アシメックは考えた。妹は今年でいくつになるだろう。確か母がソミナを産んだとき、アシメックはもう十分に大人になっていた。最後に生まれたソミナは、赤ん坊の時、とても黒くて小さい子供だった。産声も弱く、すぐ病気にかかり、これはもうだめだろうと、みなが思っていた。
だがアシメックはあきらめなかった。せっかく生まれた妹なんだ。大事にしてやりたいと言って、母よりもしげく抱き上げ、あやしてやった。母の乳の出もよかったこともあり、ほどなくソミナは回復し、順調に育っていった。
あのとき何とか生き抜いてくれた赤ん坊が、今こうして、自分の世話をしてくれている。自分のために米をついてくれたり、家の手入れをしてくれたり、こまごまと働いてくれるのだ。いい妹だ。これからも、何かと気をかけてやらねばならない。
男が寄って来なければ、子供は生めないが、一度は子供を育てさせてやりたいと、アシメックはソミナを見ながら考えた。子だくさんの女から、子供をもらえないだろうか。そうすれば、ソミナにも生き甲斐ができるだろう。いつまでも、おれが生きているわけではない。
アシメックはいろいろと子だくさんの女を思い浮かべてみた。そしてそのことを、本気で考えてみようと思った。
そうこうしているうちに、歌垣の日はやってきた。