生き物に関して、子供は結構残酷で、狭い虫かごにギュウギュウ捕まえてきて、結局傷めて殺してしまったり、時には勢いでわざと踏み潰しちゃったりするときもあります。そのたびに私はこう教えます。「どんな生き物にも、総意というもんがある。人間が学ぶためになら、ある程度犠牲になってくれる。けれど、あんまり無茶をしたら、怒るぞ」と。
ちょっと難しいかなと思いましたが、意味はわからなくても長男の心には何かが響いたみたい。真剣な目をして私を見返していました。
私は、生き物にはどんな生き物にも、個体を超えた高貴な総合意識というものがあって、人間はそれに対して敬意を払わなければいけないんだということを言いたかったのです。チョウにはチョウの総意、ネコにはネコの総意、ヘビにはヘビの総意…。想像だけれど、総意というものが先にあって、それがこの地球上で表現された形が、全ての命なのではないかと。だから全ての命はみんな個性的で美しくて、すばらしいんだ…。これはここ数年、海や山を歩き、いろんな花や生き物とふれあってきて感じた、種野の実感的空想なのです。
(2000年11月ちこり20号、通信欄)