市内の幼稚園から中学校までのすべてに関わる仕事でしたので、笑顔をもらった出会いはもっともっと多いのですが、みどり学級生として結びつきの深い生徒の人数です。
いつまでも覚えておきたいから、印象に残っていることをこの際まとめておこうと思いました~
まず最初の年はYちゃんとEちゃんとの出会いでした~
Yちゃんはみどり1組の知的障害児学級でダウン症児です。
歌の好きなスマップファンで、5人のメンバーの名前を漢字で書けるのが大きな自慢のYちゃんでした。
Yちゃんがダウン症だと分かった時、父親がたくさんの本を買って自分の入院中に勉強してくれていたことを退院後に知り、どんなにありがたかったか~と母親は今も感謝しています。
温厚でYちゃんを大事にかわいがってくれる父親と祖母と6歳違いの妹の5人家族です。
35歳以上になるとダウン症児の出生率が上がると聞いたので、妹の時は40過ぎだったし、姉妹ともにダウン症かも~?と心配していたことも話してくれました。
妹の名前を頼子ちゃんとつけたそうで、姉のことを頼むというメッセージに思えて少々辛かったのを思い出しました。
Yちゃんは吹奏楽部に入り、ホルンのパートになりました。
身長が130と小柄なので、運動場をマーチング練習で楽器を抱えて歩く姿はとっても不憫でしたが、本人は鼻風邪をひいていても楽器は離さず抱きしめている子でした。
不思議とマウスピースもマスターできて音が出るようになってきました。
吹奏楽コンクールに出場し、ダウン症児だと一見するだけで分かるし、Yちゃんを活動の中に入れて発表している姿に感銘を受けたというコメントつきで3年生の時に金賞を受賞できたのですよ~
音楽が好きだというYちゃんの特性が審査員の心を動かしたようです。
Yの母親は教育熱心でかなりスパルタのところがあり、すぐに行動に移す人だと聞いていました。
連れ合いの仕事関係の人が実家で懇意にしている人だと分かり、掌を返したように私を尊敬の眼で見てくれるようにわずか一月足らずで豹変してくれたのには恐れ入りました~
連絡帳で交換日記のように毎日話し合っていましたので、心の動きが手に取るように伝わってきていたのです。
5月初めのことでした。
吹奏楽部に入部したので遅い帰りのお迎えに毎日車で見えていたのですが、
「しばらく足を痛めたので行けません。」という連絡でした。
同じ方向の友達に付いて帰るように放課後の下校指導を私も気をつけていた頃のことでした。
喜びの連絡帳を受け取りました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー通信より抜粋
言葉には、あたたかく励ます言葉と、人をやっつけるために使う冷たい言葉と二つあります。
学校内でも教室内でも、ときおり、人をやっつけるための武器のようにつめたく鋭い言葉が友達に投げつけられ、言った人も言われた人もそして周りの人たちまでも、言葉の持つ重さにぎくっと立ち止まり、心を傷めることが多くありますよね~
思いやりの中から出た温かい言葉に出会うと「なんて人間ってステキなんだろう!!」って感動してしまいますね。
思いやりと言えば、Yちゃんのお母さんの連絡帳を思い出します。
4月、Yちゃんと言う小柄でいつも人なつっこい笑顔の女の子が入学してきました。
Yちゃんには、小学校1年に入学した妹がいました。
小、中ともに入学させたと言う緊張感からか、気の毒にお母さんはつまずいて左足首を骨折なさったのです。
Yちゃんより早く妹を登校させねばならなかったので、お母さんが玄関の外からYちゃんに
「階段のところに妹の連絡帳があるから、Yちゃんとってきて!!」と家の中に向かって声をかけました。
Yちゃんはすぐに探したけど、見つけられませんでした。
しばらく待っていたお母さんは待ちきれずに、片足でケンケンしながら中に入っていきました。
その時Yちゃんの口から、生まれて初めて「ごめんね!!お母さん。」と言う言葉が出たそうです。
お母さんの要望に沿う事が出来なかった自分を、すまなく思いわびているのです。
お母さんはこの一言に涙が出るくらいうれしかった!!と連絡帳に書いて教えてくれました。
「周りの人がやってくれて当然と、他人に何もして返せない娘だろうと思っていたのに、内面で私に対する思いやりが育っていたんですねえ」と喜んでおられました。
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Yちゃんはお母さんの希望通り頑張って、卒業時に就職できる県立高等養護に入り、今も元気に生駒のクッキー製造のお店に勤めています。
早いものでもう27歳になっていますが、やりかけたことは根性で粘り強くやり通せます。
いまだに、スマップファンは健在で、コンサートにお母さんを連れて行ってあげたそうですよ~
何度か美味しいクッキーをみどり学級の後輩たちといただきました~
Yちゃん、体に気をつけてがんばってね~
また、会えるのを楽しみにしていますよ~
明日に続く~
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