亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

注目イベントにNY金反応せず、しかしETF残高は静かに増加

2019年10月21日 20時50分40秒 | 金市場
先週後半は結局いくつかのイベントに対し金市場に目立った反応は見られなかった。

まずはBrexitだが、進展期待も小さかったのでやはりという感じだが、英国議会は結局、ジョンソン英首相がEUとの間でまとめた合意案の採決は行わず、首相に対し10月末の期限延長申請を強制する修正案の採決を優先し採択された。ジョンソン政権のみならずEUも採決を求めているにもかかわらず、とにかく延期しようと。伝えられているように首相は法にのっとり延期申請は出したものの署名はせず、形式的なものであることを示した。署名入りで延期は本意ではない旨の意思表示をEU側にするという一般的には考えられない展開に。先日の米中協議と同じで市場としては、Let it go.ということだろう。

EU側もフランスなど、これ以上の延長は認めないという声が強いと伝えられている。他に懸案事項も多い中で、この問題にこれ以上時間を費やしたくないとの空気も強いとされる。延期にしても英国以外の前回一致での承認が必要で、構造的には、どこか1国(1人の首脳)が反対すると合意なき離脱ということになる。

月末29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、今週から米連邦準備理事会(FRB)関係者の発言自粛(ブラックアウト)期間に入るが、この点で先週末18日のクラリダFRB副議長の発言内容が注目されていた。

議長は想定されるリスクから米経済を守り、回復を持続させるためにFRBは「適切に行動する」とした。この表現は過去2回のFOMCに際してパウエル議長も使っており、利下げを示唆したとの受け止め方がされた。もっとも、失業率が50年ぶりの低水準にあるなど米経済は「良好な環境」にあるとしたが、現状はそうでも「保険的」利下げゆえに、それは関係ない。しかし、保険的利下げを何回続けるのかという疑問もあり、同じような引き下げを行った1998年は3回だったので、今月引き下げればこれで終わりという指摘があり、なるほどと。いずれにしても今週からはFOMC終了時まで、FRB関係者の発言は休止となる。

18日は、アジア時間に中国国家統計局が7-9月期の国内総生産(GDP)を発表。こちらは伸び率は落ちているだろうという予想通り前年比6.0%増となり、1992年の四半期統計開始以来最低だった。米中間のここまでの展開からは、それはそうでしょうという流れ。この中国の落ち込みの影響がこれからアジア圏やその他にどれだけ波及するか。18日はNYダウなど目立って下げたが、これは悪材料が出たボーイングとJ&J(ジョンソン&ジョンソン)の下げがもたらしたもの。J&Jは決算が良く買われていたのだが。

以上の注目イベントの中でNY金は1490ドル近辺でのレンジ相場で方向感なし。日柄整理中。しかし、18日は意外にも金ETFの最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の段高が6.45トン増加。年初来の最高残高を静かに更新したのが目についた。




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