息子を見ていると、かのじょの若かったころのことを思い出す。
かのじょがやってた頃なんだけどね、こうして主体に入ってみると、まるで自分のことのように感じるんだよ。
かのじょの若いころも、いろんな失敗をしていた。若いころの定めのようなものとして、年寄りをよく馬鹿にしていたね。
まあかのじょの周りには、尊敬できるような年寄りがいなかったということもあるが。
若いやつらというのは年寄りを馬鹿にするもんだけど、わが息子たちも、かなり馬鹿にしているよ。
そういう若い者たちに、わたしは情愛がわくのだ。おまえもそうか。わたしもかつてそうだったなと。
年をとって初めて、神が若いころの自分をどんなに愛し、目覚めを待ってくれていたかがわかる。
あの頃は何もわかっていなかった。ただ若さだけを印籠のように掲げて、偉そうなことを考えていた。
何もできないくせしてね。
かのじょが本格的に人生の勉強を始めたのは、30になってからだね。若いということが、本当に何もないことだということが、わかったからさ。
わかるということが大事なんだ。年をとればとるほどに、いろんなことがわかってくる。
若さにつまずかず、まじめに勉強していくんだよ、若者たちよ。
それが一番いいことなんだと、いずれわかるときがくる。