世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

歌垣⑥

2017-12-30 04:12:41 | 風紋


アシメックは考えた。妹は今年でいくつになるだろう。確か母がソミナを産んだとき、アシメックはもう十分に大人になっていた。最後に生まれたソミナは、赤ん坊の時、とても黒くて小さい子供だった。産声も弱く、すぐ病気にかかり、これはもうだめだろうと、みなが思っていた。

だがアシメックはあきらめなかった。せっかく生まれた妹なんだ。大事にしてやりたいと言って、母よりもしげく抱き上げ、あやしてやった。母の乳の出もよかったこともあり、ほどなくソミナは回復し、順調に育っていった。

あのとき何とか生き抜いてくれた赤ん坊が、今こうして、自分の世話をしてくれている。自分のために米をついてくれたり、家の手入れをしてくれたり、こまごまと働いてくれるのだ。いい妹だ。これからも、何かと気をかけてやらねばならない。

男が寄って来なければ、子供は生めないが、一度は子供を育てさせてやりたいと、アシメックはソミナを見ながら考えた。子だくさんの女から、子供をもらえないだろうか。そうすれば、ソミナにも生き甲斐ができるだろう。いつまでも、おれが生きているわけではない。

アシメックはいろいろと子だくさんの女を思い浮かべてみた。そしてそのことを、本気で考えてみようと思った。

そうこうしているうちに、歌垣の日はやってきた。




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