ジャン・バティスト・ジョセフ・ウィカール
ある日二人の女が子供を生んだが、一人の子供は死んだ。その母親が、もうひとりの生んだ子供を自分の子供だと言い張った。争いが生じ、二人は知恵深きソロモン王の前に出て裁きを願った。するとソロモンは子供を引き裂いて二人に分けよと言った。それを聞いて青くなった一人の女が、子供はやるから、殺さないでくれと願った。めでたく、子供は本当の母の手に帰ることになった。
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子供を失うことほど、女にとってつらいことはない。だから死んだ子供の母親も血迷ったのでしょう。子供を切り裂けなどということは、物事を理屈で切る男にしかできないものだ。しかしそれが真実を摘出することもある。ソロモンは知者として有名だが、本当にこういう結果を予測して言ったのかどうかはわからない。女の裁きをするなど面倒だからつい言っただけのことかもしれない。