芋焼酎のつぶやき、バラとの戯れ & HbA1c・血糖値を下げる新しい糖尿病食事療法『糖質制限食』実践記録

A Days of Wine and Roses.酒とバラとイバラの日々。芋焼酎好きアラ還-バラ栽培と糖質制限に挑戦です

東日本大震災(平成の大地震) - その125 備忘録

2011年12月25日 | 大地震
■12月25日(日、290日目)

・毎日jp---『福島第1原発:損賠支援 政府保証枠4兆~5兆円規模へ』
『政府は24日、12年度予算案で、東京電力福島第1原発事故に伴う損害賠償を支援する原子力損害賠償支援機構への政府保証枠を現在の2兆円から4兆~5兆円規模に拡大する方針を決めた。
機構は東電に出資や融資ができ、その原資として、機構が銀行から資金を借りる時に政府は保証を付けている。東電は今後、福島第1原発の廃炉費用などが膨らむ見通しで、政府保証枠が拡大されると機構は銀行から資金を借りやすくなり、東電の資金需要に柔軟に対応できる。予算案の国会提出までに具体的な保証枠を決定する。
政府は保証枠とは別に機構に対して5兆円の交付国債の発行枠を持つが、機構が交付国債を現金化して得る資金は賠償にしか使えず、廃炉などの費用には充てられない。【野原大輔】』


■12月24日(土、289日目)

・CNN---『ニュージーランドでM5.8の地震 負傷者も』
『ニュージーランドのクライストチャーチ近くで23日、マグニチュード(M)5.8の地震が2回発生した。米地質調査所(USGS)が伝えた。
1回目のM5.8の地震1 件が起きた約8分後にM5.3の地震1 件が発生。その約1時間20分後に再びM5.8の地震が発生した。
同国当局の発表によると、この地震1 件の影響で少なくとも2人が負傷したという報告があるという。また、クライストチャーチ空港が閉鎖された。
最初の地震の震源地はクライストチャートから東北東へ約26キロの地点で、震源の深さは約4.7キロ。2回目の震源地はクライストチャーチから約15キロ離れた地点で深さは4.9キロだった。
クライストチャーチでは2月に大規模な地震が発生し、多数の死者が出ている。』
→東日本大震災にかき消されてしまったが、クライストチャーチでは今年2月、M6.3の地震があり、日本人留学生を含む182人が死亡している。大地震後、数年内に『最大マグニチュードマイナス1』程度の余震が起きる可能性が高いというが正にその通りだ。スマトラでは本震の5年半後にM7.5の大規模な余震が発生している。首都圏直下地震の発生確率は今後30年で98%。東北大震災発生により10数%確率が上がったという。まだまだ備えは必要だ。

・共同通信---『水深5千メートルの泥にセシウム 東北の太平洋、原発放出』
『東日本大震災の震源域である東北地方の太平洋海底で、水深約5千メートルの深海の泥から、東京電力福島第1原発事故で放出されたとみられる放射性セシウムが検出されたことが、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)などの研究グループの23日までの調査で分かった。
セシウムが検出された泥は水深約120メートルから約5千メートルまで広く分布。全体として高濃度ではないが、測定結果についてグループの池原研・産総研副研究部門長は「おおむね、福島県に近いほど濃度が高い傾向にある」としている。』


■12月23日(金、288日目)

・日経web---『原発事故、緊急事態宣言は2時間後 事故調の中間報告』
『東京電力福島第1原子力発電所に関する政府の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授)が26日に発表する中間報告の概要が明らかになった。3月11日夜に菅直人前首相が発令した「原子力緊急事態宣言」で、東電の通報から発令まで2時間余りかかり、政府が即断できなかった経緯を記載。避難指示への影響があったのかどうか、今後調べる。政府の情報提供の遅れのほかに、東電の事故対応の混乱ぶり、津波への備え不足などを指摘する内容になっている。
緊急事態宣言は災害時の避難指示などに欠かせない国の手続き。原子力災害対策特別措置法では経済産業相の報告後、直ちに首相が宣言すると定めている。
東電は原子炉の水位が確認できなくなり、11日午後4時45分に経産省原子力安全・保安院に通報。5時ごろから当時の保安院長が官邸で状況を説明した。菅前首相は詳しい説明を求め、東電幹部も官邸に呼び出した。5時42分から海江田万里元経産相が報告したが、菅前首相は6時12~17分に与野党首脳会談に出席。結局、緊急事態宣言を発令したのは7時3分で、避難指示が出たのは9時23分だった。
政府が原発の状況把握に手間取り、宣言まで2時間かかった。事故調は、当時、首相補佐官だった細野豪志環境相らのヒアリングを実施した。中間報告では事実関係の記載にとどめるが、年明けに菅前首相らもヒアリングし、避難指示への影響などを評価し、来夏の最終報告で全体像を描く。
菅前首相は日本経済新聞社の取材に対し、「原発事故以外の災害対応も求められる状況下で、できる限りの対応をとった。緊急事態宣言やその後の避難指示などが特段遅れたとは考えていない」と書面で回答した。
中間報告では緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)が住民の避難に活用できなかったことを問題視。放射性物質の飛散を予測した文部科学省と原子力安全委員会、保安院がいずれも公開責任があると考えず、予測の公表が遅れ、避難指示に生かせなかったとしている。
このほか東電の事前想定の甘さも挙げた。震災と原発事故が同時に起きる複合災害を考えず、中越沖地震での柏崎刈羽原発の被災の教訓が生きなかった。全電源喪失を想定した訓練をせず、10メートル超の津波を試算していたのに浸水対策もしなかった。
東電の事故対応では過酷事故を想定した手順書や連絡体制などに不備があり、1号機の非常用復水器や3号機の高圧注水系などでの冷却が滞ったことなどを指摘。津波による浸水で電源を喪失したが、地震で安全上重要な機器が機能を失った証拠はないとしたうえで、最終判断には原発内での調査が必要とした。』

・毎日jp---『福島第1原発:「損傷恐れ停止」 3号機高圧注水系』
『東京電力は22日、福島第1原発3号機の原子炉を冷やす高圧注水系(HPCI)を運転員が停止させた理由について、振動が大きくなり損傷が懸念されたためと発表した。この対応について東電は「妥当だった」としている。経済産業省原子力安全・保安院から指示を受け、調査結果を分析、公表した。
3号機では「原子炉隔離時冷却系(RCIC)」が地震翌日の3月12日午前11時36分に停止し、原子炉水位が低下。バッテリー(蓄電池)で駆動するHPCIを自動起動させた。しかし、原子炉の圧力が操作手順書の基準以下になって性能が低下し、振動も大きくなったことから、運転員が壊れて放射性物質が漏れるのを懸念。代わりの注水方法の準備が進んでいたことから、HPCIを停止し代替注水に切り替えられると判断したという。所長には停止後に報告された。
だが実際には注水のために原子炉圧力を低下させる弁が、電源喪失で開けず、代替注水ができず、炉心溶融を招いた。HPCIをめぐっては、政府の事故調査・検証委員会の調べで、現場が独断で止めたことが分かっている。【岡田英、久野華代】』

・東京web---『3号機爆発前日 代替準備前に注水停止』
『東京電力は二十二日、福島第一原発事故発生直後の三月十一~十五日の事故対応状況をまとめた報告書を公表した。3号機では、注水に使う装置を切り替える際、準備が整っていないのに、片方の装置を停止させた結果、六時間も注水が止まる事態を生んでいたことを明らかにした。この空白の時間が炉心溶融につながった可能性がある。 
注水が中断したのは三月十三日未明。圧力容器からの蒸気の力を使って水を送る装置(HPCI)を使っていたが、動力源の蒸気が乏しくなってきたことから、ディーゼルポンプ(DDFP)への切り替えを決め、HPCIを手動停止させた。
しかし、原子炉内は過熱によって高圧になっており、DDFPの力では注水できない状態だった。本来は、炉内の圧力を下げてから切り替えるべきだが、圧力を逃がす弁が開かず、注水できない状態が続いた。HPCIに戻そうとしたが、既に起動するための電源が失われていた。
弁の操作に必要な直流電源が失われていたため、運転員たちは原発内の自動車からバッテリーを集め、弁の電線をつなぎ替え、約六時間後に弁を開けた。
DDFPによる注水が始まったが、核燃料の溶融は進んでおり、3号機は翌十四日午前に水素爆発した。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理はHPCIを止めた理由を、運転員たちは「当時、HPCIのタービンの回転が操作手順書より遅く、いつ止まるかわからない」などと懸念していた、と説明。判断は妥当だったと強調した。
HPCIの操作は政府の事故調査・検証委員会も着目しているが、今月二十六日の同委の中間報告直前に、東電が自ら説明した。』

■12月22日(木、287日目)

・東京web---『福島第一 炉内確認まで10年 工程表発表16年度から水棺』
『政府と東京電力は二十一日、福島第一原発1~4号機の廃炉に向けた工程表を発表した。原子炉内の溶けた核燃料の状態を把握するだけでも十年近くを要し、燃料の取り出しや、建屋の解体まで含めると最長四十年かかるとする内容だ。 
工程表は三期に分かれる。第一期は、原子炉建屋内のプールに入った使用済み核燃料の取り出し開始までの二年間。十年後までの第二期は、格納容器に溶け落ちた核燃料の取り出しに着手するまで。第三期は、核燃料の回収を終え、建屋解体が終わるまでの三十~四十年後までとした。
使用済み核燃料の取り出しは、最も多く入っている4号機から始め、3、1、2号機の順で行う。
原子炉内の核燃料取り出しで焦点となるのは、燃料から出る高い放射線を遮るため格納容器を水で満たし、圧力容器を水没させる「水棺」が実現できるかどうか。1~3号機とも格納容器は損傷しており、損傷場所を調べて補修し、二〇一六年度から水張りを実現させる、としている。
圧力容器内の核燃料の状態が映像で確認できるのは水張りが終わった後になる。放射線に加え、現在の容器内には濁った汚染水があるからだ。
溶けた核燃料の取り出しには、高線量の環境でも遠隔操作できる装置、核燃料を入れる特殊な容器の開発も必要となる。
こうした技術開発が進まなければ、工程表通りにいかない恐れもある。
枝野幸男経済産業相は「否定しない」と認めつつ、「実現可能な工程表と目標年限を定めた。実現していく十分な可能性がある」と強調した。』

■12月21日(水、286日目)

・時事通信---『10年以内に溶融燃料取り出し=廃炉終了、最長40年―工程表を策定―福島事故』
『東京電力福島第1原発事故で、政府・東電中長期対策会議の初会合が21日開かれ、原子炉内で溶けた核燃料の取り出しを10年以内に始め、30~40年後の廃炉完了を目指すとした工程表が策定された。
工程表は廃炉計画を3期に分けた。第1期は核燃料プールからの使用済み燃料取り出し開始までで2年以内、第2期は炉内の溶融燃料取り出し開始までで10年以内とされ、第3期の廃炉作業終了は30~40年後とされた。
溶融燃料の取り出しでは、2015年度末ごろから格納容器下部を補修し、水で満たす冠水作業に着手。19年度半ばごろから圧力容器内の本格調査に入り、21年末までに取り出しを始めるとした。』

・毎日jp---『東日本大震災:福島第1原発事故 NRC委員長が視察 ステップ2「作業の一部」』
『米原子力規制委員会(NRC)のグレゴリー・ヤツコ委員長は20日、東京都内で記者会見し、日本政府が東京電力福島第1原発の収束へ向けた工程表の「ステップ2」完了を宣言したことについて「原子炉にはオフサイト(原発敷地外)に影響を与えるだけのエネルギーはない」と政府の見解を支持した上で「(ステップ2完了は)除染や廃炉に向けた大きな作業の一部に過ぎない」と指摘した。
ヤツコ委員長は18日に来日。福島第1、第2原発を視察した。初めて実際に事故現場を見た感想を「損傷の大きさに襟を正す思いで、作業員の仕事に感服した」と語った。
ステップ2完了については「望まれている元の状態に地域を戻すという大きな作業の全体の一部でしかない」と述べ、来春発足予定の原子力安全庁(仮称)について「独立性や規制が強化される新機関の設置は喜ばしく、全面的に協力する」と語った。
その後、細野豪志・原発事故担当相らと事故対応について協議。細野担当相は「米国支援のおかげでオンサイト(原発敷地内)の事故は収束した。今後30年以上かかる廃炉でも米国の力添えがあれば必ず乗り越えられる」と、今後の協力を求めた。【関東晋慈】』

・産経web---『IAEA事務局長、「事故収束」判断を評価 福島第1原発』
『国際原子力機関(IAEA)の天野之弥(ゆきや)事務局長が21日、枝野幸男経済産業相と会談し、政府による福島第1原発事故の収束宣言について「(原子炉は)不安定な状態を脱しており、収束の判断を尊重する。冷温停止を予定より前倒しで達成したことを評価する」と述べた。
事故収束宣言をめぐっては、佐藤雄平福島県知事らが「時期尚早」と不快感を示しているが、天野事務局長は「原子炉内の事故そのものと、外部の問題は分けて考えるべきだ。9月時点でも内部は基本的に安定していた」と指摘。そのうえで、「使用済み燃料の処理、炉の解体、除染といった(外部の)作業は長期的に続く。IAEAとしても協力したい」と話した。
また、定期点検中の原発に対するストレステスト(耐性検査)について、早ければ来年1月にもIAEAが結果を評価する方針を表明。評価にあたり「2、3の原発への訪問も必要」として、IAEAの担当者を現地に派遣する考えを明らかにした。』


・東京web---『放射能汚染樹皮1万6千トン堆積 製材業者、東電に賠償請求』
『福島県の製材所などで製材時に出る樹皮や木くずが放射性物質に汚染され、少なくとも1万6千トン程度が処分できず、保管されていることが21日、分かった。各地で牛肉の出荷停止に発展するなど問題となった汚染稲わらの2倍以上に相当する膨大な量。東京電力福島第1原発事故が原因とみられ、稲わら同様、他県に問題が拡大する恐れもある。
樹皮などは震災がれきと異なり、処理費用に国の補助はない。福島県木材協同組合連合会に加盟する約200社は東電に保管や処理費用の賠償請求を順次開始、年内に請求を終える方向。』


■12月20日(火、285日目)

・日経web---『福島原発1・2号機、地震直後に冷却状況誤認 排気遅れ誘発か』
『東日本大震災後、福島第1原子力発電所2号機の非常用冷却装置が実際はしばらく動いていたのに東京電力が「動作していない」と誤認していたことが19日分かった。一方、1号機は動いていないのに「動作している」と認識。判断ミスの連鎖が圧力を抜くベント(排気)作業の遅れにつながり、炉心溶融(メルトダウン)による水素爆発を早めた可能性がある。
事故直後、清水正孝前社長に代わって指揮を執っていた小森明生常務(元福島第1原発所長)が日本経済新聞に明らかにした。政府の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)もベント作業の遅れの原因を調べており、こうした経緯に関心を寄せているもようだ。
2号機では地震直後、「原子炉隔離時冷却系」と呼ぶ非常用冷却装置を手動で起動したが1分後に自動停止。その後、手動起動を繰り返したが、外部電源喪失などにより午後4時36分以降、現場も本店も「(冷却装置は)動いておらず注水できなくなった」と判断した。
一方、1号機の別タイプの冷却装置「非常用復水器」は「動いていると認識していた」(小森常務)。現場も本店も全電源喪失時に自動停止する仕組みを知らなかった。ベントは「(冷却できている1号機より)2号機が先になるという認識を持っていた」。1、2号機のベント作業は同時にできない構造という。
ところが12日午前2時55分、2号機の非常用冷却装置が動いているのを作業員が確認したため、原子炉内部の圧力が高まっていた1号機優先に方針転換。午後2時半に1号機のベントを実施したが手遅れで、12日午後3時36分に水素爆発した。』


■12月19日(月、284日目)

・共同通信---『細野氏、「事故収束」の表現陳謝 問題化の可能性も』
『東京電力福島第1原発が冷温停止状態に達したとして政府が宣言した「事故収束」について、細野豪志原発事故担当相は18日、佐藤雄平福島県知事らとの会談後、記者団に「『収束』という言葉を使うことで事故全体が収まったかのような印象を持たれたとすれば、私の表現が至らず、反省している」と陳謝した。
野田佳彦首相が記者会見し、国内外に向けてアピールした事故収束の表現が不適切だったと認めるもので、今後問題化する可能性もある。
佐藤知事は細野氏らとの会談で「収束という言葉自体、県民は『福島県の実態を本当に知っているのか』と思っている」と述べて不快感を示した。』

・asahi.com---『原発で怒鳴る菅氏、克明に 池田前経産副大臣が手記』
『東京電力福島第一原発事故の際、政府の現地対策本部長だった池田元久前経済産業副大臣が3月11日から5日間を手記にまとめた。当時の菅直人首相が震災翌日に原発を視察し、東電社員を怒鳴り散らした様子などが細かく描かれている。
3月12日午前4時すぎ、対策本部に菅氏の原発視察の連絡が入った。池田氏は「指揮官は本部(官邸)にとどまるべきだ。どうしても来るなら万が一のことがあってはならない」と考え、現地対策本部があるオフサイトセンターへの変更を打診。だが原子力安全・保安院は菅氏側に伝えなかったという。
菅氏は原発に到着後、待機用のバスに乗り込むと隣に座った武藤栄東電副社長(当時)に「なぜベント(排気)をやらないんだ」と迫った。池田氏は「怒鳴り声ばかり聞こえ、話の内容はそばにいてもよく分からなかった」と振り返った。
菅氏は原発に入ると、作業員が行き交う廊下で「何のために俺がここに来たと思っているのか」と怒鳴り、吉田昌郎所長(当時)はベントの指示に「決死隊をつくってでもやります」と答えた。菅氏の口調がきついため、池田氏は同行した寺田学首相補佐官(同)に「総理を落ち着かせてくれ」と頼んだ。池田氏は「指導者の資質を考えざるを得なかった」という。
オフサイトセンターは「仮眠設備がなく、机に突っ伏して睡眠を取る。食糧はレトルトカレーとご飯1日2食だけ」だったという。対策本部は15日に福島県庁への移転が決まり、池田氏は5月に病気で入院し、本部長を代わった。(磯貝秀俊)』
→池田氏は元新聞記者らしい。その手記を全文読みたいものだが、まだどこにも無いようだ。どういう形ででてくるのか。
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東日本大震災(平成の大地震) - その124 備忘録

2011年12月18日 | 大地震

■12月18日(日、283日目)

16日野田首相は『原発事故収束』を宣言した。『発電事故そのものは収束』『冷温停止』ではなく『冷温停止状態』と言葉を選びながら。これに対して内外メディアからの批判が噴出している。いくら『発電事故そのもの』といっても誰も収束との実感を持つ人はいないだろう。細野大臣が『事故収束は極めて難しいと考えていた。日本が瀬戸際でとどまった大きな日と思う』と胸を張ったとのことだが、それこそ『瀬戸際でとどまっている』だけで危機が去ったとは言えないのではないか。『瀬戸際でとどまれなかった』ら日本はどうなっていたのだろうか。

・東京web---『【社説】事故収束宣言 幕引きとはあきれ返る』
『福島第一原発の「事故収束」を野田佳彦首相が宣言した。放射性物質の放出や汚染水の懸念も残り、絶対安全の保証はどこにもない。廃炉までの長き道のりを考えれば、幕引きとはあきれ返る。
「原子炉は冷温停止状態に達し、事故そのものが収束に至った」と述べた野田首相の言葉に誰もが耳を疑ったことだろう。
原発建屋内ではいまだに高い放射線量が計測され、人が立ち入れない場所もある。さっそく現場作業員から「政府はウソばかり」と批判の声が上がったほどだ。
そもそも「冷温停止」という言葉は正常運転する原発で用いられる。「状態」というあいまいな文字を付けて宣言にこだわる姿勢は、幕引きありきの政治的な思惑からだろう。
廃炉へ進める節目とすることや、「いつ戻れるのか」という避難住民を少しでも安心させようという狙いがあろう。全国の原発の再稼働はむろん、世界へ原発輸出を進める底意もうかがえる。
だが、福島第一原発は「収束」どころか、溶け出した核燃料が格納容器内でどうなっているかもつかめず、ただ水を注ぎ込み、冷却しているにすぎない。
循環注水冷却システムが正常に機能すればいいが、大きな地震が襲えば、再び不安定化する心配はつきまとう。綱渡り状態なのが現状ではなかろうか。
放射能汚染水処理も難題だ。建屋への一日四百トンもの地下水流入は続いており、保管タンクはいずれ満杯になる。むろん海への放出など、漁業者や国際的反発などから安易に考えるべきでない。
廃炉となると、核燃料取り出しに「十年以内」、炉の解体など最終的に「三十年以上」かかる見通しだ。その過程で放射能漏れなどの事故が起きる可能性もある。要するに課題山積なのだ。
原発から半径二十キロ圏内の警戒区域と北西に延びる計画的避難区域を新たに三つの区域に再編する予定だ。年間放射線量が二〇ミリシーベルト未満を「解除準備区域」、二〇ミリシーベルトから五〇ミリシーベルトを「居住制限区域」、五〇ミリシーベルト以上を「長期帰還困難区域」に分ける。
「解除準備区域」では除染とともに住民が戻れるようにするというが、子育て世代が安心して帰還できるだろうか。社会インフラの機能回復も見通せないままだ。
収束宣言の内実は、原発事故の未知領域に足を踏み入れる「幕開け」といった方がいい。』


■12月17日(土、282日目)

・東京web---『福島第一原発 「事故収束」首相が宣言』
『野田佳彦首相は十六日、政府の原子力災害対策本部の会合で、東京電力福島第一原発で原子炉を安定して冷却する「冷温停止状態」を達成し、事故収束に向けた工程表「ステップ2」が完了できたとして「事故そのものは収束に至った」と宣言した。
三月十一日の事故発生から九カ月余り。記者会見した細野豪志原発事故担当相は、今後は住民の帰還に向けた対策に政府を挙げて取り組む方針を示した。
しかし、今月四日には敷地内の放射能汚染水の海への流出が確認され、溶けた核燃料の状態も分からない。そんな中で早々と「事故収束」を宣言したことには、住民や専門家から批判が出ている。
事故対応に当たってきた国と東京電力の統合対策室は十六日に解散し、新たに「政府・東京電力中長期対策会議」を設置した。近くとりまとめる中長期の工程表をもとに、三十年以上かかるとされる同原発1~4号機の廃炉に向けた作業に取り組む。周辺住民の帰還に向け、避難区域の見直しに向けた考えも示す方針。
対策室は四月に工程表を発表。三カ月程度を目標にした「ステップ1」で、原子炉から漏れ出した汚染水を浄化して再び炉内の冷却に使う循環式冷却を実現した。続くステップ2では、原子炉内の温度を一〇〇度以下に保つとともに、放射性物質の外部への放出を抑える「冷温停止状態」の実現を目指した。
その結果、炉心溶融を起こした1~3号機の原子炉内の温度が三〇~七〇度程度に落ち着き、安定的に冷却できる状態になった。放出が続く放射性物質による被ばく線量は、敷地の境界で年〇・一ミリシーベルトと一般人の限度の十分の一にとどまっているとされる。
さらに、東電や経済産業省原子力安全・保安院は、東日本大震災と同規模の地震や津波に襲われても安全性が保たれると確認。国として安全が確保できたと判断したという。
記者会見で、細野担当相は「事故収束は極めて難しいと考えていた。日本が瀬戸際でとどまった大きな日と思う」と述べた。東電の西沢俊夫社長は「福島県、社会に迷惑を掛け、深くおわびする。今後は中長期の対策にしっかり取り組む」とあらためて謝罪した。』


・産経web---『「原発事故収束」住民なお不安 安全な帰宅、いつ実現』
『政府が福島第1原発の冷温停止状態を16日、宣言した。「事故そのものは収束に至った」と野田佳彦首相。だが地元は「関係ない」と冷ややかだ。住民らが何よりも求めているのは「安全な帰宅」。今後、検討が始まる避難区域の見直しにも、「本当に帰れる状態になるのか」と、期待と不安が錯綜(さくそう)する。
▼「帰りたい」
「帰りたい。帰りたいよお」。福島県浪江町から二本松市の仮設住宅に避難している無職、菊地ナミ子さん(74)は話すうちに涙が止まらなくなった。
避難区域の見直し作業では、放射性物質の自然減衰や除染の効果を慎重に見極めることになるが、長期間にわたり人が住めない地域も出るとみられる。仮に帰宅が現実味を帯びてきたとしても、地震で損壊した道路や学校、水道などのインフラ整備も大きな課題となる。
菊地さんは、「原発がどうなったって関係ない。帰りたいけど、どうせ帰れない」と、帰郷への思いに揺れる胸の内を語った。
年間被曝(ひばく)量が現状でも20ミリシーベルト未満の地域が大半と、落ち着きつつある楢葉町出身の無職、佐竹和夫さん(73)は「除染が終わるのはいつのことになるのか。3年くらいしたら帰れるのかな」と話す。だが、政府の発表をにわかには信じられない。「宣言は嘘で、放射能はまだ漏れてるんじゃないか?」。避難先の会津若松市は、楢葉町より雪が多い。「遠くに来てしまったなあ」
やはり楢葉町から会津若松市の仮設住宅に避難している主婦、坂本美香子さん(37)は「放射能もあるし、子供の学校もこっちに慣れたから帰れない」と話す。避難区域の指定が解除されたとしても避難を続けるつもりだ。
▼不信の言葉 
地元行政側も、これまでの政府の対応に振り回されてきただけに、不信の言葉が出る。
「本当に収束したのか。大気に放射性物質は出ていないのか。余震や津波が来たときの構えはどうなっているのか」。浪江町の馬場有(たもつ)町長は宣言に対して、立て続けに疑問を投げかけた。
町長は、最悪、帰還実現が困難となった場合の対応も考え始めている。町外に住民や企業を集める集積地を確保して、そこで生活をするという。
大熊町の渡辺利綱町長は「放射性物質の放出も抑制されて安定が続いている」と事態が落ち着いてきたことに安堵(あんど)する。その上で「『事故収束』とは、冷温停止のことではなくて、町民が戻って安心して生活できる状態のこと。今回の宣言は一里塚にすぎない。除染、廃炉などこれからが大事だ」と話した。
避難区域の見直しについては「戻るか戻らないかで、町が分断される不安が現実に起きてくる」と新たな課題を指摘した。
福島県の佐藤雄平知事は冷温停止宣言について、「故郷帰還の思いが実現する新たな一歩と期待しているが、事故収束に向けた道のりは長く、険しい。完全収束の道半ば」と厳しい表情。「県民は汚染水などの放射性廃棄物が増え続けることに不安を感じている」とも指摘した。福島県では、今後の具体的な工程の情報開示と、避難区域の設定見直しについての方針を示すよう国に求めた。』

・東京web---『作業員「政府ウソばかり」』
『「冷温停止状態」を通り越し「事故収束」にまで踏み込んだ首相発言に、福島第一原発の現場で働く作業員たちからは、「言っている意味が理解できない」「ろくに建屋にも入れず、どう核燃料を取り出すかも分からないのに」などと、あきれと憤りの入り交じった声が上がった。
作業を終え、首相会見をテレビで見た男性作業員は「俺は日本語の意味がわからなくなったのか。言っていることがわからない。毎日見ている原発の状態からみてあり得ない。これから何十年もかかるのに、何を焦って年内にこだわったのか」とあきれ返った。
汚染水の浄化システムを担当してきた作業員は「本当かよ、と思った。収束のわけがない。今は大量の汚染水を生みだしながら、核燃料を冷やしているから温度が保たれているだけ。安定状態とは程遠い」と話した。
ベテラン作業員も「どう理解していいのか分からない。収束作業はこれから。今も被ばくと闘いながら作業をしている」。
原子炉が冷えたとはいえ、そのシステムは応急処置的なもの。このベテランは「また地震が起きたり、冷やせなくなったら終わり。核燃料が取り出せる状況でもない。大量のゴミはどうするのか。状況を軽く見ているとしか思えない」と憤った。
別の作業員も「政府はウソばっかりだ。誰が核燃料を取り出しに行くのか。被害は甚大なのに、たいしたことないように言って。本当の状況をなぜ言わないのか」と話した。』

・東京web---『達成強弁 実態は道半ば』
『本来の「冷温停止」と似て非なる「冷温停止状態」という用語を事故収束に向けたキーワードに用い、批判を浴びてきた政府。この日は、その達成を理由に「事故収束」宣言にまで突き進んだ。
苦しい避難生活を迫られる人たちに配慮してか、サイト(福島第一の敷地)内の出来事に限っては「収束」とし、サイト外は「収束していない」という論法を持ち出した。
確かに福島第一の周辺は、除染もほとんど手つかずで、放射性物質を含んだがれきの中間貯蔵施設の設置も具体化しておらず、収束どころではない。
一方、福島第一の中も、とても収束とは言えないのが現状だ。日々原発を見ている現場の作業員たちは「収束などとんでもない」と口をそろえる。
「冷温停止状態」かどうかも怪しい。そもそも「冷温停止」は、単に原子炉が冷えているだけでなく、放射性物質を密封できて初めていえること。その定義は東電の保安規定に明記されている。
「冷温停止状態」の定義の一つは「圧力容器底部の温度が一〇〇度以下」。それは達成したが、炉内の別の場所は今も一〇〇度を上回るところがある。
圧力容器の底が抜けて、溶けた燃料が落下しているが、実際にどんな状態なのかも分からない。最後の“壁”である建屋も損傷。地下水の流入が止まらないが、海への流出を阻む遮水壁もできていない。高濃度汚染水は、いつ外部に漏れてもおかしくない状態だ。
実際、四日には放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れたと判明。すると、政府の担当者は「水は関係ない」と抑制する対象ではないと言う。
収束と言いながら、原子力緊急事態宣言は解除されない矛盾も。「収束宣言」は政治的な節目にすぎず、実態は収束への道半ばだ。 (原発事故取材班)』

・産経web---『首相の原発収束宣言 各国メディア懐疑的反応』
『野田佳彦首相が16日、東京電力福島第1原発の事故収束への工程表の「ステップ2」完了を宣言したことについて、各国のメディアは首相の記者会見を中継するなど関心の高さを示す一方、「日本政府は画期的な出来事としようとしているが、現実は違う。過去、約半年間の原発の安全性に関する状況は基本的に変わっていない」(米CNNテレビ電子版)などと懐疑的な見方を伝えた。
記事本文の続き 福島の事故を受けて2022年末までの脱原発を決めたドイツの公共放送ZDFは「危機が存在しないというような言い方は間違いだ」とする専門家の話を紹介。DPA通信は、別の専門家が「冷温停止を宣言するのはごまかしに等しい」と批判したと報じた。
中国国営通信新華社は、日本メディアの見方として「広範囲の除染や被災者の帰宅など多くの課題を抱え、(日本政府は)社会の批判にさらされるだろう」と指摘、日本政府の姿勢に疑問を投げ掛けた。(共同)』


■12月16日(金、281日目)

・asahi.com---『首相、原発事故「収束」宣言へ 冷温停止達成を認定』
『野田政権は16日午後、原子力災害対策本部(本部長・野田佳彦首相)を開き、東京電力福島第一原発事故収束に向けた工程表ステップ2(冷温停止状態の達成)終了を確認し、事故の収束を宣言する。「事故の収束」という踏み込んだ表現をすることで、内外に安全をアピールする狙いだ。住民帰還のめどが立たない中での収束宣言には、避難住民から反発が出そうだ。
ステップ2の終了確認を受けて、野田首相は同日夕に記者会見する。政権が今夕公表予定の宣言文案は、事故で放射能を拡散させた原発について「冷温停止状態に達し、万一事故が発生した場合も、(原発の)敷地境界線における被曝(ひばく)線量が十分低い状態を維持することができるようになった」と認定。さらに「安定状態を達成し、事故の収束に至ったと判断される」と踏み込んだ。
政権は「冷温停止状態」について、1~3号機の圧力容器底部を安定的に100度以下に保ち、放射性物質の拡散を抑制する――などと定義している。
これを「事故の収束」という、より強い表現に置き換えることで、風評被害など国内外に根強い原発事故への不安を払拭(ふっしょく)したいという狙いがある。政権は今後、放射性物質の除染を進めていく方針。避難区域の縮小も行い、住民の帰還へとつなげたい考えだ。
ただ、溶融した炉心は場所の特定すらできていない。放射性物質の大気への放出も続いている。
政府の原子力委員会が30年以上かかると見解を示した廃炉についても、政権は「中長期的課題」と位置付け、「事故の収束」とは切り分けた。
政権は当初、ステップ2の達成目標について来年1月中旬までと示していた。その後、細野豪志原発相が9月の国際原子力機関(IAEA)総会で、目標を前倒しし、冷温停止状態の年内実現を宣言した。
「事故収束」に絡み、細野豪志原発相は16日午前、東京都内で開かれた「アジア原子力協力フォーラム」閣僚級会合で「今日午後には冷温停止状態を報告することができる。オンサイト(原発敷地内)の事故は収束になる」とあいさつした。』

・東京web---『保安院 海への汚染水 ゼロ扱い』
『福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。政府は十六日に「冷温停止状態」を宣言する予定だが、重要な条件である放射性物質の放出抑制をないがしろにするような姿勢は疑念を持たれる。
原子炉等規制法により、電力事業者は、原発ごとに海に出る放射性物質の上限量を定めるよう決められている(総量規制)。福島第一の場合、セシウムなどは年間二二〇〇億ベクレルで、年度が変わるとゼロから計算される。
しかし、四月二日に2号機取水口近くで高濃度汚染水が漏出しているのが見つかり、同四日には汚染水の保管場所を確保するため、東京電力は建屋内のタンクに入っていた低濃度汚染水を意図的に海洋に放出した。
これら二件の漏出と放出だけで、原発外に出た放射性物質の総量は四七〇〇兆ベクレル(東電の試算)に達し、既に上限値の二万倍を超える。
試算に対しては、国内外の研究機関から「過小評価」との異論も出ている。
今月四日には、処理済みの汚染水を蒸発濃縮させる装置から、二六〇億ベクレルの放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れ出した。
さらには、敷地内に設置した処理水タンクが来年前半にも満杯になる見込み。この水にもストロンチウムが含まれている。東電はできるだけ浄化して海洋放出することを検討している。漁業団体の抗議を受け、当面は放出を見送る方針だ。
保安院は本紙の取材に対し、事故への対応が最優先で、福島第一は損傷で漏出を止められる状態にない「緊急事態」だった点を強調し、総量規制を適用せず、四七〇〇兆ベクレルの漏出をゼロ扱いする理由を説明した。
「緊急事態」に伴う特例扱いは「事故収束まで」続くとも説明したが、具体的な期間は「これからの議論」とあいまい。
今後、仮に放射性物質を含んだ処理水を放出したとしても、ゼロ扱いを続けるという。』
→何のためか全く理解できない。某大国が同じようなことをやったら国をあげての大騒動になるだろうな……。

・共同通信---『IAEAが「深刻な懸念」 日本の報告漏れ核物質』
『国際原子力機関(IAEA)が今年2月、査察対象となっている日本の原子力関連施設の核物質報告漏れについて、日本側に「深刻な懸念」を伝え、通常は査察の対象にしない廃棄物を検査したいと異例の申し入れをしていたことが15日、分かった。政府関係者が明らかにした。
これが発端となって文部科学省が全国262施設の一斉調査に踏み切り、さらに大量の報告漏れが見つかった。
関係者によると、昨年10月に政府系研究施設で廃棄物から報告漏れの核物質が見つかり、IAEAに報告。今年2月のIAEAと日本政府の会議で、この問題が取り上げられた』


■12月15日(木、280日目)

・日経ビジネスオンラインより
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御厨:もうひとつ、自衛隊のマネジメント力を象徴する話があります。震災対応のような非常事態の最中で仕事をしていると、いわゆる「働き蜂症候群」になって、みんな寝ずに仕事をし続けてしまう。特に日本の官僚はその傾向が強い。調子がどんどん悪くなっていっているのに、机から絶対に離れないと粘る人間も出てくるわけです。今回の震災の対策本部でも同じような状況が起きた。すると、自衛隊の若手が命令するわけです。「すぐに隣の仮眠室に行って寝てください」と。命令された官僚が、「私はまだ大丈夫です、頑張ります」とみんな反論する。と、自衛官が官僚たちを一喝したそうです。「大丈夫じゃない! いま、あなたが倒れたら、次にやってくれる人がいるとは限らないんだ。非常事態だからこそ休まなきゃダメだ。今はとにかく寝て、それから戻ってきなさい」と。結局、彼の一喝で、みんなが寝たそうです。非常事態だからこそ、チームの人員は無理してはいけない。順番に仮眠室で寝て戻るサイクルをつくって、チームを動かし続けることが大切だ、ということを自衛隊は知っているわけです。うちの卒業生の官僚が「先生、自衛隊はすごいですよ」とつくづく感心していました。
池上:昔の日本軍の悪しき根性主義から一番きちんと脱却していた役所が、なんと自衛隊だったわけですね。非常事態だからこそ無理をしない、というのは、災害報道の現場も同じです。現場に大量に記者を送り込んで、徹底的に取材させてくたびれ果てるまで使い倒します。でも、それだと途中で記者が疲弊して、長期間の取材に耐えられなくなってしまう。NHKでの経験ですが、名指揮官がいると、こうした無理を絶対にさせないんですね。まず第一陣が、宿泊や移動手段、食事などのロジスティクスを整備します。そのうえで、第二陣、第三陣の取材チームを送り込む。取材現場でも名デスクは「お前はまず休め」と記者を順番に休ませる。ダメなデスクは「ひたすら頑張れ」と指示してしまう。長期戦を乗り切るためには、ロジスティクスと順番に休むことが大切、というのは、私もかつて経験しました。
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→どっちの気持ちも良く解るが、精神力だけでは何もできない。

・日経web---『福島原発、廃炉完了に最長40年 政府・東電が最終案 プール燃料の搬出、14年から』
『政府と東京電力がまとめる福島第1原子力発電所1~4号機の廃炉に向けた工程表の最終案が15日、明らかになった。20~25年後に原子炉の解体に着手し、廃炉完了は最長で40年後とする。危険性が指摘される4号機の使用済み核燃料プールは2014年から燃料取り出しを開始。放射線の影響を軽減するため原子炉格納容器を水で満たす冠水状態による作業も盛り込む。野田佳彦首相は16日に記者会見し、事故を起こした原発の冷温停止を宣言。来週20日にも廃炉への工程表を公表する。
工程表案では工期を3年後までの中期、4~10年後の中長期、10~40年後の長期の3段階に設定。中期では、原子炉建屋内の放射線量が低い4号機のプールから燃料の取り出しを始める。4号機は水素爆発で建屋が激しく損傷し、プール倒壊の恐れがあった。次に3号機、1~2号機の順にプールから取り出す。
中長期では原子炉の損傷部分を修理し、放射線の影響を抑えるため原子炉格納容器を水で満たした冠水状態にする。並行して原子炉内を遠隔操作で調査するロボットなど、廃炉に必要な機材を準備する。
長期では炉心溶融(メルトダウン)により原子炉格納容器に大半が溶け落ちたとみられる1~3号機の核燃料取り出しを開始。20~25年後にも核燃料の回収を終え、原子炉の解体を始める。30~40年後をメドに原子炉建屋を更地に戻す計画だ。
政府は16日の原子力災害対策本部(本部長・野田首相)会合で、福島第1原発が冷温停止状態になり、事故収束に向けた工程表の第2段階(ステップ2)を達成したと確認。その後、中長期の廃炉計画や避難区域の見直し方針を月内にも公表する。
1~4号機の廃炉費用については、東京電力に関する経営・財務調査委員会(委員長・下河辺和彦弁護士)が1兆1510億円と算定している。費用が膨らむと経営を圧迫するとして、工程表に盛り込む項目は最終調整している。
枝野幸男経済産業相と細野豪志原発事故担当相が11月に東京電力、経済産業省資源エネルギー庁、原子力安全・保安院に廃炉に向けた工程表の作成を指示。原子力委員会の専門部会は既に、廃炉に必要となるロボットや除染技術などをまとめた中長期の研究開発計画を決定した。これを土台に、東電と資源エネルギー庁、保安院が具体的な手順や期限を盛り込んだ工程表案をまとめた。』


・福島民友news---『双葉郡候補の中間貯蔵施設、佐藤知事受け入れ検討へ』
『佐藤雄平知事は14日の12月県議会代表質問で、除染で生じる汚染土壌など放射性廃棄物の中間貯蔵施設の県内設置について、「仮置き場の確保に向け、住民理解を促進するためにも重要な役割を果たす」との認識を示した。県は中間貯蔵施設の県内設置を求める政府に対し、施設の規模や立地条件を示すことを要請しており、政府から回答を受けて中間貯蔵施設の受け入れを検討するとみられる。
渡部譲議員(会津若松市、民主・県民連合)の質問に答えた。東京電力福島第1原発事故に伴う除染をめぐっては、各市町村で汚染土壌などの仮置き場の設置が進まず、本格的な除染実施に至っていない。佐藤知事は答弁で、仮置き場の確保が除染推進の最大課題との認識を示した。』
→消去法でいくとこの地域しかないのではないか……。


■12月14日(水、279日目)


■12月13日(火、278日目)

・東京web---『最悪の条件で浸水予測 津波防災の基本指針案』
『臨時国会で成立した「津波防災地域づくり法」に基づき、全国で津波対策を進めるための国土交通省の基本指針案が12日、明らかになった。都道府県が浸水エリアや深さを予測する場合には、最大級の津波で堤防が倒壊するなど「最悪の条件」を想定するのが原則と明記。「なんとしても人命を守る」を基本に、被害防止の推進計画などの具体的な対策は、地域の実情を最もよく知る市町村が主導するのが重要としている。
東日本大震災では港の沖合にあった防波堤や、海岸、河川の堤防が相次いで壊れて被害が拡大しており、考えられる悪条件を考慮して対策を強化する。』
→だれもが油断していたとはいえ、これまで最悪の条件を前提にしていなかったこと自体驚きだ。朝のニュースで神奈川県が津波予想を見直し1000年に一度の大津波を想定。鎌倉で15m、横浜駅で5mとの発表を行った。現在避難場所に指定されている鎌倉大仏にも津波の記録が残されているという。東北沿岸でもここから下には家を建てるなとの古い石碑が多くあるという。地震の専門家も含め過去の事象を前提に緻密な想定作業をしてなっかたということか。1000年に一度だから大丈夫と思ったのか。その危険を訴えたであろうごく少数の人たちは異端児扱いされたということなのか。
今さらいってもしょうがないがスマトラ沖地震など、見直す機会はいくらでもあったのではなかろうか・・。1000年に一度のリスクに横浜駅を利用する人々はどう対処したらいいのか。1000年に一度といっても、2000年後かも知れないし、100年後かも知れないし、明日かも知れない。

10/6の記事だが
・読売online---『年間1~20ミリシーベルトに緩和…放射線審案』
『国内の被曝線量の基準などを検討する文部科学省の放射線審議会の基本部会は6日、東京電力福島第一原子力発電所事故で放射性物質が拡散した状況下の一般住民の被曝線量について、「年間1~20ミリ・シーベルトの範囲で可能な限り低い値を段階的に設定する」とする見解案をまとめた。
国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年の勧告を国内にも適用した。
一般住民の平常時の被曝線量限度は、年間1ミリ・シーベルトとされている。しかし、同部会は放射性物質の汚染が広がる現状を線源が計画的に管理されていない「現存被ばく状況」と判断、基準を緩和して「年間1~20ミリ・シーベルト」のICRP勧告を国内に導入するかどうか検討していた。
見解案は「汚染された土地からの強制移住や、食物摂取制限、過度の防護方策を課して短期間に年間1ミリ・シーベルト以下の線量に低減することは適切ではない」と指摘。被曝による害と、経済的、社会的便益とのバランスを考慮して計画的に線量低減を達成するためには、ICRPの勧告の考え方を取り入れ、段階的に対応することが妥当だとした。』


・毎日jp---『<外部被ばく線量>3町村の住民、4カ月の推計発表…福島県』
『福島県は13日、警戒区域などに指定されている浪江、川俣、飯舘の3町村の一部住民1727人が事故発生から4カ月間で受けた外部被ばく線量を推計したところ、約40%が一般人の年間被ばく基準値の1ミリシーベルト以上だったと発表した。一般住民の最高は14.5ミリシーベルト、放射線業務経験者では東京電力福島第1原発作業員の37.4ミリシーベルトが最も高かった。年内をめどに本人に通知する。
◇40%が1ミリシーベルト以上
県は「これまでの疫学調査では100ミリシーベルト以下での健康影響は確認されておらず、今回の結果から健康に影響があるとは考えにくいが、今後も健康管理を進める」としている。
先行調査の3町村(川俣町は山木屋地区のみ)の対象者の内訳は一般住民1589人、放射線業務経験者138人。このうち一般住民では、1ミリシーベルト未満998人(62.8%)▽1ミリシーベルト以上~5ミリシーベルト未満549人(34.6%)▽5ミリシーベルト以上~10ミリシーベルト未満38人(2.4%)▽10ミリシーベルト超は4人(0.3%)で、14.5ミリシーベルトが1人いた。
20歳未満(311人)に限ると、1ミリシーベルト未満193人(62.1%)▽1ミリシーベルト以上~3ミリシーベルト未満100人(32.2%)▽3ミリシーベルト以上~5ミリシーベルト未満11人(3.5%)▽5ミリシーベルト以上10ミリシーベルト未満7人(2.3%)で全員が10ミリシーベルト未満だった。
県民健康管理調査は原発事故時の全県民約200万人が対象。先行地域の3町村の住民計約2万9000人については6月から始め、今回は、うち1727人分について住民の行動記録などを基に放射線医学総合研究所(千葉市)が推計した。
この日は、警戒区域と計画的避難区域の住民の事故後4カ月間の外部被ばく線量について、避難行動のモデルケースに基づき試算した結果も公表された。最も高かったのは、飯舘村で線量が一番高い地区に住み6月21日に福島市に避難した場合で19ミリシーベルト。早期に避難した警戒区域内では0.2~2ミリシーベルトだった。
また、18歳以下(4月1日時点)の子供約36万人全員を対象とする甲状腺検査の先行実施分は9日現在、対象者1万9459人の約6割の1万1534人が受診した。検査を担当する福島県立医大の鈴木真一教授は「しこりが見つかり、2次検査が必要な人は極めて少ない」と述べた。
チェルノブイリ原発事故の例では、子供の甲状腺がんは4~5年後から増えており、1回目の検査は元々しこりがあるかを調べ、2回目以降に向けた基礎データとするのが目的という。【佐々木洋、乾達、吉川雄策】』


■12月12日(月、277日目)

福島民友ニュース---『セシウム飛散は県全域に 文科省が詳細地図作製』
『文部科学省は10日までに、東京電力福島第1原発事故による広範囲な放射能汚染の状況を、従来よりも詳細に表した地図を作製した。外部被ばくや農産物の栽培などに長期的に影響するとみられる地表の放射性セシウム量を見ると、原発から北東方向の汚染地帯にとどまらず、中通りの全域、さらに会津地域にまで広く放射性セシウムが降下した状況が分かる。
文科省の原子力損害賠償審査会は自主避難と精神的損害の賠償指針で、県南や会津地域を除外したが、これら地域も汚染が無視できない状況だ。
地図は、文科省のホームページに公開している。地上1メートルの放射線量の概要なども分かる。地区名が分かる範囲にまで拡大できるのが大きな特徴。』

コメント

東日本大震災(平成の大地震) - その123 備忘録

2011年12月11日 | 大地震
■12月11日(日、276日目)
16度を超える温かい晴天の一日。早いもので大震災から9ヶ月が過ぎた。原発は静止しているが安定した状況ではない。内部の状態が解からずなんとか封じ込めているように見えるがアンダーコントロール状況ではない。
放射能の除染作業はすすまず、NYタイムスは『莫大な費用と手間をかける除染はホワイトエレファント(無用の長物)と批判』NYタイムズの取材に答えた東京大学アイソトープ研究所の児玉龍彦教授は「除染は必要」としながらも、「避難している人たちは生きているうちには帰れないことを受け入れるべき」とコメントした。
復興作業も遅々として進んでいない。どこかで時間が止まってしまったようだ。1ヶ月で終わると思ったこの備忘録の終わりも見えない。


■12月10日(土、275日目)

・共同通信---『復水器継続でメルトダウン回避 1号機解析、東電「困難」』
『東電福島第1原発事故で、独立行政法人「原子力安全基盤機構」は9日、1号機の非常用復水器(IC)が津波襲来後も早期に作動し、蒸気の冷却に必要な水が補給できていれば、原子炉の水位が維持されて炉心溶融(メルトダウン)を防ぐことが可能だったとの解析結果を公表した。
東電は、当時の状況では現実には困難だったとの見方を示した。
ICは事故の際に、原子炉の蒸気を引き込んで冷やし、水に戻して原子炉に戻す設備。電源がなくても作動するが、蒸気や水が通る配管の弁の開閉には電源が必要。』

・東京web---『「福島の農家はオウム信者と同じ」 群馬大 発言の教授を処分』
『短文投稿サイト「ツイッター」で不適切な発言をしたとして、群馬大学は「放射能汚染地図」作製で知られる教育学部の早川由紀夫教授(火山学)を七日付で訓告処分とした。早川教授は八日、前橋市内の同大で会見し「訓告は学問や言論の自由の根幹に関わる。大学の自殺だ」と訴えた。
早川教授は、福島第一原発事故後に放射性物質で汚染された土壌の危険性を伝える趣旨で、周辺の農家について「セシウムまみれの干し草を牛に与えて毒牛をつくる行為も、セシウムまみれの水田で稲を育てて毒米をつくる行為も、サリンをつくったオウム信者がしたことと同じだ」などと投稿していた。
会見では、放射性物質の拡散状況をまとめた汚染地図を四月に発表して以降「ツイッターの読者を増やすために意識的に刺激的な発言をした」と認め、「地図を広め、理解を浸透させたかった」と説明した。大学によると、投稿について批判と賛同の両方の意見が学外から寄せられている。』


■12月9日(金、274日目)

・東奥日報---『<天地人> ■怒りが収まらない』
『発せられた言葉はやはり衝撃的だ。「地獄を見た」「(核燃料が格納容器の底を貫通する)チャイナ・シンドロームになると思った」。東京電力福島第1原発事故について、所長だった吉田昌郎さんが政府の事故調査・検証委にこう話したという。
原子炉格納容器が爆発し、多くの放射性物質が飛散する。そんな最悪の事態が脳裏をよぎったようだ。無理もない。全ての電源を失い、一時、原子炉を冷却できなかったのだから。格納容器の圧力を下げるため、蒸気を外部に放出する「ベント」も難航した。
事故は「想定外の津波が原因」と東電は言う。が、2008年に社内研究で想定を大きく上回る10メートル超の津波の可能性が指摘された。これを「具体的根拠のない仮説に基づくもの」とし、対策を取らなかった。そのくせ、実際に大津波が来たら、想定外という。これでは納得する人はいまい。
「米国並みのバックアップ電源があれば、原子炉の冷却が失われることはなかった」「欧州のように、ベントの際、放射性物質を取り除く設備があれば、汚染もはるかに小さくて済んだ」。海外の原発に詳しい専門家が指摘する。東電にはやるべきことがまだまだあったのだ。
なのに、20年ほど前から株主を意識してコスト削減を進め、原子力予算も安全管理などの研究分野が犠牲になった。「安全性は既に十分」とする独りよがりの慢心。そして利益追求の企業論理。そんなことで多くの人が生活を根こそぎ奪われ、吉田さんも地獄を見た。怒りが収まらない。』


■12月8日(木、273日目)

・毎日jp---『コメのセシウム問題:福島県知事「検査に反省点」と陳謝』
『福島、伊達、二本松の3市のコメから国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された問題で、福島県の佐藤雄平知事は8日の県災害対策本部会議で「放射線量が高い地域でのモニタリングのやり方などで反省すべき点があった。多くの方に迷惑をおかけし、大変申し訳なく思っている」と陳謝した。
県はこの問題を受け、9~10月の全県検査で微量でもセシウムが検出された29市町村を対象に全戸検査を行う方針を示している。佐藤知事は「県産米の安全性を再確認し、信頼回復に取り組みたい」と述べ、検査が完了するまでは出荷を控えるよう改めて指示した。また国の原子力損害賠償紛争審査会が避難指示の出ていない住民に対する賠償を県内23市町村に限定したことに「自主避難者の損害がようやく一部認められたが、期間、地域が限定されており、まだ道半ば。県内全域、全県民を対象とするよう強く求めていく」と述べた。【関雄輔】』


■12月7日(水、272日目)

・asahi.com---『ベント配管、地震で破損か 東電社員、保安院に説明』
『経済産業省原子力安全・保安院は6日、東京電力福島第一原発事故を受けて同社社員らに対して実施した聞き取り調査結果のメモを公表した。原子炉格納容器内の気体を外に逃して圧力を下げるベント(排気)を実施する際、配管が地震で壊れていたために操作が難しくなった可能性を指摘する社員がいたことがわかった。』

・日経web---『前所長らの証言内容、保安院が東電依頼で修正 』
『経済産業省原子力安全・保安院が東京電力福島第1原子力発電所の吉田昌郎・前所長らに現場の状況などを聴取した結果の概要を9月に発表した際、東電本店の依頼に応じて、証言の内容を修正していたことが6日に保安院が公開した聴取結果の資料から分かった。
保安院は「(事実関係が確認できず)表現を東電と調整した」と説明している。事故発生当初の現場関係者の声に手を加えて発表してきたことになり、調査の信頼性が問われそうだ。保安院は8月に吉田前所長ら8人に聴取し、9月に結果の概要版を発表した。概要版では、福島第1原発1号機の非常用復水器2台の津波襲来時の運転状況について「両方とも隔離弁の開閉状態は不明」としていた。
ところが6日公開された聴取結果の資料によると、現場関係者は「両方とも閉止していた」と証言。保安院によると、概要版公表前に内容を調整し、東電側が証言が事実かどうか不明と主張したため「不明」と書き換えたという。
保安院は「公開しない前提で調査し(東電の)意向を尊重した」と説明。聴取結果の資料の20カ所以上の黒塗り部分についても「東電の依頼で非公開にした」という。』

・東京web---『冷却装置作動と誤認 原発事故 聞き取り調査公開』
『福島第一原発の事故当時、現場の東京電力緊急対策本部が、大津波の襲来後も1号機の非常用冷却装置(IC)は作動し続けていると誤認していたことが六日、経済産業省原子力安全・保安院が情報公開した保安調査の文書で分かった。現場の状況を正しく認識できていなかったことで、事故対応に遅れが出た可能性もある。
保安院は八月四、五の両日、福島第一原発で、吉田昌郎(まさお)所長(当時)らから聞き取り調査を実施。保安院はこれまで内容を明らかにしてこなかったが、今回、本紙が保安院に対して行った情報公開請求で分かった。
調査報告書によると、1号機中央制御室にいた東電の現場社員らは、三月十一日、地震発生後に自動起動したICを、原子炉の温度が急速に下がりすぎるとしていったん手動で停止。午後六時すぎ、一時的にバッテリーが復活したのを受け再起動させたが、「IC内の水が不足し、原子炉蒸気が通る配管が破断する恐れがある」と考え直し、その七分後に停止させた。
ICの設計書から水は十分あると判断し起動したのは、その後三時間たってから。中央制御室の「ICの表示ランプが弱々しくなりこのタイミングを逃すと二度と弁が開けられない」と追い詰められての判断だった。しかし、所長らが詰めていた免震重要棟にある緊急対策本部と、1号機中央制御室との間は、地震後にPHSやトランシーバーなどが使えず、固定電話一回線しか通じないため、なかなか連絡がつかない状況だった。
原子炉の水位計の情報も間違っていたため、所長らは、実際には弁の開閉を繰り返し、多くの時間でICが停止していたのに、ずっと起動して冷却が続いていると認識していたという。また、全電源喪失という事態を受け、緊急対策本部が電源車を集めることが必要と判断したのは、大津波襲来から二時間以上たった午後六時ごろだったことも判明した。早く判断し、手配できていれば、事故対応が違った可能性もある。』

下野新聞---『「低線量の被ばく回避を」 京大の今中助教が講演』
『福島第1原発事故に伴う放射能汚染への対応を考える市民の集いが6日、那須塩原市上厚崎の黒磯文化会館で開かれた。市民約300人が集まり、事故後に福島県飯舘村で放射線量調査を行った京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)が汚染の実態と健康への影響などについて説明した。
チェルノブイリ原発事故の放射能汚染に詳しい今中助教は福島第1原発事故後、国会でも参考人として健康への影響などについて発言している。今回は那須塩原市のアジア学院職員らが実行委員会をつくり、講師として招いた。
今中助教はチェルノブイリ原発事故と福島第1原発事故の違いとして「チェルノブイリは爆発により放射性物質のストロンチウム、プルトニウムが拡散したが、福島はそれが少ない。福島の場合、被ばく対策はセシウムを中心に考えていいだろう」と説明した。
その上で「低線量被ばくで問題なのは、将来的にがん、白血病などの影響が出る恐れがあること。感受性が大きく、将来がある子どもたちの被ばくはできるだけ少なくすべきだ。汚染地域では子どもの健康状態を把握しておく必要がある」と指摘した。』


■12月6日(火、271日目)

・日経web---『明治の粉ミルクからセシウム 規制値は下回る 40万缶無償交換へ』
『食品大手の明治は6日、生後9カ月以降の乳児向け粉ミルク「明治ステップ」(850グラム入り缶)から、最大1キログラム当たり30.8ベクレルの放射性セシウムが検出されたと明らかにした。4月以降、全国のドラッグストアなどで販売しており、同一期間に生産した約40万缶を同日から無償交換する。賞味期限が「2012年10月」と記されている製品が該当する。乳製品の国の暫定規制値(1キログラム当たり200ベクレル)は下回っていた。
同社によると、無償交換する40万缶は、埼玉県春日部市の工場で3月14~20日に牛乳を乾燥させる工程を経た製品。原料の牛乳には、3月11日以前に加工された北海道産などを使用していた。同社は、大量の空気を当てる過程で、東京電力福島第1原子力発電所事故で放出された大気中の放射性セシウムが混ざったとみている。
同製品は、生後9~12カ月の乳児に飲ませる場合、200ミリリットルの湯に粉ミルク約30グラムを溶かして使う。40万缶のうち、既に消費者に販売された数は現在調査中としている。同社は東日本大震災以降、月1回のペースで同工場の粉ミルクに放射性物質が含まれていないかを調べており、今回の検査は今月3日に実施。これまでは同社製品から放射性物質が検出されたことはなかったという。』

・日経web---『福島原発事故、人員や機材不足露呈 保安院が東電聴取結果公表』
『経済産業省原子力安全・保安院は6日、東京電力福島第1原子力発電所の事故について、吉田昌郎前所長ら8人に現場の状況などを聞き取り調査した結果を公開した。全電源が失われ放射線量も高い環境下で、人員や機材が足りず作業に手間取った。燃料損傷の可能性には早い段階で気付いたが水素爆発は考えず、想定の甘さや準備不足が改めて浮き彫りになった。
調査は8月4~19日、保安院担当者らが東電本店と福島第1原発で実施した。公開された調査結果は「所内の情報伝達」「手順書・マニュアル」などの項目ごとに聞き取りで判明した状況をまとめており、個々の証言者名は示していない。黒塗り部分が20カ所以上ある。調査結果によると、緊急時に集まる担当者は決めてあったが、1~6号機の同時事故は想定していなかった。協力企業の一部が大津波警報で退避し、資材の保管場所が分からない東電社員が作業した。
電源車が必要と判断したのは3月11日午後6時ごろ。自衛隊による空輸は重量オーバーで断念。同日午後9時~12日未明に陸路で着いたが、接続しやすい中圧タイプはなかった。メーカーから仮設電源盤を取り寄せ、外部電源の復旧に着手できたのは15日だった。
冷却用の注水では手順書に示された消火栓が使えず、消防車を利用。しかし発電所にあった3台のうち1台は津波で故障、1台は所内道路の損傷で12日午後まで動かせなかった。
津波直後は全体の状況把握で精いっぱいで、1号機の原子炉を冷やす非常用復水器の作業に集中できなかった。復水器は動作していると誤認、水位計の誤表示で燃料の露出にも気付かなかった。
燃料損傷の可能性は11日夜に1号機原子炉建屋で放射線量が上昇した時に認識。水素が発生すると分かっていたが、建屋が水素爆発するとは考えなかった。
調査結果はベント(排気)の作業に必要な、ボンベと弁をつなぐ配管が地震で壊れていた可能性にも触れている。』

■12月5日(月、270日目)

・共同通信---『福島原発、汚染水が側溝に漏れ 海に影響ないと東電』
『東京電力は4日、福島第1原発の高濃度汚染水を処理した後に淡水化する装置から水が漏れ、コンクリートのひび割れから屋外にある側溝に流れたと発表した。東電は「たとえ海に到達しても、ほとんど影響ないレベル」としている。
東電によると、4日午前11時半ごろ、装置がある建屋内に約45トンの水がたまっているのを発見、装置を停止した。午後2時半ごろには、建屋土台のコンクリート部分から外部の側溝に流れているのを確認。ひび割れから漏れていたという。側溝は約500メートル先で海につながっているが、水が海に届いたかは不明。東電は、海に流れ出ないよう側溝を土のうでふさいだ』
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東日本大震災(平成の大地震) - その122 備忘録

2011年12月04日 | 大地震
■12月4日(日、269日目)

一夜明けて快晴。

・産経web---『東電冬の「でんき予報」、3日連続で「やや厳しい」』
『冬の節電を促すため東京電力が今月からリニューアルした同社サイト上の「でんき予報」は、3日連続で電力需給の逼迫(ひっぱく)度合いを示す使用率が90%超の「やや厳しい」となった。1日からの冷たい雨で暖房や照明需要が増えたため。荒れた天気が予想される3日も90%を想定したが、東電は「供給余力は十分にあり安定供給に支障のないレベル」と説明している。』
→90%を超えてはいるが夏場の最大供給能力からみると現在の母数そのものが低すぎるのではないか。『本当』の最大供給能力がいくらで、当日の供給能力がいくらで、その使用実績がいくらと解かり易く出してほしいものだ。こんな『でんき予報』では狼少年になってしまう。

・読売online---『「奇跡の一本松」保護を断念…海水で根が腐り』
『東日本大震災の津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」について、保存活動を続けてきた地元の「高田松原を守る会」が保護を事実上断念したことがわかった。
同会は、国の名勝「高田松原」に唯一残った松を復興のシンボルにしようと、周囲に鉄板を打ち込んだり、地中の海水を吸い上げたりしてきた。しかし、財団法人「日本緑化センター」(東京)が10月に調べたところ、海水で根がほとんど腐り、松を維持するのは極めて難しい状態と判明。会では「再生不可能」として保護作業を打ち切った。現在は立ち枯れるのを見守るしかない状況という。』
→復興のシンボルだっただけに残念だ。

■12月3日(土、268日目)

冷たい雨の寒い朝。

・日経web---『東電中間報告、自己弁護に終始 幹部証言公表せず 』
『東京電力が2日発表した福島第1原子力発電所事故の中間報告書は、事故原因に迫る詳細な資料や幹部の証言などについては公表しなかった。第三者が検証したとしているが、事故対応の正当化と自己弁護の印象が強い。事故原因については政府や国会などが第三者委員会を複数設け、それぞれ独自の調査・検証作業を進めている。東電自らの検証の限界が浮き彫りになり、第三者の事故調査委員会が事実の詳細を明らかにできるかどうかが焦点になる。
東電の社内調査は、山崎雅男副社長を委員長とし、役員、部長が委員となって手掛けた。強い権限を持つ立場にもかかわらず社内資料の公開が不十分で、幹部の証言なども盛り込まなかった。
東電が中間報告の評価を委ねた第三者委員会(委員長=矢川元基東大名誉教授)も、東電の事故後の対応について「誰が指揮、作業していようがほぼ同じ状況になっていたに違いない」「本当に頭が下がる思いである」などとの意見書を公表した。委員は2日の記者会見には同席しなかった。
中間報告書は、専門家から大津波の可能性について指摘は受けたが根拠がなかったとして対策を見送った経緯を説明した。ただ、専門家らの間には異論が出ており、複数の事故調の検証が待たれる。
今後は政府の事故調査・検証委員会や民間の福島原発事故独立検証委員会のほか、国会、経済産業省原子力安全・保安院などが設置した事故調の見解に注目が集まる。
国会の事故調は国政調査権で証言を求めることができるなど強制力を伴う。東電の中間報告は検証の通過点にすぎず、様々な観点から事故原因の究明が続いている。』
→7個のPDFが東電のサイトに公開されている。読むだけでも大変な量だ。山崎副社長は会見で「国と一体となって安全対策を実施してきた」と国の責任を強調。『安全上重要な機器に地震による損傷はなく、事故の直接原因は想定以上の津波』と主張するのであれば、今回の事故が『原子力損害賠償法が定めた「異常に巨大な天災地変」の免責条項に該当すること』を堂々と主張してはどうか。
中間報告別冊個別項目のPDFに、3月14日~15日にかけての全員撤退問題が記されている。項目名は『一部所員撤退』となっているが。その一部を引用しようと思ったがPDFにコピープロテクトがかかっている。こんなに細かくプロテクトをかけなくともいいのではないか。

・毎日jp---『◆東電中間報告の骨子◆』
『・安全上重要な機器に地震による損傷はなく、事故の直接原因は想定以上の津波
・津波の想定は、唯一の基準の土木学会の手法に基づき評価。より大きな津波を想定した社内試算は具体的根拠に欠ける
・国と一体で整備した過酷事故対策を超え、機器がほぼすべて機能喪失
・津波到達後の運転員の操作は手順書に基づいており、問題はない
・1、3号機の爆発を引き起こした水素の漏えい経路は不明。2号機で水素爆発はなく、4号機の爆発音を誤認
毎日新聞 2011年12月3日 東京朝刊』


■12月2日(金、267日目)

今年の流行語大賞に『なでしこジャパン』に決まった。お祭りと言えばそれまでだが『暫定基準値を超えましたが安全です』を忘れてはならないのではないか。

・東京web---『核燃料露出まで1・5メートル 福島4号機プールの水位低下 』
『東電福島第1原発事故で、冷却機能を失った使用済み核燃料プールでは燃料の熱で水が蒸発、発熱量が多い4号機では水位が5・5メートル低下し、燃料の上端から1・5メートルに迫っていたとの評価結果を東電がまとめたことが1日、分かった。
水位低下は3月11日の事故発生後、4月20日すぎまで1カ月以上続き、燃料が露出する寸前の状態になった。22~27日に930トンを集中的に注水して満水状態に戻したが、東電が作成したグラフでは、この注水がなければ5月初めに燃料が露出していたと読み取れる。燃料は露出が続くと溶け、放射性物質が環境中に放出される恐れがある。』

・毎日jp---『福島原発事故:発生直後、千葉のキセノン濃度40万倍に』
『東京電力福島第1原発事故直後、大気中の放射性物質「キセノン133(半減期5日)」の濃度が事故前に比べ最大で約40万倍になっていたことを、環境中の放射性物質の調査などを専門に行う財団法人「日本分析センター」(千葉市)が1日、明らかにした。同日東京都内で行われた文部科学省の環境放射能調査研究成果発表会で公表した。
同センターによると、キセノン133の大気中の平均濃度は、3月14~22日に千葉市で1立方メートルあたり1300ベクレルへ急上昇した。事故前は「不検出」から3.4ミリベクレルの間で、3月11日の事故直後は40万倍に達した。通常の濃度に戻るまで約3カ月かかったという。
同センターの磯貝啓介さんは「キセノン133は福島第1原発からプルーム(雲のような塊)になって千葉市まで流れてきたのだろう。3カ月間の外部被ばく量の累積は1.3マイクロシーベルトで、健康に影響が出るレベルではなかった」と話している。
キセノン133は、原発の燃料として使われるウランやプルトニウムが核分裂するときにできる。他の物質とほとんど反応しないため、吸い込んでも内部被ばくの恐れはない。同センターは千葉市の敷地内と、全国の4カ所(札幌市、秋田市、福岡県太宰府市、沖縄県南城市)で専用装置を使って06年度から継続的にキセノンなどの濃度を観測している。』

こんなことまで記録に残す必要があるかどうか若干のためらいはあるが・・。
・スポーツ報知---『西山元審議官、やっぱり福島行かない』
『女性職員との不適切な交際で停職1か月の懲戒処分を受け、環境省の福島除染推進チーム次長に就任した西山英彦・元官房審議官(54)が、赴任するはずだった福島には行かず、東京で勤務することが1日、分かった。
参院東日本大震災復興特別委員会で、社民党の吉田忠智氏(55)が西山氏の女性問題に触れ「こんな人物が除染を担当して福島の皆さんが信頼すると思いますか。不適切ではないか」と質問した。
「コクムダイジ~ン!」と呼ばれて答弁に立ったのは、細野豪志環境相(40)だった。「福島環境再生事務所」の設置に向け、「各省に応援要請しており、今ご指摘の人物についても経産省の方から併任という形で派遣をしていただいている」と答えた。
細野氏は西山氏から「被災者の皆さんのためにもしっかりやりたい」と言われたことを明らかにした。ただ、「福島の皆さんもいろいろ思いがありますので、本人は表に出ることなく、東京、そして本当に必要なときは地元に行って、裏方としてしっかりと除染で汗をかきたいと申しております」と語った。
環境省は11月18日に西山氏の人事を発表。チームの本拠地がある福島に赴任し、放射性物質除去関連業務に当たると説明していた。環境省秘書課によると、西山氏は就任後1度、福島入りしたが、現在は東京にいて「出張などで福島に行くかも知れないが、次にいつ行くか分からない」という。』



■12月1日(木、266日目)

・日経web---『福島1号機の溶融燃料、格納容器の床65センチ侵食 東電発表 』
『東京電力は30日、福島第1原子力発電所の原子炉内で、溶け落ちた核燃料がどうなっているか推定した結果を発表した。1号機では全量が原子炉圧力容器を突き抜けて格納容器に落下。底に敷かれたコンクリートを、場所によっては鋼鉄製の容器の壁から37センチのところまで侵食したという。燃料の広がりは今後の除染や廃炉へ向けた作業を妨げる可能性がある。
30日に国が開いた研究会で、東電が水位計データなどをもとにしたコンピューター解析の結果を示した。政府と東電は年内に冷温停止状態の達成を計画する。圧力容器底部が100度以下になるのが条件の一つだが、1号機の圧力容器に燃料が残っていなければ、底部温度を判断基準にする意味は薄れる。
東電の推定によると、地震後もっとも早く炉心溶融(メルトダウン)を起こした1号機は最悪の仮定では全燃料が格納容器に落下、コンクリート床の深さ1.2メートルのくぼみなどにたまった。燃料は1500度以上になり、コンクリートと反応して最大65センチ侵食したという。燃料は格納容器内にはとどまっている。
溶けた燃料が配管を傷つけ、高濃度の汚染水が格納容器の外に流れ出した可能性もあると推定した。東電は2号機で燃料の最大57%、3号機では同63%が溶け落ち、格納容器の床を12~20センチ侵食したと試算した。
2、3号機では溶け落ちた核燃料の3%程度が水から露出しているものの、冷却は進んでおり侵食を起こす反応は「現在は停止している」と分析した。2号機の格納容器の一部は11月でも約400度と高温だが、「温度計付近に溶けた燃料が付着していると考えられる」(東電)。
ただ、水位計などのデータは信頼性に問題がある。1号機で事故直後に圧力が急低下した理由なども不明。エネルギー総合工学研究所の内藤正則部長は「圧力容器の支えが損傷し、傾いている可能性もある」とみる。
岡本孝司・東大教授は「(燃料が圧力容器内にとどまった)米スリーマイル島原発事故のときより燃料の取り出しは難しい」と指摘、廃炉作業は難航する公算が大きい。東電などは今後、別の計算法による推定も試みる。』
→日経朝刊には『溶けた核燃料、格納容器の壁まで37センチ』の見出しが。客観的事実の推定は解ったが、これがどの程度危険なのか、危険でないのか、若しくは解らないのか、これらの記事からは読み取れない。あくまでも『推定』で実際に内部の様子を把握できていないというのは不安が残る。ファイバースコープのようなもので中をのぞき見ることはできないものか。『オリンパス』など、日本の技術を結集すればできそうな気もするのだが・・・。



■11月30日(水、265日目)

・共同通信---『注水停止命令は形だけ 指示無視、第1原発所長』
『東京電力福島第1原発で事故後、1号機の原子炉で始めた海水注入を東電本店が中断するよう求めたが、吉田昌郎所長が現場の作業員に「今から言うことを聞くな」と前置きして「注水停止」を命令し、注水を継続していたことが、政府や東電関係者への取材で29日、分かった。吉田所長の行動には「独断だ」との批判の一方、「事態のさらなる悪化を防いだ」との評価もある。政府が設置した第三者機関「事故調査・検証委員会」(畑村洋太郎委員長)も、この「形だけの停止命令」を把握、原発で過酷事故が発生した際、現場がどのように判断し、意思決定すべきかを考える具体例として注目している』


・中日web---『中日春秋』
『▼内閣府の原子力委員会は、過酷な事故が起きる可能性は最悪の場合、一基当たり「五百年に一回」との試算を発表した。原発コストを計算する中で、原子炉の運転実績と福島第一原発1~3号機の事故を三回と数えた
▼五百年に一回であれば、少し安心するかもしれないが、この数字に猛反発しているのが原発推進派の学者だ。見方を変えれば、五十基以上の原発がある日本では、十年に一度はどこかで福島第一原発級の事故が起きる計算になるからだ
▼安全の強化を前提に、推進派が適切とするのは一基当たり「十万年に一回」。国際原子力機関が求める安全目標値だ。原発の稼働から約四十五年間に、最悪の事故が三基で起きたのにこんな数字を平然という神経を疑う』


■11月29日(火、264日目)

・日経web---『原発事故調、菅前首相らの聴取来年に 』
『政府の東京電力福島原子力発電所の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)が12月26日に公表する中間報告で、菅直人前首相ら事故当時の政府首脳の証言が盛り込まれない見通しになった。前首相や関係閣僚へのヒアリングが来年1月以降になる公算が大きくなったためだ。原発事故の検証では政府の対応の是非も焦点となっているが、事故後9カ月たってまとまる中間報告でも全体像は明らかにならず、解明には時間がかかりそう。
ヒアリング対象は前首相の他に枝野幸男前官房長官(現経済産業相)、海江田万里元経産相、細野豪志前首相補佐官(現原発事故担当相)ら。これまでの東電関係者らへのヒアリングは非公開だったが、前首相らの場合は同意があれば公開も検討する。2月下旬の海外専門家を招く国際会議までに一定のめどをつけたい考え。
事故調は11月29日に開く第5回会合で、中間報告の事務局原案をまとめる。』
→中間報告に官邸のヒアリングがなければその価値はずいぶん下がるのではないか。中間報告といえばそれまでだが、今までいくらでもヒアリングする時間は取れたのではなかろうか。一部では原発の情報は国民の目に触れることなく非公開の事故調査・検証委員会に流れてしまうとの報道も。日本という国が存亡の危機にあった(まだある?)状況を一刻も早くオープンにして欲しいものだ。

・asahi.com---『福島産の米、宮城産と偽り販売 仙台の会社を県が調査』
『宮城県の米卸大手「協同組合ケンベイミヤギ」(仙台市太白区)が、福島県産の米を宮城県産などと偽って販売していたことが分かった。東北農政局や宮城県、仙台市は日本農林規格(JAS)法や米トレーサビリティー法違反などの疑いがあるとして調べるとともに、同組合に立ち入り調査をした。
宮城県などによると、同組合は2010~11年、昨年収穫した福島県産のひとめぼれやコシヒカリを宮城県産としたり、宮城県産の通常のササニシキなのに農薬を抑えた特別栽培米と表示したりして販売していた。農政局と宮城県が先月2回にわたって立ち入り調査をした際、同組合は誤って表示したことを認めたという。
県の調査では、米の取引情報を帳簿などで適切に記録・保存していなかったほか、実際より価値の高い商品に見せかけた疑いが強いとして、米トレーサビリティー法と景品表示法に違反する可能性があるという。また、JAS法違反の疑いで仙台市が調べている。』
→予想されたこととはいえ、これだけはやめて欲しいものだ。産地偽造されたら、一袋単位で調べないかぎり解らない。

・共同通信---『福島県が2市に出荷見合わせ要請 コメ基準値超えで』
『福島市と福島県伊達市の農家で生産されたコメから暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された問題で、県は29日までに、二本松市と本宮市の一部のコメについても出荷を見合わせるよう求めることを決めた。
県によると、対象は二本松市の旧岳下村や本宮市の旧白沢村など9地区で2381戸。県はすでに緊急調査を進める同県伊達市など4市1941戸の農家に出荷見合わせを要請しており、見合わせの対象は計4322戸になる。
うち、基準値超えが判明した伊達市の旧小国村と旧月館町計312戸に対しては、政府が29日午後にも出荷停止の指示を出す方針。』
→福島米の安全宣言が出されたとたん、局地的ではあるかも知れないが、次々と基準値越えが出てきた。本当に安全なのか判断のしようがない。
先週末くらいのTV報道(局は忘れたが)で、福島の生産者が自分の孫には茨城米を食べさせているとの映像が流れた。福島米が安全とはいえ、当事者(家族)の正直な感覚だろう。ふと思ったが、福島県でも20歳以下の子供達には積極的に県外産米(少しでも汚染されてないお米)を食べさせた方がいいのではないか。多少の非難は無視すべきだ。少しでも子供達を放射能から遠ざけるのが最優先事項。全国の60歳以上が積極的に基準値を下回るお米を食べればいい。嫌な人は食べなければいいだけの話し。それくらいのことを言う政治家・識者と言われる方々はいないものか。


■11月28日(月、263日目)

・共同通信---『「大津波あり得ない」東電動かず 原発事故調査委、経緯解明へ』
『2008年に東京電力社内で、福島第1原発に想定を大きく超える津波が来る可能性を示す評価結果が得られた際、原発設備を統括する本店の原子力設備管理部が、そうした大津波は現実には「あり得ない」と判断して動かず、建屋や重要機器への浸水を防ぐ対策が講じられなかったことが27日、分かった。東電関係者が明らかにした。
12月に中間報告を出す政府の事故調査・検証委員会も経緯を調べており、研究の進展で得た津波リスク評価の扱いや対応が適切だったかが焦点となる。
関係者によると、新たな津波評価について同管理部は、学術的な性格が強く、深刻に受け取る必要はないと判断したという。』
→ZAKZAKには『原子力設備管理部の部長を07年発足時から昨年6月まで務めていたのは、皮肉にも現在、福島第1原発で陣頭指揮を執る吉田昌郎所長だった。』との記述が。
Wikipediaの吉田所長の経歴にも『福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所両原発の発電部保守課、ユニット管理課などを経て、2007年から本店原子力設備管理部長。2010年6月から福島第一原子力発電所所長。』とあるので間違いはなさそうだ……。
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東日本大震災(平成の大地震) - その121 備忘録

2011年11月27日 | 大地震
■11月27日(日、262日目)

・日経web---『福島原発1号機の水素爆発、官邸と調整で公表遅れ  保安院幹部、事故調に証言』
『東京電力福島第1原子力発電所1号機が3月12日に水素爆発を起こす直前に、首相官邸から経済産業省原子力安全・保安院に対し、重要な発表は官邸と事前に調整するよう指示が出ていたことが関係者の話で明らかになった。水素爆発を含むその後の重要事項の公表遅れを招いた可能性がある。政府の事故調査・検証委員会も関心を寄せており、12月の中間報告に関連事実を盛り込む方向で調査を進めている。
事故調は調査の途中経過を29日に記者会見し、説明する。関係者によると、事故調に複数の保安院幹部が「官邸とのやり取りに時間を要した」と証言している。事故調は、菅直人前首相ら官邸側の聞き取りを終えてから、官邸への事前報告や調整が国民への情報提供の遅れにつながった可能性について最終的な事実認定を下す方針だ。
官邸や保安院の関係者によると、官邸の指示のきっかけは、保安院の審議官が「炉心溶融の可能性がある」と述べた12日午後2時の記者会見。審議官は会見前に保安院幹部と相談。保安院は重要事項を1時間以内に公表することになっており、早急に公表すべきだと判断した。
一方、菅前首相、枝野幸男前官房長官ら官邸側は、保安院の会見で初めて事態を把握。直ちに当時の首相秘書官らを通じ、保安院に「政府首脳がテレビで重要事項を知るのはおかしい」などと抗議。(1)会見前に官邸と内容を調整(2)重要事項は官房長官が先に公表――と指示した。当時の首相秘書官は「官邸では官房長官と保安院の会見が二元化し、国民が混乱する懸念があった」と説明する。
この指示直後、午後3時36分に1号機が水素爆発した。保安院の報告を受け「何らかの爆発的事象があった」と枝野前官房長官が会見で公表したのは2時間以上後の午後6時前だった。
炉心溶融に関する保安院の説明内容も変遷。「炉心溶融の可能性」を指摘した審議官は12日午後6時の会見を最後に交代し、12日夜に会見した前首席統括安全審査官は「現時点で承知していない」と説明。「燃料ペレットの溶融」との表現で保安院が炉心溶融を認めたのは4月18日だった。』


・日経web---『福島第1、深刻な事態予想せず 運転員の証言公表 』
『経済産業省原子力安全・保安院は25日、東京電力福島第1原子力発電所1号機の中央制御室で震災当日に作業していた運転員の証言を初めて公表した。保安院が事故調査の一環で独自に聴取した。「大津波警報の電話連絡を受けたが影響が出るような津波が来るとは認識していなかった」など、深刻な事態を予想していなかったことが改めて明らかになった。
保安院は20日に福島第1原発で聴取を実施、25日の専門家の意見聴取会で結果を公表した。地震直後は「通常の手順書の対応で事象を収束できると考えていた」「津波襲来後、中央制御室のランプ表示が次々に消えるなかで非常用復水器(IC)が機能しているかどうかわからなくなった」などの生々しい声が記録されている。
吉田昌郎所長らがいた本部とは「逐一、中央制御室のホットラインを通じて連絡していたが、具体的な内容は覚えていない」との証言もあった。「タービン建屋1階の原子炉側の通路でシューシューという音を聞いた」など、配管からの蒸気漏れを疑わせる内容もあった。保安院は今後も聴取を続け、事故原因の解明や対策に役立てる。』



■11月26日(土、261日目)

・読売online---『大震災後、11活断層帯の地震頻度10~70倍』
『東日本大震災後、東北地方から中部地方にかけた11の活断層周辺で、地震の発生頻度が10~70倍に増加したことが、東京大学地震研究所の分析でわかった。
過去には東日本大震災のような巨大地震の後、活断層周辺で大地震が起きた事例もあり、研究チームは「継続監視すべきだ」としている。千葉市で26日開かれた日本活断層学会で発表した。
研究チームは、全国約170の主要な断層帯について、断層から5キロ・メートル以内で起きたマグニチュード(M)1以上の地震の発生回数を、震災前1年間と震災後8か月で比較した。
活発化が特に目立つのは、震災前に比べ約70倍に増えた北伊豆断層帯(神奈川・静岡)や、同約66倍の境峠・神谷断層帯主部(長野)。東日本大震災による地殻変動で、地盤にかかる力が変化した影響とみられる。』

・asahi.com---『西日本でもセシウム検出 文科省、汚染地図作製へ』
『東京電力福島第一原発の事故で大気中に放出された放射性物質が日本全土に降り注いだことが、25日に発表された文部科学省の調査で裏づけられた。第一原発から約1700キロも離れた沖縄県を含む45都道府県でセシウムが観測された。半減期が2年と短いセシウム134が全地域で見つかっていることから、文科省は「第一原発事故からの降下物」と判断している。
事故前はほとんどの地域で検出されていなかった。しかし、微量でも西日本で見つかったことで、文科省は東日本で進めた土壌汚染マップ作製を西日本についても実施し、人体に影響ないレベルであることを確かめる方針も明らかにした。
今回の調査は容器にたまったちりを測定した4カ月分の積算値。宮城県、福島県は東日本大震災で計測器が壊れるなどで測れなかった。放射性セシウム134と137の積算値が最も高かったのは茨城県の1平方メートルあたり4万801ベクレル。山形県2万2570ベクレル、東京都1万7354ベクレルと続いた。茨城県で測定している現時点の放射線量は毎時0.14マイクロシーベルトほどで年間では約1ミリになる。
東京は放射能を帯びたちりが多く降ったが、別の調査では土壌のセシウムの蓄積量は比較的低い値が出ている。文科省は「東京は他県に比べて土壌が少ない一方で、沈着しにくい道路やコンクリートに落ちて風や雨で流されて拡散したためではないか」と説明する。
第一原発から離れた中国や九州地方では格段に少なく、積算値の最低は熊本県の0.378ベクレルだった。』



■11月25日(金、260日目)

・24日北海道浦河町で震度5弱の地震が発生。本日未明には広島で震度4。全国規模で地震が続く。
・先日東大地震研究所の講演を聞いた。色々な話しがあったが、首都圏直下地震の発生確率は今後30年で98%。東北大震災発生により10数%確率が上がったとのこと。
大きな余震しは今後数年間は注意する必要がある。スマトラでは本震の5年半後にM7.5の大規模な余震が発生している。

・時事通信---『「影響する津波来ない」=運転員、警報後も通常手順―保安院が聞き取り・福島第1』
『東京電力福島第1原発事故で、経済産業省原子力安全・保安院は25日、同原発1号機の運転員から事故当時の操作状況を聞き取った内容をまとめ、同日開かれた専門家からの意見聴取会に提出した。運転員は保安院に対し、「影響が出るような津波が来るとの認識はなかった」と説明。通常の手順に従い、原子炉を冷却する非常用復水器(IC)を操作したという。
保安院によると、1号機は3月11日の地震で自動停止。運転員はICで原子炉の減圧、冷却を始めた。しかし、温度が規定値より速く下がり過ぎたため、IC2系統のうち1系統だけを断続運転し、冷却速度を調整した。
地震後の大津波警報は1号機中央制御室にも伝えられたが、運転員は「連絡は覚えているが、到達予想時刻や予想高さは覚えていない。影響が出るような津波が来るとの認識はなかった」と説明。「通常の操作で収束できる」と考え、冷却を速めるような操作はしなかったという。』

・時事通信---『圧力容器にも窒素封入へ=水素濃度引き下げ-福島第1』
『東京電力福島第1原発事故で、東電は24日、圧力容器内にたまっているとみられる水素ガスの濃度を下げるため、1~3号機の同容器内に直接窒素を封入する計画を明らかにした。
これまで、圧力容器を覆う格納容器には窒素を入れていたが、10月28日に2号機の格納容器内の気体を抜き出して浄化する「格納容器ガス管理システム」を稼働させた後、最大2.9%の水素を検出。その後、水素濃度は低下したが、東電は、圧力容器内に残っていた水素がガス管理システムの稼働で格納容器側に漏れ出したとみており、圧力容器内に直接窒素を入れ、水素を追い出すことにした。』

・読売online---『冷えすぎても危険…原子炉温度上げる作業開始』
『東京電力は24日、福島第一原子力発電所1~3号機の原子炉への冷却水の注水量を減らし、圧力容器内の温度を上げる作業を始めたと発表した。
圧力容器には水素が存在していると考えられ、容器が冷えすぎると中の水蒸気が水になって乾燥し、水素に着火する危険が増すため。東電は同時に、中の水素を排出するため、圧力容器に窒素を注入する準備も始めた。
1号機の注水量を毎時0・5立方メートル(現在の注水量は毎時5・5立方メートル)、2、3号機は毎時1・5立方メートル(同毎時10立方メートル)ずつ減らす。現在、1~3号機の圧力容器底部の温度は70度未満に下がっているが、80度を上回るほどに上げて水蒸気量を確保する。窒素が注入でき次第、注水量を元に戻すという。』


■11月24日(木、259日目)

・未明、福島で震度4の地震が発生。宮城県岩沼市と石巻市、福島県いわき市、広野町、楢葉町、富岡町で震度4を記録。また地震が増えてきた感じがする。

・東京web---『ストロンチウム 都内3カ所で検出』
『東京・霞が関の経済産業省庁舎前(千代田区)など都内三カ所の路上に堆積していた泥から、微量の放射性ストロンチウムが検出されたことがわかった。福島第一原発から約二百五十キロとより遠い横浜市港北区のマンション屋上の泥などからも十月中旬に確認されている。ストロンチウムについて文部科学省は同原発から半径百キロ圏内でしか土壌調査しておらず、専門家などから調査範囲の拡大を求める声が上がっている。
調べたのは、港北区の自宅マンション屋上でストロンチウムを突き止めた教員男性(38)らの住民グループ。十月上旬、経産省前のほか、東京国際フォーラム前(千代田区)と都営地下鉄清澄白河駅前(江東区)にたまった土壌を採取し、横浜市鶴見区の民間検査機関・同位体研究所に測定を依頼した。
検査結果によると、ストロンチウムは一キログラムあたり最大が東京国際フォーラム前で五一ベクレルを検出。経産省前が四八ベクレル、清澄白河駅前は四四ベクレルだった。
一方、放射性セシウムについては経産省前の四万八〇〇〇ベクレルが最大。東京国際フォーラム前が二万九五五ベクレル、清澄白河駅前は一万九一二七ベクレル。これらは国や東京都が全く把握していないデータだ。
横浜市は男性の指摘を受け、十月中旬、市内三カ所からストロンチウムを検出し、福島第一の由来であると発表。市はストロンチウムの調査範囲を拡大するよう国に求めたが、文科省はまだ横浜の土壌の検査中という。
ストロンチウムの広範囲な汚染の一端を明らかにした男性は「国は食品のストロンチウムの規制値も示し、食品検査に結び付けてほしい」と話す。
国は現在、食品に含まれるセシウムの規制値を見直し作業中だ。暫定規制値ではストロンチウムが除外されている。
厚生労働省の担当者は「今の規制値でも、セシウムが検出されれば、ストロンチウムは10%を超えない割合で存在しているという前提でいる。来年四月までに新しい基準を示すが、ストロンチウムの具体的な数値を示すかも検討している」としている。』



■11月23日(水、258日目)

11/20の記事
・asahi.com---『福島第一セシウム、カムチャツカ沖の深海5千Mまで到達』
『東京電力福島第一原発から出た放射性セシウムが事故から約1カ月後に、2千キロ離れた深海5千メートル地点まで到達していたことが、海洋研究開発機構の観測でわかった。大気中のセシウムが海に落ち、プランクトンの死骸などに付着して沈んだようだ。20日、都内で開かれた報告会で発表された。
同機構は4月18~30日、福島から2千キロ離れたカムチャツカ半島沖と、1千キロ離れた小笠原列島沖の深海5千メートルで、プランクトンの死骸や砂などからなる1ミリ以下の粒子「マリンスノー」を採取して分析した。この結果、両地点でセシウムを検出した。セシウム137と134の比率などから、原発から出たものと判断された。濃度は解析中という。海洋中の放射性物質は、海流のほか、様々なルートで移動、拡散している実態が裏付けられた。』


■11月22日(火、257日目)

・共同通信---『福島市長、コメ全量買い上げを 基準値超で』
『福島市大波地区の農家のコメから国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出され、出荷停止になった問題で、同市の瀬戸孝則市長は21日、政府の原子力災害現地対策本部(同市)を訪れ、大波地区でことし収穫したコメを国が全量買い上げることを柱とする要望書を提出した。福島県によると、同地区の生産量は約142・6トン。
要望書は「農産物の検査態勢に不備があった」と指摘。買い上げのほか、福島市産米の風評被害に対する賠償や、福島市の農産物と農地を詳細に検査することなどを国に求めている。』
→先ずは東電が買い上げてはどうか。検査に不備があったとしても発端は東電なのだから。


■11月21日(月、256日目)

・共同通信---『3号機内部で1・6シーベルト 浄化装置接続場所近く』
『東京電力は20日、福島第1原発3号機の原子炉建屋1階で、毎時1・6シーベルトの高い放射線量を検出したと発表した。付近では16日にも毎時1・3シーベルトが検出されたと発表されている。
東電によると、検出したのは1階の北東部分で、格納容器の気体浄化装置の接続を予定している配管の近く。床の溝にたまった水が原因とみられ、放射性物質を含んだ蒸気が漏れて凝縮した可能性があるという。
高線量を計測したため、ロボットによる遠隔操作でふき取り作業を実施したが線量が下がらず、19日の計測で1・6シーベルトを検出した。このままでは人が近づくことは難しいが、東電は「線量を下げる方法を検討する」としている。』


・産経web---『食品中の放射性物質の新基準値 「乳児用食品」を新設へ 子供の被曝に配慮』
『食品に含まれる放射性物質の暫定基準値に代わる新たな基準値作りを進めている厚生労働省は、暫定基準値で5分類だった食品の分類を、新基準値では4分類とし、このうちの1つは、粉ミルクなどの「乳児用食品」とする方針を固めた。
「野菜類」「穀類」「肉・卵・魚・その他」としていた分類は「一般食品」で一本化、「牛乳・乳製品」は牛乳を独立させ、「飲料水」は現行のまま残す。いずれも24日に行われる厚労省の薬事・食品衛生審議会で提案される。
新分類の見直しにあたっては当初、暫定基準値より細かく分けることも検討。しかし、国民へのわかりやすさや、食生活の偏りを考えなくてもいいこと、海外の基準でも食品群を細かく分けていないことなどから「野菜類」「穀類」「肉・卵・魚・その他」の一本化案が浮上した。
一方、粉ミルクなど乳児しか摂取しない食品を「乳児用食品」として別基準を設け、子供の摂取量が多い牛乳も独立させるなど、被(ひ)曝(ばく)による影響を受けやすい子供に配慮。今後検討が進められる具体的な基準値の数値も、より厳しい値を設定する。「一般食品」も、食べ盛りの子供は日本人の平均摂取量より多く摂取することを念頭に、数値設定していくという。
乾燥で濃縮され、高い数値の放射性セシウムが検出される乾燥食品は、飲食する状態に戻したうえ「飲料水」や「一般食品」として判断する方向で検討を続けている。』


SAPIO2011年12月7日号より
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『福島原発事故調査した大前研一 天災ではなく人災と結論づける』
『福島第一原発はなぜ未曾有の大事故に至ったのか、その原因は徹底的に究明されなければならないが、政府・保安院の調査だけでは到底十分とはいえない。そこで元原子炉設計者でもある大前研一氏が、専門家らの協力のもと独自調査し、「福島第一原発事故から何を学ぶか」という中間報告をネットで公表した(報告書の内容はBBT〈ビジネス・ブレイク・スルー〉のサイト〈http://pr.bbt757.com/2011/1028.html〉やYouTubeで全面公開している)。報告書のポイントを大前研一氏が解説する。
調査をした結果わかったことは、政府が説明していること、今やろうとしていることには真実のかけらもない、ということだ。
たとえば福島第一原発1号機は、東日本大震災が発生した3月11日の午後6時46分頃、すでにメルトダウン(炉心溶融)が始まり、翌12日の午後3時36分に水素爆発が起きている。水素爆発はメルトダウンしないと起きるわけがないのだが、政府がメルトダウンを認めたのは、それから2か月後のことである。
原子力安全・保安院が実施しているコンピュータ・シミュレーションによるストレステスト(耐性検査)も、電力会社に指示している安全対策も完全にポイントがずれている。なぜなら、そもそも政府は福島第一原発の事故原因を間違えているからだ。政府がIAEAに提出した報告書は、今回の事故原因について「津波の発生頻度や高さの想定が不十分であり、大規模な津波の襲来に対する対応が十分なされていなかったためにもたらされた」としている。つまり、想定外の大津波が来たから起きた、と言っているのだ。
しかし、事故を起こした福島第一原発1~4号機と同じ大津波に襲われながら、福島第一原発5、6号機、福島第二原発、女川原発、東海第二原発は事故にならなかった。ということは、大津波は事故のきっかけにすぎず、メルトダウンに至った直接の原因は他にあることになる。
そこで我々は、福島第一原発1~4号機と他の原子炉ではどのような違いがあったのかという視点から調査・分析を行なった。すると両者の間には、全電源を喪失したか否かすなわち原子炉に冷却用の水を送り込むポンプを動かすための非常用発電機が1台でも生き残ったか否かの違いしかなかったのである。
たとえば福島第一原発5・6号機の場合、1~4号機と同様に地震で変電所が壊れて外部交流電源を喪失したが、幸運にも6号機の非常用ディーゼル発電機が1台だけ動いたおかげで5号機にも電力を融通して冷却を行ない、2機とも冷温停止まで持っていくことができた。
その発電機だけが生き残った理由は「空冷式」で、しかも水没しない高所に置いてあったからだ。設計当初はなかったものだが、数年前に保安院から非常用発電機の増設を命じられ、たまたま水冷式よりコストが安い空冷式を選択した。空冷式は冷却水を取り入れる必要がないから高所に置いた。そんな偶然が重なって5、6号機が命拾いをしたのである。
一方、1~4号機は非常用ディーゼル発電機がすべてタービン建屋の地下1階に設置されていたため水没し、冷却用の海水を汲み上げるポンプも常用電源のポンプと同じく海側に並んでいたため津波によって壊滅した。外部電源を取り込むための電源盤も水没し、電源車を接続することができなかった。
直流電源(バッテリー)も1、2、4号機は地下にあったので水没した。3号機はたまたまスペースがなくて中2階に置いてあったことが幸いして生き残ったが、充電を取り込む所が水没したため8時間しかもたなかった。
ちなみに、福島第二原発と女川原発は外部交流電源が1回線のみ健全で、東海第二原発は外部交流電源をすべて喪失したものの非常用ディーゼル発電機が健全だったため、いずれも“首の皮1枚”で事故を免れた。
ということは、非常用電源の冷却用ポンプが常用電源の冷却ポンプの隣に並んでいる「設計思想」そのものがおかしいのではないか、という疑問が出てきた。“たまたま設計時になかった設備”が、生き残った原子炉ではカギとなっていたからだ。そこで原子力安全委員会の「設計指針」を読み直してみたら、なんと、こんなことが書いてあった。
「長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧または非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない」
「非常用交流電源設備の信頼度が、系統構成または運用(常に稼働状態にしておくことなど)により、十分に高い場合においては、設計上、全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい」
私は、開いた口がふさがらなかった。これが、実は直接の事故原因だったのである。つまり、交流電源が全部喪失する事態は想定しなくてよいと設計指針に書いてあるから、東電も日立も東芝も、そのとおりに原発を造ったのだ。
ところが今回は、すべての交流電源が長期間にわたって喪失した。このためECCS(緊急炉心冷却装置)やホウ酸水注入系など原子炉で想定される最悪事故に備えた安全装置が1つも機能しなかった。だから原子炉や使用済み燃料プールを冷却することができなくなってメルトダウンと水素爆発が起き、放射性物質が飛び散ってしまったのである。
つまり、福島第一原発事故は大地震・大津波による「天災」ではなく、誤った設計思想による「人災」だったのだ。なぜ原子力安全委員会がこんなバカげた文章を入れたのかわからないが、その担当者を明確にして、きちんと責任を取ってもらわねばならない。
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