ニックのマミー(義母)の家は、ロサンゼルスからサンディエゴへ向かう途中の海岸沿いにある、ラグーナ・ナイゲルというリゾート地の丘の上にある、ゲートコミュニティの中にある。上の写真には家が五軒。下の写真には二軒写っている。ホテルではない。普通の弁護士の家だそうだ。やれやれ。ゲートから中へはセキュリティチェックなしには入れない。ゲートの中はアメリカ映画のセットみたいにクリーンで平和である。ニックのマミーの家は岬から歩いて三十分くらいの所にある。岬から離れれば離れるほど家は小さく安くなる。だから岬の家のご近所には同じような人々が住み、マミーのご近所にはマミーと同じような人々が住む。一年中気候は温暖、風は涼しく、からりと乾いて、眺めは最高。この辺のリッチなピープルに聞かれる。
「あなたの若さを保つ秘訣は何?」
私は冗談で、「んんんと、シャネルかな?」と答えるのだが、ここでは全くジョークにならない、シャネル当たり前だから。私らは一年に一本、ニックのバースデーにシャネルの最高級美容液を買い求め、ニックの手の甲と私の目尻に毎日一滴ずつなくなるまで塗る。彼らは、それだけ?と首を傾げる。本当の答えは言いにくい。それは「日本に住むこと」だから。私はNYに住んだ十年間で実際の年より十年老けた。日本に帰って二年半でそれを取り返し、丸五年でさらに十歳若返った。そんな感覚がある。ではスチームバスに毎日入ればいいのかというと、それはノーです。空中の湿気だけでなく湿った水や湿った太陽や作物や魚や、さらに言えば湿っぽい日本語を喋ること自体に瑞々しさを保つ秘訣があると私は思う。ははは。無茶苦茶だが、そう実感するから仕方ない。そうだ、今度からこう言おう!
「年に一度、土用(The dog days of summer)に鰻食べることですかね?」
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