わたしはここでは自分の個性は極力出さないことにしている。
この日記の書き方も、シルマの書き方を真似して書いてるよ。だからなんとなく、別人物が書いているようには思えないだろう。
全然自分らしくない形に入ってそれを生きるってのを、わたしは今それなりに楽しんでみている。
苦手な分野にも、かなり挑戦している。切り絵とかね。ああいう細やかな仕事っていうのはわたしにはむいてないようだ。
わたしが絵を描くとしたら、キャンバスに絵の具を殴りつけるように描くだろうね。そういうのが好きだ。
しかしそういう自分を抑えて、かのじょのようにおとなしい女性として生きるっていうのも、けっこう力が要っておもしろい。
自分を抑えるというのにも、痛い技術がいるんだよ。苦手な分野に自分をねじこむように入れ込んで、無理やり自分に表現させるんだ。そうしたら痛い作品ができる。
絵画館のアビゲイルとイヴァンナはわたしの作品だ。きつい感じの女性だが、どことなく自分を殺されているような感じがするだろう。
自分を殺して神にささげる。女性なら当たり前にできないといけないことだが、男もある程度はこの分野を制していなければならない。
それができるやつは、女性を尊敬できるよ。