NY金は当面レンジ相場と書いたが、ここにきて1310~1330ドルという狭い範囲に収れんしつつある。しかし、そのレンジの中で徐々に下値を探る展開になっているのは、このところの米国指標の改善を映したもの。
さて、“レンジ相場の継続”というと「夏枯れ相場」という印象が強いが、それは値動きだけをみた判断であって、出来高は膨らんでいる。この点で、決して「夏枯れ」ではない。
実際にNYコメックスの先週後半の出来高を時系列でみると、
7月20日 26万6587枚(1枚=100オンス)
21日 32万9190枚
22日 30万8402枚
と平均して30万枚超となる。
これは価格が2014年3月以来の高値となる1377.50ドルをつけた時を含む今月ここまでの平均の27万4633枚を10%近く上回るもの。
一方、7月に入ってこの間、NYコメックス先物取引の未決済取引の総数を意味する「取組」は、減っている。
22日は、6月23日以来となる60万枚割れの59万7411枚となった。取組が60万枚上回ったのは、英国のEU離脱をきっかけにしてのこと。つまり「取組」面では、離脱前に戻りつつある。
出来高を伴いながら取組が減少していることは、ファンドの手仕舞い売りが続いていることを表す。ファンドの買い越し残は、過去最高を記録した7月5日の(重量換算で)982トンから2週連続で減り、先週末に発表された7月19日時点のデータでは889トンとなっていた。それ以降に出来高が膨らんでいることを考えると、買い残整理のピッチはここにきて上がっている。8月中旬まで弱いと読んでいるのだが、今週のFOMCと来週の7月の米雇用統計が、節目になりそうだ。