(写真は、小天温泉の那古井館)
先月の帰省時は熊本も異常寒波で、余りの寒さに、
温泉で少し温まりたいと思い、日帰りで、実家
から近場(バスで50分)の「小天温泉」へ行って
来ました。
熊本市交通センター(10:25)→玉名駅行き
→小天温泉(11:13)
熊本市内の繁華街を抜けると、波が静かな有明海
の海岸沿いに、路線バスは北上します。
右手の山側は、山の斜面に、延々とミカン畑が
続きます。
「小天温泉」は、明治の文豪・夏目漱石が愛した
温泉です。
”入って良し、飲んで良し”という豊かな温泉の
恵みと、目の前の有明海で水揚げされた新鮮な海
の幸の懐石料理が楽しみです。
小天温泉は「ミカンの里」で、江戸時代には藩が
ミカン栽培を奨励し盛んになりました。
ミカン畑の石垣は、熊本城築城の技術が伝わったものだそうです。
小天温泉バス停で降り、バス停の前の「那古井
(なこい)館」に入ります。
下の写真は、那古井館の庭の漱石の句碑です。
”温泉や 水滑らかに 去年の垢”
戦後、草枕にちなみ屋号を「那古井館」に変えた
この宿は、小天温泉で唯一の温泉旅館です。
下の写真の女将さんの話だと「那古井館」は江戸
時代の創業だそうです。
(BS朝日「草枕の舞台」)
(戦前の那古井館:BS朝日「草枕の舞台」)
明治30年、夏目漱石は、同僚と2人で、熊本市内
から一番近かったこの小天温泉を訪れました。
この小天温泉への旅を題材にしたのが「草枕」
です。
「草枕」では、漱石は、この小天温泉を、
”那古井”という架空の地名で描いています。
那古井館に入ったのは昼前でしたが、お腹が
空いたので、早速、熊本の銘酒「香露」と
懐石料理を注文します。
季節を感じさせる手間暇をかけた彩り豊かな料理で大満足です!
(添え物は、ここの庭の梅の枝です。)
一服したところで、那古井館の温泉に入ります。
草枕 (新潮文庫) | |
夏目 漱石 | |
新潮社 |
漱石は「草枕」の中で、小天温泉を以下の様に
描写しています。
「鉱泉と名のつく以上は、色々な成分を含んで
いるのだろうが、色が純透明だから、入り
心地がよい。
折々は口にさえ含んでみるが、別段の味も
臭いもない。
病気に利くそうだが、聞いてみぬから、
どんな病に利くのか知らぬ。
湯はどこから湧いて出るか知らぬが、常でも
槽の縁を綺麗に越している。」
私も、”入って良し、飲んで良し”という豊かな温泉に入り、少し飲んでみます。
何となく身体に効いいた様な気分になりました。
那古井館には、下の写真の様に、宮崎駿も社内
旅行で来たそうです。
帰り際に、小天温泉バス停の前のお店のミカンが
美味しそうだったので買いました。
下の写真が買ったミカンですが、袋の中のミカンが何と400円!
そして回りのミカンとデコポンは試食用のオマケです!
余りに安いので、お店の人に気の毒なくらい
でした。
「那古井館」の裏手には「前田家別邸」があります
が、ここは、夏目漱石が宿泊し「草枕」の中に
描いた「浴場」と「離れ」が残っていて見学
出来ます。
この前田家別邸については、長くなり過ぎるので、
分割して次回にご紹介したいと思います。