先週のジャクソンホールは、報じられているようにイエレンFRB議長もドラギECB総裁も金融政策の言及はなかった。FRBに関しては、すでに6月のFOMCにて保有資産の縮小について別途工程表まで発表済みで、7月のFOMCでも“早期の実施”ということで、9月の次回会合での決定、10月から着手という方向性は市場でも織り込み済みとなっている。イエレン議長も、記者会見では「(米国の金融システムについて)マイナスのショックを増幅させず、吸収する用意がよりしっかり整った」と述べている。ただし「新たな危機が起こらないという確証はない」ともしている。
ドラギ総裁も、今後の金融政策の方向性などについての発言はなかったものの、終了後にユーロが対ドルを中心に買われ、1119ドル台半ばまで買われ2015年1月以来の水準に。ユーロ買いの機運が満ち満ちていて、 “ユーロ高に警戒を発しないままイベント通過”で引き金が引かれ暴発という感じ。市場の早合点という感じだが、もしかしたらこのまま1.2ドル突破も・・・というモメンタム相場となっている。なおドラギ総裁は、保護主義(米国第一主義)を非難した。
NY金などは、イエレン議長の講演前に一時急落するなど、タカ派的な内容に対する警戒感が先行していたことが、逆に金融政策根の言及がなかったこと自体が“ハト派的”という、何処に基準を置くかで如何様にでも都合よく解釈できるという受け止め方になったようだ。また、一向に加速する気配のないインフレ率などから、言及しなかったのではなく、言及できなかったのではないかとの見方まで生まれ、結局、金は買われることになった。都合のいい解釈というと、年始からここまで株式市場の“おはこ”だったが、先週末は金市場もそれに倣ったような形となった。