亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

米大統領選は波乱なく終息か 

2020年11月16日 21時26分49秒 | トピック
先週末11月13日に複数の米メディアが全米50州とワシントンの勝者が判明したと報じた。民主党のバイデン前副大統領が選挙人の過半数を優に超える306人、共和党トランプ大統領が232人という内訳で、バイデン候補の勝利が確実になった。慎重なスタンスを維持していたバイデン前副大統領だったが、激戦州ペンシルべニアでの勝利確実を受け報じられたように7日に勝利宣言をし、独自に政権移行チームを立ち上げた。主要国の首脳との電話会談をはじめ、これまでに大統領首席補佐官の人事も発表。今週26日の感謝祭までには主要閣僚の一部も発表の意向とされる。一方、トランプ大統領は敗北を認めず、連邦政府による正式な政権移行手続きはまったく進んでいない。

全米50州での勝者確定報道の前日12日には、大統領選を巡る調査をしていた米国土安全保障省傘下の米政府員会(サイバーセキュリティ専門機関)は今回の選挙に不正があった証拠は一切ないとの結論を出している。それを聞いた大統領は、この機関の高官の解任を発表・・・という展開に。この土壇場で国防長官を解任というのも驚いたが、我流の政権運営ゆえに、何でもありなのだ。自分の意に沿わない者は解任で、自分にとって悪い話はフェイクというスタンスは、一貫している。特に後者は、それを信じる人も多く、分断を深めてきた。

今回の選挙で7000万票以上を集めたことで、このスタンスが受け入れられたとの認識で自信を深めたと思われる。感情が理性に勝る民主主義を「エモクラシー」と呼ぶことを先週末に知ったが、モンスターを生むのも一般有権者であって、民主主義のコストのひとつかと。

〇大統領選は波乱なく終息へ

もともと新型コロナの拡大もあり、今回広く活用された郵便投票をトランプ大統領が「不正の温床」として訴訟も辞さずとしていたことから、選挙結果の確定に一定の時間を要することは市場でも織り込み済みといえる。 トランプ大統領がいくつかの州で開票の差し止めや票の集計の停止などを求めて提訴したとされるが、州レベルの裁判所で却下されたり訴訟自体が証拠不十分で成立が難しかったりと、意図通りに進んでいないようだ。また、12月8日までに選挙人を確定し、同14日の選挙人投票時に、バイデン前副大統領は270票以上を獲得するのは現時点でほぼ確定したと思われる。

つまり、合衆国憲法修正12条の発動により、2021年1月6日の下院議員の投票による決定という事態は、回避されると思われる。このシナリオが達成されないとなると、米国の分断はさらに深刻さを増すことになり、金融波乱は避けられず景気に大きな影響をもたらすことになると思う。

足元の金市場については、金ETFの解約が断続的に続いているのが目立つ。本日は9月末時点での大口投資家の金ETFの投資(所有)動向が明らかになる。
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