人間賛歌・もっちゃん4649

母の心に届く近道

2番目の妹から宅急便が届きました。

料理好きな妹は友達と味噌作りを始め、今も続けているようです。
毎年11月に仕込みをして1年間寝かせたものを送ってくれています。
おかげでここ何年かは自家製の美味しい減塩味噌をいただけているのです。

大きな箱にリンゴやお歳暮や味噌を詰め合わせにしているので、重たくってたいへん~
妹の愛がいっぱい詰まっているのだと思いました

母の部屋に運び込むと、母は見るなり、
「なんね?どこから?」と聞いてきました。

送り状をはがして手渡してあげました。
「千葉の直子さんからやねえ~」と見ながら言います。
「直子さんって誰だか分かる?」と聞いてみました。

「私の2番目の娘でしょう?」と胸を指差して答えています。
「そうそう、直ちゃんからよ~開けてみましょうか?」

頑丈に布テープで梱包されているので、ちょっと母の力では無理~
「思えばこそやねえ~ありがたいねえ~」と傍らから覗き込んでうれしそうに見ていました。

隣の従兄弟と3軒前の従兄弟の分の菓子箱も入っているので、すごい嵩なのです~
荷作りも大変だったろうと思いました。

母と私の連名の手紙が上に載っていました。
声に出して読んであげたのです。

読み終わるや否やすぐに手を出して自分で広げて読んでいました。
まだまだ字が読める楽しみはなくなっていないので、特に手紙やハガキはいつまでも大事に読み返しています。

5分経てば忘れるみたいなので、いつも新鮮な気持ちで読み取っているようです。
贈物は神様に先にお供えしてきて~と言うので、和室のほうに運び込みました。

母は結局一日中妹の手紙を読んでは封筒にしまい、テレビを見終わってまた机の上に目をやり手紙を見つけて読んではしまい~を何回も繰り返していたのです。

9時の就寝時に声をかけに行った時も椅子にかけて手紙を広げていました。
「誰からの手紙?」と聞いてみると、
「直子からよ~」
「元気にしているのかな?」
「そうらしいよ~」

何とも頼りない問答でしたが、今日も妹の手紙を何回も読み返して一日を過ごすことでしょう~
遠く離れていると子どもの名前も忘れるみたいで口にすることはまったくありません。

ハガキ一枚で親は喜ぶのよね~~

送り名を見たら娘だと思い出し、何回も直ちゃんを親孝行娘だと感じていたのよ~
品物は神さんにお供えしたら見えなくなって忘れてしまうけど、手紙は手元に置いてあるからね~

50円か80円の便りが今では一番母の心に届く近道だと感じられます

直ちゃん、親孝行ができてよかったね~

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