が騒ぎ始める。すると、コンピューターが答えをはじき出す。
スクリーンの中に地球が現れ、くるくるとルーレットのようにまわり、ある小さな光る点のところでとまる。そこは大陸の奥の、小さな村。遠い昔そこであったことを、コンピューターが再生しはじめる。
暖かな明かりの点る一軒の立派な家がある。かすかな雨が降っている。
そこに、ひとりのみすぼらしい僧が現れ、雨をしのぐために軒下に入る。僧のふところには、酒が一瓶。そのせいかいくぶん、ほおが赤い。低く鼻歌などを歌い、のどの奥で何かをつぶやいている。
家の中から、一家の主婦が、楽しそうな歌を歌いながら出てくる。僧は主婦に声をかけ、その歌をほめる。気をよくした主婦はにっこりと僧に笑いかける。僧はそれからずっと軒下にすみつくが、一家はべつに気にする風でもない。
ある日、一家は出かけることになる。車を出そうとするが、故障したのか、なかなか動かない。通りすがりの、人のよさそうな青年が現れ、車を治してくれる。一家は喜んで出かける。そしてそれを見送ったあと、青年は、僧に挨拶をして、帰ってゆく。
僧は挨拶を返しつつ、のどの奥でつぶやく。
「ざんねんだね、みんな君のせいになるよ」
僧の手の中には、主婦がはいていた上等な靴がある。彼はこの家から金品をすべて盗み出し、それをみなあの青年のせいにするつもりなのだ。
そこで、聖なるものの声がひびく。
「こんなことになったのは、人のせいにすれば何でもしていいと思い、なんでもやってきたからだ」
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