はがれた
夢の中を
さまよいながら
わたしは
思い出したくない
記憶の中を
目を閉じて
通り過ぎてゆく
べつに
わたしが嫌いでも
かまわないのだよ
わたしは
気にしないから
けれど どうか
そんなに乱暴に
わたしの前で
茶碗を割らないでおくれ
出ていけとばかりに
もう
出ていくから
はがれた
夢のしじまに乗って
もうふるさとに帰るから
ふるさとには
やさしく
わたしを
甘えさせてくれる
愛がいる
そこに
わたしは
帰るから
もう二度と
わたしのために
無理などしなくてよいから
もう
わたしは
帰るから
そんなに
乱暴に
茶碗を割らないでおくれ