世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

パルナッソス

2014-02-15 05:12:15 | 虹のコレクション・本館
No,70
アンドレア・マンテーニャ、「パルナッソス」、15世紀イタリア、初期ルネサンス。

これは楽しげな絵だが。
中央上部に軍神マルスとそれによりそうヴィーナスが描かれている。遠くでは、ヴィーナスの夫であるウルカヌスが、寝取られ男の叫びをあげている。クピドがそれを見ている。

実におもしろいね。

踊っているのはミューズたちだろう。パルナッソスは詩神ミューズたちの住むところと言われ、神話では詩や文学、音楽の発祥地とされている。

この絵で想起されるのは、時には奔放に遊びたくなる人間の恋の思いだ。実社会が推奨する貞節の檻を脱して、自由に好きな男、好きな女と恋したいという欲望が、人間にはある。不倫の仲であるマルスとヴィーナスが中央にいるというのは、そういう人間の、社会のおきてに逆らいたい本音が現れていると言える。

だが実際、そういうことをやってしまうと、人生はたいてい壊れる。大切な愛を失い、多くの人を苦しめたあげくに、信用を失う。ここは十分にわかっていたほうがいい。

この絵は、詩や文学などの心の世界で、恋の思いを遊ばせるのはいいが、現実ではやってはならないぞ、ということを教えているのだよ。

わかるね。




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