ミセスローゼンの上人坂日記

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ニックのエッセイの「バッハについて一言二言」の拙訳がわかりにくいと思うので、書き足す。
言い訳すると、ちょうど翻訳が必要な時に、まあちゃんは受験のまっ最中、お姉ちゃんはコンサートの直前で、娘に頼る事ができなかったんです。

バッハの無伴奏を弾くと、チェリストの全て(能力や信念)が明らかになるという下りから、ピュアリストについての文章だ。ピュアリストとは完璧主義者の事で、この場合は、「バッハの無伴奏を弾く時は、楽譜に忠実に完璧に弾きさえすればよい。個性を出そうとしてあれこれ、やればやる程完璧から遠ざかる。」と言う人達のこと。他力本願のアイデアに似ている。俳句に置き換えると、「偉大なる自然に忠実に完璧に写生さえすればよい。個性を出そうとしてあれこれ、やればやる程完璧から遠ざかる。」と言うようなものだろう。完璧主義者の問題は、完璧、の部分である。完璧に弾ければよし、だが我々人間は完璧ではない。俳人は特に完璧から程遠い人種だ。苦労の多い浮世をあくせくする中で、巣に帰って来た燕におかえりと言い、恋猫の叫びに苦笑する、そんな季語との出会いに、如何に慰められ楽しみを貰ったかを、自分の言葉で語り他者と共有する。千回言葉を口中に転がし、百の姿を詠み桜の本質を求め、想像力で生き生きと歌う、そんな俳人の業と同じことをニックはやっている。一音一音を千回弾き、百通りに奏で、想像力を使って、自分にとって最高のバッハを求める。ニックの人生にバッハとは何であるか、曲と人との出会いの醍醐味を伝える為にニックは弾く。完璧に弾く事が目標ではなく。ピュアリストとニック、どちらが傲慢で怠惰、どちらが謙虚で勤勉だと思いますか。
ニックのバッハを先日、松山で俳人の皆様の前にご披露できた事は、ニックが考える以上に素晴らしい出会いだったと思う。
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