12月5日のNY金は3営業日ぶりに反落した。週初から2660ドル台を中心とした狭い範囲のレンジ取引が続いていたが、5日は午前の中頃から午後にかけて売りが先行する流れに転じ、心理的節目の2650ドルを下回り終了した。NYコメックスの通常取引は前日比27.80ドル安の2648.40ドルで終了した。2650ドル割れでは押し目買いが見られたものの反発力は鈍かった。
一方、本日はアジアの寄り付きこそ前日NY時間外の終値(2655.00ドル)を上回る2667.90ドルでスタートしたものの、日本時間の午前10時前に下げ足を速め、一時2635.60ドルまで売られた。中国勢の動きを感じさせる時間帯ではある。
ところが売りが一巡すると戻りも早く、アジア時間の午後には2660ドル台を回復、以後現在ロンドンの午前だが2660ドル台をそのまま横ばいで推移している。
本日6日発表の11月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数の伸びが注目されている。大型ハリケーンや航空機大手ボーイングのストライキの影響で1万2000人増と大きく減速した10月から改善する見込みで、市場予想は21万4000人増(ダウ・ジョーンズ)となっている。好調さが際立つ米経済にあって、労働市場の減速に対する米連邦準備理事会(FRB)の警戒感もここに来て緩んでいる。パウエルFRB議長も先週、さらなる利下げに慎重になる余裕が生まれていると、利下げテンポの見直しを示唆する発言をした。
5日は11月29日終了週の米新規失業保険申請件数は前週比9000件増の22万4000件となった。市場予想は21万5000件だった。悪化ではあるが、サンクスギビングの祭日を含む週につき、誤差も生じやすいことを念頭に置く必要がある。
金市場の話題としては、11月の現物を裏付けにする金ETF(上場投信)のデータが明らかになった。
11月は残高は減少となり5月以来6カ月連続で続いて来た残高増(ネット資金流入)が途切れることになった。米大統領選にてトランプ候補の圧勝が決まり、広く指摘されていた政治混乱が回避されたことを受け、先物市場にてファンドの大量手じまい売り(11月前半2週間で150トン)に見舞われたNY金。金ETFの残高も減少していた。
ただし減少量は世界全体で28.6トンと限られた。興味深いのは売りの中心はヨーロッパで、26.3トンと大半を占める一方で北米は0.8トンの増加となっていた。北米の動向を示す最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールドシェア」の推移からは、11月前半に減少した後に後半は増加に転じていた経緯がある。
つまり乱高下に見舞われた11月だが北米勢はETFを売り越していなかった。
ただし、そのSPDR(スパイダー)だが、12月に入り足元で減少が続いている。 さて本日の米雇用統計どうなるか。