8月29日のNY市場の金価格は、引き続き31日の金融シンポジウムを前にした思惑主導の取引となった。29日は前日に続き続落。ここにきて発表される経済指標がQE3を必要とするまでには悪くないという見方が金市場では売りを誘っている状況。一方でこのところのETFの残高増加など新規資金の流入に注目する論調も見られる。ETF全体では29日時点で2457トンと過去最大の残になったと見られている(Bloomberg調べ)。これはフランスさらにはイタリア中銀の保有量を上回る規模となる。日々の動きより、こうした水面下でのETFの動きなどのほうが重要と思われる。
29日の取引でも、発表された米国4-6月期GDP伸び率の改定値が1.7%と速報値の1.5%より上方修正されたことが、金市場では売りにつながったと見られる。ただし、これとて先行して発表された米貿易収支の赤字が減少していたことから、GDPは押し上げられると目されていたもので、市場予想に沿った結果といえる。次回のFOMCの政策判断材料となる地区連銀経済報告書(ベージュブック)も発表されたが、こちらも「成長は続いている、しかしテンポは遅い」というここまでの内容と大きくは変わっていなかった。
結局、明日に予定されているバーナンキ議長の講演も、メインシナリオは、時期は特定せず状況次第でQE3に踏み込む準備はできているという内容になりそうだ。あとは「財政の崖」問題に関連して金融政策だけでは限界があるので政策対応を、といった内容か。先日、このイベントをうまく使う可能性があると書いたが、もちろんそれもあり。いずれにしても発言の後退はなし。
ところで28日に共和党全国大会(フロリダ州タンパ)で採択された政策綱領に金本位制への復帰を検討する委員会の設置を盛り込んだことが、一部で話題になっている。もともと共和党保守派の中には金本位復活願望があるが、今回こうした形で入ったのはFRBによる大掛かりな量的緩和策の実施に対する根強い反対がある。ドルを薄める、すなわちドル安政策は、「強いアメリカ」の「強い通貨」には正反対の政策でドルを貶めるような政策は(経済論議は抜きにして)受け入れがたいという考え方がある。
そもそも金本位制ならば、QEなどと無制限にドルを刷ってばら撒けないから金の縛りを設けよという、保守派の言い分に配慮したものと思われる。
そういえばロムニーと当初共和党大統領候補の椅子を争った保守派重鎮ロン・ポール下院議員など根っからの金本位論者でもある。昨年の10月にワシントンにて共和党保守系の「ヘリテージ財団」がシンポジウムを開き、テーマは「ドル価値を安定させるには」というものだったとされる。金本位制論者が集まったなかで同議員ももちろん参加していたと。今回の要綱については経済論議ではなく、アメリカの面子を掛けたような話で、こうした論点を盛り込んでおいたら、この辺りに関心の高い層の票も拾えるだろう・・・的なものと思われる。つまり、実現の可能性が薄いのは承知の上で掲げたものだろう。したがって、この話は(この程度でとどまるならば)金価格の押し上げ要因にはならないと思われる。
29日の取引でも、発表された米国4-6月期GDP伸び率の改定値が1.7%と速報値の1.5%より上方修正されたことが、金市場では売りにつながったと見られる。ただし、これとて先行して発表された米貿易収支の赤字が減少していたことから、GDPは押し上げられると目されていたもので、市場予想に沿った結果といえる。次回のFOMCの政策判断材料となる地区連銀経済報告書(ベージュブック)も発表されたが、こちらも「成長は続いている、しかしテンポは遅い」というここまでの内容と大きくは変わっていなかった。
結局、明日に予定されているバーナンキ議長の講演も、メインシナリオは、時期は特定せず状況次第でQE3に踏み込む準備はできているという内容になりそうだ。あとは「財政の崖」問題に関連して金融政策だけでは限界があるので政策対応を、といった内容か。先日、このイベントをうまく使う可能性があると書いたが、もちろんそれもあり。いずれにしても発言の後退はなし。
ところで28日に共和党全国大会(フロリダ州タンパ)で採択された政策綱領に金本位制への復帰を検討する委員会の設置を盛り込んだことが、一部で話題になっている。もともと共和党保守派の中には金本位復活願望があるが、今回こうした形で入ったのはFRBによる大掛かりな量的緩和策の実施に対する根強い反対がある。ドルを薄める、すなわちドル安政策は、「強いアメリカ」の「強い通貨」には正反対の政策でドルを貶めるような政策は(経済論議は抜きにして)受け入れがたいという考え方がある。
そもそも金本位制ならば、QEなどと無制限にドルを刷ってばら撒けないから金の縛りを設けよという、保守派の言い分に配慮したものと思われる。
そういえばロムニーと当初共和党大統領候補の椅子を争った保守派重鎮ロン・ポール下院議員など根っからの金本位論者でもある。昨年の10月にワシントンにて共和党保守系の「ヘリテージ財団」がシンポジウムを開き、テーマは「ドル価値を安定させるには」というものだったとされる。金本位制論者が集まったなかで同議員ももちろん参加していたと。今回の要綱については経済論議ではなく、アメリカの面子を掛けたような話で、こうした論点を盛り込んでおいたら、この辺りに関心の高い層の票も拾えるだろう・・・的なものと思われる。つまり、実現の可能性が薄いのは承知の上で掲げたものだろう。したがって、この話は(この程度でとどまるならば)金価格の押し上げ要因にはならないと思われる。