さて早くも9月入り。朝夕は涼しくなり、本日の明け方、東京でも虫の音が聞こえた。
2日の雇用統計の前哨戦的な意味合いから注目された雇用サービス会社オートマチック・データ・プロセシング(ADP)が中心となってまとめる全米民間雇用報告。民間部門雇用者数は前月比で17万7000人増と予想の17万5000人をやや上回り、ドル高の中で金は売られ1310ドル割れを見ることになった。2日の結果が予想(18万人の雇用増)前後か上回れば、売りが膨らむだろうから、事前の手仕舞い(ポジション調整)という流れが続いている。
ここでの問題は、ADPによるデータは、必ずしも労働省の発表する結果と整合性があるわけではなく、本番の雇用統計の数字がADPとかけ離れたものとなることが少なくないこと。あのサプライズとなり記憶に新しい6月初めの5月のデータがそうだった。ADP民間雇用は17万3000人増で予想にそった結果だった。この数字から2日後の雇用統計の(非農業部門)雇用者増がわずか3万8000人になるとは(速報値、後に2万4000人に下方修正)、誰も予想だにしなかった。直前まで6月の利上げを固めていたイエレン議長だったが、方針転換を余儀なくされた。この件もあり、ジャクソンホールでは自ら踏み込んだ発言はしなかったのだろう。このあたりは主要中銀トップとしてのリスク・マネジメントというべきか。
そもそも5月が2万4000人で6、7月は好調の目安となる20万人を大きく上回り、6月など30万人に近い数字となった振れ方は、どこかに異常値が混じっている可能性も否めないだろう。それに加え、8月は雇用統計上の誤差が出やすい月でもある。この時期に合わせて工場が設備の更新をしたり、夏休みが背景でイレギュラーな数字が出やすいとされる。果たしてどうなるか。
7月21日の下値を割れた金市場は、1300ドルラインの攻防に移行した。ETFにも売りが膨らみつつある。循環的にやってくる利上げ(観測)の波の高まりに、どの水準までの下げで踏みとどまれるか。1270~80ドルのイベント前(Brexit)前の水準にとどまればOKだろう。