世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

さみしさをみるとき

2012-10-02 07:33:35 | 詩集・貝の琴

さみしさを みるとき
わたしは いちめんの
みずいろの 水面の
上に 浮かんでいて
ためいきの ほそい糸で編んだ
白いレースの翼で
飛んでいます

水は静かで 広い鏡のようだ
わたしは 見えない糸に
空から つりさげられているかのように
あるいは 
飛んでいるまま 画像を止められたかのように
じっと動かずにいます

ああ 胸に巣くう熱い鳥が
ぐるぐる回りながら鳴いています
朱色の透き通った涙が
ほたほたと 水面に落ちます
すると一面の水は
まるで巨大な水琴窟のように

こおうん…

という音を たてるのだ
まるで わたしの魂を閉じ込めた
水晶の頭骨を 砕き散らすように

(目をとじなさい
というこえが きこえる
わたしは 目をとじる)

さみしさを みるとき
ふるさとを 思い出す前に
心臓に住む鳥を 毛糸で編んだ袋に入れて
眠らせてしまおう

そうすれば わたしは
まだ 生きていられるのだろう



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