亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金は大幅続落、一方で続く金ETFの残高増

2020年06月04日 14時12分36秒 | 金市場
6月3日のNY市場の金価格は大幅続落となった。全米に広がった抗議デモも暴力的なものは一巡しつつあることに加え、発表された経済指標が予想ほど悪くなかったことから、景気回復期待から、リスクオン・センチメントはさらに高まり金は売られた。売り材料と目されるニュースに素直に反応という印象の1日となった。

この日の金市場は、前日の益出し売りに下げた地合いを引き継ぐ形で、アジアさらにロンドンとマイナス圏で推移。それでも前日の終値に近い水準を維持していた。ところがNYの午前早く、発表されたADP全米民間雇用報告が、悪化の程度が予想より小さかったことから、売りが膨らみ急反落となった。一時は1週間ぶりに1700ドルを割れ1690.30ドルまで売られることに。終盤にかけては安値拾いの買いが見られ1700ドル台を回復、1704.80ドルで取引を終了した。前日比では29.20ドルのややまとまった下落に。

ただし、こうした中で金ETFの最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」には買いが入り、残高は4.09トン増加し1133.37トンに上昇。この銘柄としては、2013年4月以来の水準となる。4営業日連続で残を増やしており、この間15トン弱の増加。目立たないものの資金流入が続いている。この日は、他の貴金属もすべて下落して終了。プラチナは8.20ドル安の860.50ドルで終了した。

5日の米雇用統計の発表を控え、注目されたのが5月のADP全米民間雇用報告。市場予想875万人減(ダウ・ジョーンズ)に対し276万人の減少に止まることになった。合わせて4月の数字は当初の2023万6000人減から1955万7000人減に下方修正された。週次ベースの失業保険新規申請者件数も水準はまだ高いものの漸減傾向を示しており、予想値との落差は雇用面での最悪期は乗り越えたとの見方につながっている。

一方でISM非製造業景況指数は、45.4と引き続き好悪の境50は下回った。4月に付けた2009年3月以来11年ぶりの低水準41.8からは改善している。サービス部門は米国経済の3分の2以上を占めるが、注目はこのデータの細目の雇用指数。5月は31.8と4月の30.0から小幅な上昇にとどまっている。30.0は1997年に統計開始以来最低の水準で、ほぼ変わっていないことを表す。この辺りは先のADP全米民間雇用報告とは温度差がある。

もともとADPのデータは労働省発表の雇用統計とは時にかい離が見られることから、ADPが低いことを理由に明日発表の就業者(NFP)減少数も同じ程度低下(改善)するとは言えないのは経験則。果たして、どうなるか。

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