2月13日、奈良・白鳳時代から続く神福山・大澤寺(ダイタクジ)を訪ねた。
役行者(エンノギョウジャ、役小角とも言う)が8世紀に開山し、修験道のお寺として
スタートしたようだが、空海がこの地を真言密教のお寺として充実強化し、
真言密教の修行場(聖地)として活用したようだ。以降、南朝方のお寺としても
栄え、また紀伊・徳川家の祈祷所として庇護を受けたようだ。後方に神福山
(800m)を控え、谷筋からは高野山を遠望できる閑静な山間のお寺さんだ。
住所は奈良県、五條市大澤町。細い田舎道をクネクネと登っていくと、白壁の
お寺さんにたどり着く。標高は300m位だろうか?人けのない静かなお寺さんだ。
駐車場は20台位が停まれそうな感じで、比較的広い。このお寺さんは薬師如来を
本尊とし目の病気に薬効がある泉があるようだ。
通用口を入ると大きな木があり、左手に目洗い井戸?、右手には池が長く伸びて
いる。池の中央には立派な太鼓橋がある。ここの外側が正門のようだ。樹齢500
年ともいう立派な百日紅(サルスベリ)が植えられている。境内には大きなモミジの木も
あり、紅葉の時期には背景の山々の中にモミジが映えて美しいそうだ。山合いの
この地は地下水が豊富で、上流からの川はないが清水が湧く地のようだ。ここから
流れ出る水が、水沢川(ミナソガワ)となって五條市に下っている。
立派な庭のたたずまいをご覧いただきたい。
現存のお寺の建物には本堂と庫裏がある。本堂には正面に薬師如来が(垂幕奥に)
飾られ、右側に空海像、左に役行者の像がある。私達は住職のお手ほどきの下に、
心を無にして般若心経を唱え、終わりに願い事の成就を祈った。
何故、このお寺さんを訪ねたか?
実は、こちらの住職さんが大学の同級生であり、この同級生のお世話で、同窓会を
この秋に高野山で開くことになったため、打合せに出かけたものだ。素晴らしい
お寺さんで、立派なお坊さんになったと友人から聞いていたので、一度、お訪ねしたい
とかねがね思っていて、実現した。
「雑感」空海を思う
真言密教の開祖、空海は巷では弘法大師として親しまれているが、日本が生んだ
天才の一人だと私は思っている。私の仕入れた知識は司馬遼太郎「空海の風景」
が主だが、天才、神がかりの様子が理解できる。前後する時代では、阿倍仲麻呂や
聖徳太子も天才といえるだろう。空海の達筆、語学能力、理解力はすごかったようだ。
和語、中国語、サンスクリット語を完璧にこなし、中国の青竜寺・恵果和尚(阿闍梨)から
密教の秘儀を全て伝授され、潅頂の儀式を経て、1000人を超える弟子の中から密教・
恵果(阿闍梨)の継承者となった。日本に戻った後、真言密教を開き、835年に入定
(没すること)した。(774年~835年、満60才)
以上です。