私がバス運転士にはじめてなった令和2年当時、運転士同士がすれ違うときは、必ず手を上げて挨拶するように教わりました。
実際、挨拶を忘れて先輩運転士から厳しい叱責を受けたり、中には喧嘩になるケースもありました。
バス業界は、他の業界に比べ昭和の雰囲気が今も色濃く残ります。
その為、先輩後輩の上下関係が色濃く残り、不義理と先輩側が感じることがあると後に引きやすいめんどくさい側面があります。
さて、手を上げて挨拶することについて、令和3年頃から突然禁止にする会社が増え出しました。
理由は、手を上げて挨拶することで注意が散漫になり、実際のわき見運転によるや片手運転による事故が発生したり、ヒヤリハットやクレームが表面化したためです。
特に運転技術が未熟な新人運転手が、先輩運転士の叱責を怖れて、交差点の右左折時や横断歩道の通過など特に注意が必要な場面で、無理に行うことへの懸念が表面化されました。
そんな中で、日本バス協会は国交省のマニュアルに基づき公式に手上げ挨拶を禁止するように各バス会社へ意向を示しました。
ちなみに、協会からの意向で直らない場合は、法制化が具体的になされて、運輸局が直接指導する流れになります。
大手や地方の有名バス会社は、その意向を受け安全運転確保の観点から手上げ挨拶を一律に禁止するように動き始めました。
しかし、地方の中小バス会社は、人間関係の複雑さから、表面的には禁止にしていますが、徹底が不充分なケースが散見されます。
未だに地方の中小バス会社では、手上げ挨拶による人間関係のトラブルがある会社が今でも存在するようです。
基本的にバス運転士は、安全を全てに対して優先する仕事です。
仮に遅延が発生したとしても、安全確保が理由ならば許されるのです。
バス運転士の中には、無駄にプライドが高い人間が、他の業種よりも多い傾向があります。
その人間に対して、社歴が長い場合などの理由から、会社側も適切な指導が出来ないケースがあります。
大手や地方の有名バス会社は、その辺の指導は問題ないのですが、地方の中小バス会社は未だに指導しきれていないケースが多々あります。
しかし、事故が起こり取り返しの付かない事態になった場合、割りを喰うのは真面目で気が弱い新人運転士になる場合が多いです。
私は、上記で言及したように法制化をして一律に禁止すべきことを検討する時期に来ているように感じます。
国が法制化するか悩んでいる内容は、業界団体を使い国の意向を業界各社に予め表明して、一定期間様子を観ることをします。
改善が見込め無い場合は、はじめて法制化に向けた動きを始めます。
日本の行政は、表層的には後手後手の対応と云われますが、なにもしてないわけではないのです。