(本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしてアップ。
その後、内容を少し改め、再アップしたものです。)
このところ、山道具を更新したり、買い足ししてるのは、
山小屋(賄い無し)に泊らないと登れない山に行きたくなったからだ。
その第一弾として選んだのが山形の大鳥池以東岳。今回の目的とする花はヒメサユリ。
いろいろ情報を集めていたら、そろそろ咲き出しているようだし、
(泡滝ダムまで通じる)林道の冬期通行止めも解除されたと聞き、今回、ことに及んだような次第。
この写真は6月2日、摩耶山山頂から見た以東岳方面。
詳細はこちらに記してあるが、6月2日、摩耶山山頂で以東岳に登ると決心した。
6月25日は夕方までに大鳥池に入れたらいいだろうと、のんびりと朝8時過ぎに秋田市自宅を出発。
秋田市の天候は雨が降ったり止んだりと、けっして好くはなかったが、南に行くほど、しだいに明るい曇り空に変わって行った。
今は鶴岡市になってしまった旧・朝日町のタキタロウ館より奥の東大鳥川は人家も無く、
ところどころ簡易舗装された砂利道の林道が延々と続いていた。
東大鳥川の始まり付近。奥の山は茶畑山のようだ。
もうかなり奥まで来たなというところで、道路に落石を発見(時刻は12時過ぎ)。
下りてみると、奥の方の落石が道路を塞いでおり、しかも独力でどけるのはちょっと無理だった。
この前の大地震(この山域の震度は6弱か6強と推定)で緩んでいたものが昨日の雨で転がり落ちたような感じだ。
ここまで来て、中止するのもどうかと思い、手前の路肩スペースに駐車し(近くに赤いRVが一台駐車中)、
テクテク30分ほど歩いたら、林道が終点になり、駐車スペースには三台の車が停まっていた。
落石の様子 林道終点の駐車スペース
念のため、車のナンバーを写真に撮り、登山口の泡滝ダムまで来たら、釣り人が独り居た。
どうやら赤いRVの主のようだ。
と言うことは、林道終点駐車場の三台の車のヌシは落石で出られなくなったことを知らないまま、
この奥に居るようだ。
もちろんこのエリアはとっくに電波圏外になっている。
泡滝ダムには釣り人が一人居た。
落石アクシデントをこの奥に居る方々に伝えると言う新たなミッションも加わり、
私の大鳥池までの登山(コースタイムは約三時間)が始まった。
大鳥川の谷間をスッポリ埋める残雪。川は雪の下を潜って流れていた。 歩きやすいブナ林の道
狭い渓谷道に入ると、対岸の谷には滝や大量の残雪が。
いわゆるスラブの岩壁はこういう大量の雪で削られて出来るものなのかなどとと感心しながら歩く。
しばし緩やかで歩きやすい道が続き、この先もこうならいいなと思った途端、目の前に険悪な道が現れる。
最初の険悪箇所 大鳥川の渓谷
このあと今日のルートで最大の難関が待っていた。それはジミヤチ清水手前の残雪。
登山道は先に見えるのに、目の前の雪壁はおとなの背丈以上、これを乗り越える術がないのだ。
ジミヤチ清水手前の残雪
仕方なく残雪を下り、スノー・ブリッジになってる処を恐る恐る歩くことにした。
そこを無事乗り越えたらご褒美だろうか。ジミヤチ清水の美味しい水を頂く。
なお大鳥池へのルートは随所に美味しい水場があり、水の携行は不要なほどだった。
このルート、樹林ばかりで花はさっぱりだったが、ジミヤチ清水の周辺だけは春の残り花が有った。
サンカヨウ ニリンソウの残り花
他にリュウキンカも咲いていた。
その先はさして危険な箇所もなく、渓谷沿いの樹林道が坦々と続く。
途中見えた三角のお山。後で調べたら、大鳥池の西岸に聳える1446m峰のようだ。
冷水沢にかかる最初の吊り橋。渡った先は好い休憩場だった。 ヘビの名所?、七つ滝沢橋。
吊り橋がふたつあり、どちらも中ほどではよく揺れた。
ふたつ目の七つ滝沢橋はヘビがよく日向ぼっこしている場所と聞いたので、最大限に警戒したものの、
(´π`;)ワタシが通った時は一匹も居なかった(代わりに七曲りで遭遇)。
七曲りの坂道は地図上では僅かの距離だが、ここから一気に標高差200mを登る。
この道はこれでもかこれでもかと呆れるほど執拗に屈曲し、実際には十回以上、曲がっていた。
七曲りの道
上り坂終点の木 タキタロウ山荘
このブナの木の生えているところで、上り坂は突然、終了した。
その先は平らになったブナ林を歩く。樹間から、大鳥池と周りの山が見え隠れする。
午後4時半に今夜のお宿、大鳥小屋タキタロウ山荘に到着。
落石により、手前から歩いたことや残雪で躊躇した影響もあり、コースタイム3時間のところ、4時間近くかかってしまった。
これが最初に見た大鳥池(標高960m)。
湖畔(制水門)で、釣りをしている男性が二人居たので、挨拶したところ、片方は小屋の管理人だった。
宿泊の申請と同時に、泡滝ダム手前の落石の件、車三台が閉じ込められている件を報告したところ、
「(`◇´)我々は今朝、車を置いて入ったところだ。落石はその後に起こったに違いない。
地震で緩んでたのが、昨日の雨で今日になって落ちたんだ。教えてもらって有難い。(`◇´)すぐ市役所建設課に伝える。」
との返答。
「 (´π`;)電波圏外なのに連絡できるんですか。」と訊ねたら、小屋に衛星電話があるから大丈夫とのこと。
なお管理人の足元では優に2mを超えるヘビが日向ぼっこをしてたので、
そのことも指摘したら、ここはヘビの多いところなので、いちいち構ってられないとか。
なお、その後、管理人から、
「電話したら、既に市役所の方で落石を撤去したあとだった。よかった。よかった。みんな帰れる~。(^◇^)」
との報告。
花は26日に登る以東岳に期待していたが、大鳥池の畔にもいろいろ咲いていたので報告しておく。
湖面の標高は966m、つい最近まで雪に覆われていた処もあり、
ここの季節感は下界で言うところの四月下旬から五月アタマくらい、約二ヶ月間の時差(月差)を感じた。
タムシバとムラサキヤシオ タムシバ
ムラサキヤシオ
ミヤマスミレ
イワウチワ タニウツギ(26日昼に撮影)
この山域で咲き残っていたイワウチワは純白ばかりだった。
タニウツギは春と言うよりも初夏のイメージだ。
しばし大鳥池の夕景を。
池に着いたばかりの時、空はすっかり晴れ上がっていたが、水面にはさざ波が有った。
小屋に荷を下ろし、晩飯の支度をしていたら、波もだいぶ鎮まって来たようなので、水汲み場に下りてみた。
ここからは以東岳もよく見えた。
水汲み場から大鳥池と以東岳
以東岳山頂付近。以東小屋もよく見える。
1446m峰。
今日のタキタロウ小屋の宿泊者は私以外は一名だけ。
晩酌で酔いが回り出したら、以東岳のアーベンロートが始まった。
「初めての以東岳・登山編」に続く。
昨日は未明より遠方の山へ行き、帰りも遅くなったため、レスポンスできないでおりました。
サンカヨウって深山、高山の植物というイメージでしたが、
北日本では人里近い低山でもけっこう見られるものなんですね。
以前、青森市の里山に踏み込んだ途端、「なんか用?」てな感じで咲いていたので驚きました。
それでも森林性の植物なので伐採して強い日差しを浴びるようになると耐えられなくなるようです。
近くの雑木林にサンカヨウがあったんですが
木を伐採してしまって今では見られなくなりました。ショック! ピエロ
私が登ったのは黄紅葉の素晴らしかった秋でした。
以東岳の小屋に泊まった朝、ブロッケン現象が見られたのですよ。
振り返れば大朝日岳の稜線に滝雲が掛かっており興奮の連続でした。