パリといえばエッフェル塔
東京と言えば東京タワー
気仙沼といえば
かまぼこ校舎
気仙沼湾の内湾のランドマーク
安波山の山麓を囲む街の中に
ひときわ高く屹立する建築
校舎の上に載せられたかまぼこ屋根の
体育館
たぶん
四十年ほど前から
そこに建つ
スカイツリーは巨大だが滑らかで
できるだけ
異物であることを和らげようとしている
ように見える
東京タワーは
無骨だった
覆うもの何もない骨組み
しかしその力強さを
ひとは愛した
(今でも誰もが愛しているもの)
エッフェル塔は
パリっ子に評判悪かった
なんだあの鉄の塊は
パリのエレガンスの対極にある
無様なもの
(しかし今はパリに無くてはならないもの)
五重の塔は
京都の街並みに溶け込んでいる
夕暮れの京都盆地に
五重の塔が
シルエットのように浮かんでいる
四十年前に
真新しい校舎が
頭でっかちのアンバランスな建築が
安波山のふもとに
突如出現した
一夜城のように立ち現われた
まちのひとは
そこに
希望を見たか
どうか
新しいものは
すべて美しいと語ったか
どうか
田舎町に
調和はそもそも
そぐわないと語ったか
どうか
瀟洒な建築は
望むべくもないと語ったか
どうか
それが
さて
失われるとなると
四十年分の経過が
雲のごとく消え去るとなると
ものを惜しむ心もちが
立ち現われる
ことになるのか
どうか
どうなるのか
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