世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

幸せ

2015-12-11 03:27:59 | ちこりの花束


 最近、幼稚園であったPTAの広報部会でのことですが、ある部員さんが、誰に言われもしないのに、反射的にみんなの分のコーヒーを入れているそのてきぱきした動きを見て、うわぁ、すごい!と種野は思いました。どっちかと言えばおっとりのろまの種野には、とてもまねのできない動きだったからです。そんな、人の、何げない良さを見つけると、なんだかとても幸せな気分になります。
 みんな、それぞれに良さを持った人間どうしが、それぞれの良さを教えあったり影響しあったりして、よりよく成長しあうことができたら、すてきな世の中になるだろうなあ…。お気楽な種野はそう思います。


(1999年3月ちこり15号、通信欄)





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アップル・ミント

2015-12-10 03:33:06 | 月夜の考古学・本館
 アップル・ミント Apple mint

シソ科ハッカ属の多年草。顔を近づけると、リンゴに似た甘い芳香を感じます。喫茶店などでアイスクリームを頼むと、よくてっぺんにアップルミントの葉っぱが飾られてます。香りもさながら、見るだけでも清涼感をくれる、美しい植物です。
 さてこの詩は、夫と一緒にあるお宅のエアコン掃除に行った時に、思い浮かびました。夫がお客様の家に見積もりに行っている間、私は外で、アップルミントが植えてある花壇の側にしゃがみこみ、しばらく草と話をしていたのです。
 あのアップルミントの茂みの中には、きっと目に見えない美しい魂が潜んでいたに違いありません。その甘くすがすがしい香りの中にいると、胸の中のもやもやがはれて、お日さまが照るように、素直な本当の自分の言葉が出てくるのです。
 長年夫婦をやっていると、いろいろなことがあります。記憶のガラクタの中を探れば、時々ムカデのような心の傷がうごめき出してきて、それがうずくようにささやくこともあるんです。(あのとき、あんなことを言ったよね。あんな仕打ちをしたよね。どれだけ傷ついたか、あなたにも思い知らせてやりたい……)ってね。でも、不思議に、本人を目の前にすると、言えない。
 なぜかなあ。けっこうひどいことを言われてきたから、一度くらいやりかえしてもいいはずなのに、できない。言おうとすると、胸の中で、だれかが急ブレーキをかけて、ダメ!ってとめられるような気がする。そのだれかに逆らう気になれない。逆らったら、自分の本当に大事なものを失うような気がするのです。(言えば言ったで、またケンカになるから、面倒くさいってこともありますが。)
 でも、ミントの茂みの側で、夫を待っているうちに、なんとなく、風に溶け込んだ清涼感が、古くなったニスを取り去るように、わたしの心の古い濁りを取り去ってくれたような気がしました。そして、もやもやの向こうに隠れていた。お互いの本当の姿が、くっきりと見えてきたのです。
 一緒にいるってことの幸せが、ふとリアルに迫ってきました。一人じゃなくて、だれかと共に生きるってこと。誰よりも近い所から、瞳をのぞきあえる、息づかいを感じられるってことが、何にも変えがたい幸せなのだと気付いたのです。
 日々の暮らしの中で心の中に重いものを持ってしまったら、ミントの側にいくこと。これはおすすめです。



(2004年8月、花詩集15号)





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フロルヴェリチェリ・フロル

2015-12-09 03:33:53 | デッサン・下描き

切り絵の下描き。完成作はこちら



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三兄弟

2015-12-08 03:30:17 | 画集・ウェヌスたちよ

2000年頃。副題は「親の欲目」。
このころ第4子はまだ生まれていなかった。




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緑のヴィーナス

2015-12-07 03:23:01 | 瑠璃の小部屋

2013年ごろ ヤフーブログに発表したもの。





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ガラスの十字架

2015-12-06 04:47:15 | ちこりの花束

 人には、それぞれの魂の中に、自分で取り組んで行かなければならない、十字架があります。人生の試練というのは、自分の内部にある十字架が、周囲の環境に投影して、この世界に起こってくる個人の魂にとって最も重要な経験と言えるのではないでしょうか。そこから何を学び取り、どう自分自身の魂と深くかかわっていけるかが、その人の人生の豊かさなんだと思います。
 人は皆、それぞれの感性の中に、容易には溶けないガラスの十字架を抱き続けている。その痛みを一つ一つ食べながら、涙と言葉で真珠のように少しずつ浄化していくしかないのです。誰も代わってあげることはできない。ただ、お互いに瞳や言葉を交わしながら、力を与え合い励まし合うことはできます。


(2004年11月ちこり32号、通信欄)





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総意

2015-12-05 03:20:19 | ちこりの花束

 生き物に関して、子供は結構残酷で、狭い虫かごにギュウギュウ捕まえてきて、結局傷めて殺してしまったり、時には勢いでわざと踏み潰しちゃったりするときもあります。そのたびに私はこう教えます。「どんな生き物にも、総意というもんがある。人間が学ぶためになら、ある程度犠牲になってくれる。けれど、あんまり無茶をしたら、怒るぞ」と。
 ちょっと難しいかなと思いましたが、意味はわからなくても長男の心には何かが響いたみたい。真剣な目をして私を見返していました。
 私は、生き物にはどんな生き物にも、個体を超えた高貴な総合意識というものがあって、人間はそれに対して敬意を払わなければいけないんだということを言いたかったのです。チョウにはチョウの総意、ネコにはネコの総意、ヘビにはヘビの総意…。想像だけれど、総意というものが先にあって、それがこの地球上で表現された形が、全ての命なのではないかと。だから全ての命はみんな個性的で美しくて、すばらしいんだ…。これはここ数年、海や山を歩き、いろんな花や生き物とふれあってきて感じた、種野の実感的空想なのです。


(2000年11月ちこり20号、通信欄)




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2015-12-04 03:27:28 | 詩集・試練の天使

心に秘めた恋は
甘い砂糖漬けにして
だれにも見つからない
心臓の引き出しに
隠しておきなさい

それを言ってはならない
それを出してはならない
心の奥に小さな秘密の引き出しをつくって
そこに死ぬまで隠しておきなさい

愛を我慢できなくなったら
それを涙に溶かして
だれにも見えない貝の中に閉じこもり
愛する人への思いの中で
声をかみしめて泣きなさい

あなたが耐えたことは
あなたの美しい宝になるだろう
あなたが行った愛は
あなたを美しくしていくことだろう

神だけが知っている
あなたの思いの中を
一羽の鳩が風のように横切って行く
それは あなたが今耐えていることが
いつかかわいらしい種となって
新しい芽が吹き出てくるということなのだ

悲しみを壺の中に閉じ込め
今はただ 耐えていなさい
いつか必ず あなたは愛を乗り越え
新しい自分の姿を知ることができるだろう




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悲しみ

2015-12-03 03:24:16 | 画集・ウェヌスたちよ

2001年ころ。ちこり同人作品用挿絵。





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ラッパを吹くうさぎ天使

2015-12-02 03:36:11 | 画集・ウェヌスたちよ

ちこり口絵用カット。





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