亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

議長の意に沿わない?利上げ時期の前倒し 

2021年06月17日 22時48分54秒 | 金市場
>日本時間今朝のFOMCに関連する一連のイベントで思うのは、さしもの高圧経済路線も内側から、ここまで放置するのも、まずいんではないのとFRB執行部が反旗を翻されたような利上げ前倒し判断だったように思う。

テーパリング、テーパリングと声を合わせていたら、ゼロ金利解除が前面に押し出されてきたという感じだ。景気やインフレが加速しても、雇用者がパンデミック前に比較して730~760万人まだ少ない、したがって「忍耐強く」フルスロットルの緩和策を展開するというのが、FRB執行部というか理事の間でのコンセンサスであったと思う。ただし、とはいうものの金融正常化への工程表という点では、まず利上げ前にテーパリングということなので、今後6週間の指標をにらみながら早ければ7月のFOMCにてどう扱うか。どちらにしても8月26~28日の米ワイオミング州ジャクソンホールで開催される金融シンポジウム、9月21~22日のFOMCにて具体的に言及されるものと思う。

金市場にとっては、今回の流れの変化はやや唐突だったのは事実だろう。7月から8月の米与野党の財政協議という政治要因を通過した後に、ジャクソンホールに至る道筋を想定していたが、その前段階で目立った売り要因に見舞われることになった。既に200日移動平均線は、今回のイベントにて下抜けることになったが、日本時間17日22時の時点で100日線(1797ドル近辺)もサポートの用を為していない。この下は目立った節目もなく、1780ドル前後が値動きとしては頃合いか。

今回図らずもドットチャートを介して浮上した利上げ前倒し方針は、それゆえ意外性があったのは事実だが、興味深いのは、23年の利上げナシを読んでいた向きが前回3月の11人から7人に減ったこと。現在1名の欠員があるのでFRBの理事は6名。FOMCの副議長でもあるウィリアムNY連銀総裁を入れれば7名が、パウエル議長を意を汲んでそこに居座ると思われるのだが、そうはならなかった。少なくとも2名は離反?した可能性がある。日本時間今朝の記者会見にて、パウエル議長は「(ドットチャートは)参加者個人の予想でありFOMCとしての予測や計画ではない」とし、質疑応答前のスピーチでは「今後数年の経済がどこに向かうのか誰も確信を持ってはいない」とまで言い切った。

利上げの前倒しをこの時点で表明するのは、時期尚早との見解を議長自身は持っていたのかもしれない。16日のNY市場では、株式市場はじめ過度な値動きは見られなかった。本日NY時間外から金の値動きは下値を探る動きだったが、環境の変化を市場がどう消化するかに焦点が移ることになりそうだ。


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