亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

果樹飲料とドルの価値 

2020年04月28日 19時43分56秒 | 金市場
昨日の日銀の流れで中銀がらみで書くと、インド中銀(インド準備銀行)が27日に国内の投信向けに5000憶ルピー(約7000憶円)の資金供給をすると発表したというニュースがあった。米フランクリン・テンプルトンがインドで運用するファンド6本を閉じるといきなり発表。それに動揺した投資家が他の投信の解約に走る状況が見られたことで、放置して連鎖的に解約が進むと資金ショートから投げ売り状態となると、WTI原油ではないが市場の混乱につながる可能性がある。中銀としては看過できないということに。

中銀が投信に資金注入というと、今回の新型コロナによる市場混乱でFRBもMMF(マネー・マーケット・ファンド)に介入しており、まさに「できることは、何でもやる」(27日の黒田総裁)のが今の中央銀行となっている。「できること」といっても、限度があるわけでFRBの急激な資金供給は、ドル価値を薄める政策であるのは、間違いない。

基準をどこに置くかがにもよるが、10年前にFRBが量的緩和に初めて乗り出した際にセミナーなどでたとえとして話したのは、ジュースに水を入れていくようなものということ。ジュースは100%果汁だが、薄めていく過程でむしろ100%より少し薄めの方がおいしいと感じる人も多いとされる。100%ジュースは果汁の種類にもよるが甘すぎたり、酸っぱすぎたりで苦手とうもので、人の感じ方は様々だ。何年前くらいかキリンが70%の果汁飲料を発売していた時期があった。消費者調査で70%の濃さをおいしいと感じる人が多かったというのが商品化の理由だったと記憶している。

そこで、濃度をどんどん下げていったときに、不味いと感じる人が増えていくと思うが、どこかで臨界点のようなゾーンがあり、やがて多くが不味いと思うことになる。その臨界点の特定はできない。おそらく季節など飲む環境にも寄るだろう。しかし、不味いと多くが感じる状況はやってくる。

いまの通貨をばらまく状況を見ていて、果たして今のドル・ジュースの濃さはどのくらいなのかと考える。ずいぶん薄くなったが、まだまだおいしいと思っている人が多いのは事実だ。実際に薄くなったにも関わらず、皆が欲しがっている。しかし、濃さの問題だけでなく添加物が混じり一気に不味くなることもあるかもしれない。70%の濃度を下回っても、まだ飲めるよ、他のジュースより美味いよというのが現状か。ならば、何かの拍子に混ざって不味いと思わせる添加物は何なのか。色々ありそうな気がする。

しかし、何かこのドルの濃さというか味を図るモノサシはないのか?あるではないか、それがドル建て金価格。



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