自信たっぷりになるってことは、ある意味、自分を見失うってことかもしれないですね。悩み苦しむことを棚にあげて、現段階の自分を保存してゆくために、自分を忘れていく。感じることや考えることを怠っていくと、人はどこか冷めた傲慢に陥ります。怠惰の中の永遠で、「大人」になったのだと錯覚してゆく。
それができない人はただ悩み苦しみます。そして表現の道に光を見いだしてゆかざるを得ない。
自分の中にある感性と、何かを表現したいというどうしようもない何かとに、導かれながら、自分を追い求めてゆくというのもいいことです。やれるとこまでやってみる。それしかないと、本当の自分が、自分の中でささやき続けている。
(2006年4月ちこり36号、通信欄)