カール・ブロッホ
人間に火を与えたプロメテウスはゼウスの怒りを買い、カフカス山の頂に鎖でつながれ、毎日鷲に肝臓をついばまれるという責め苦を受けた。彼は何百年と苦しみ続けたが、やがてヘラクレスが来て、彼の鎖を打ち壊し、鷲を射殺して、プロメテウス解放した。
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火は両刃の剣と言われるように、人間に暖かで豊かな暮らしを与える反面、傲慢の火をもかきたて、あらゆるおぞましい戦いの火もかきたてました。はては原子力の火まで、人間は焚いた。プロメテウスはその罪を問われて永遠に苦しみ続けるわけですが、それを助けるのが人間の英雄だということは、いずれ人間も火を十分に使いこなすことができ、何もかもを正しくやっていくことができるようになる。そのときになって始めて、プロメテウスは解放されるということでしょう。
いつまでも馬鹿ではない。必ず彼らは賢くなる。ただそれまでの年月が、永遠にも似て長いだけなのだ。