亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

癖のある8月の米雇用統計。金は1300ドルの攻防戦

2016年09月01日 19時56分39秒 | 金市場

さて早くも9月入り。朝夕は涼しくなり、本日の明け方、東京でも虫の音が聞こえた。

2日の雇用統計の前哨戦的な意味合いから注目された雇用サービス会社オートマチック・データ・プロセシング(ADP)が中心となってまとめる全米民間雇用報告。民間部門雇用者数は前月比で17万7000人増と予想の17万5000人をやや上回り、ドル高の中で金は売られ1310ドル割れを見ることになった。2日の結果が予想(18万人の雇用増)前後か上回れば、売りが膨らむだろうから、事前の手仕舞い(ポジション調整)という流れが続いている。

ここでの問題は、ADPによるデータは、必ずしも労働省の発表する結果と整合性があるわけではなく、本番の雇用統計の数字がADPとかけ離れたものとなることが少なくないこと。あのサプライズとなり記憶に新しい6月初めの5月のデータがそうだった。ADP民間雇用は17万3000人増で予想にそった結果だった。この数字から2日後の雇用統計の(非農業部門)雇用者増がわずか3万8000人になるとは(速報値、後に2万4000人に下方修正)、誰も予想だにしなかった。直前まで6月の利上げを固めていたイエレン議長だったが、方針転換を余儀なくされた。この件もあり、ジャクソンホールでは自ら踏み込んだ発言はしなかったのだろう。このあたりは主要中銀トップとしてのリスク・マネジメントというべきか。

そもそも5月が2万4000人で6、7月は好調の目安となる20万人を大きく上回り、6月など30万人に近い数字となった振れ方は、どこかに異常値が混じっている可能性も否めないだろう。それに加え、8月は雇用統計上の誤差が出やすい月でもある。この時期に合わせて工場が設備の更新をしたり、夏休みが背景でイレギュラーな数字が出やすいとされる。果たしてどうなるか。

7月21日の下値を割れた金市場は、1300ドルラインの攻防に移行した。ETFにも売りが膨らみつつある。循環的にやってくる利上げ(観測)の波の高まりに、どの水準までの下げで踏みとどまれるか。1270~80ドルのイベント前(Brexit)前の水準にとどまればOKだろう。





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 金の1310ドル台は“Bargain ... | トップ | ISMで冷や水を浴び、雇用... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事